世界変動展望

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国公立大学と私立大学の違い

2010-08-19 00:01:17 | Weblog
昔「大学受験では国公立大学と私立大学でどちらの方が第1志望の人が多いの?」と尋ねられたことがある。私の主観では国公立大学だと思うが、高校受験と違ってまちまちだろう。高校受験の場合は東京都といった一部の例外を除いて、公立高校を第1志望にする人がほとんどだろう。もっとも、東京都の場合も私立志望者は中学受験で抜けていくので高校入試の段階で私立が第一志望の者が多いのか不明だ。中学・高校受験と併せれば、東京都の進学希望の者は中学受験の段階で私立を志望する者が多いだろう。

高校受験の場合は公立高校の方が授業料が安いし、進学実績も東京や神奈川、京都といった一部の都道府県を除いてその地域に有力な私立高校がないため、公立高校の方が高い場合が多い。だから、高校受験の場合はほとんどの都道府県で私立校を第1志望にする人より公立高校を第1志望にする人の方がずっと多い。

しかし、大学受験の場合は全国規模で入試が行われるから、早稲田大学や慶応義塾大学といった私立の有力校を第1志望にする人もたくさんいるため、一概に「国公立大学の方が私立大学よりも第1志望とする人が多い。」とはいえない。

だた、国公立大学と私立大学の一般的な違いはあげられ、例えば次のようなものだろう。

1 学費
学費は国公立大学の方が私立大学よりずっと安い。国公立大学の年間の学費は50万円程度だが、私立大学の場合は文系の場合90万円~150万円、理系の場合は110~200万円。特に顕著な違いがあるのは医学部で、国公立大学の場合は6年間で300~400万円程度だが、私立大学の場合は3000~4000万円もかかる。まさに桁違いといえる。

2 個性
一般に私立大学の方が国公立大学より個性が強い。国公立大学は国や地方公共団体が運営するため、いろいろ制約があり、できるかぎり平等・中立・公平な学校運営をしなければならなず、私立大学に比して無個性となるが、私立大学はそうした制約がないため色々と自由な事ができる。

具体的には有力なスポーツ選手や芸能人の推薦入学や学費免除といった特別待遇や宗教教育があげられる。こういった事は国公立大学では不可能だ。国公立大学の場合、経済的な困窮のために授業料や入学金が免除される場合はあるが、私立大学のように成績が優秀だから学費免除という事はない。甲子園で活躍したから、芸能人で有名だから推薦・AO・一芸入試による入学という事も国公立大学の場合はない。一方で私立大学の場合は、自校の名を売るため経営を良くするため、商業的な目的でそういう優遇政策ができる。

甲子園で活躍した野球の有力選手や芸能人が国公立大学に入学せず、私立大学にばかり入学する理由は国公立大学では商業的な学校運営が禁止されるため、彼らが私立大学に入学せざるを得ないというのが最大の理由だろう。仮に東京大学で私立大学と同様の入学制度があったなら、多くのスポーツ有力選手や芸能人が入学しているに違いない。もっとも、芸能人ならともかく、将来プロ野球選手を目指す人が非常に弱い東大野球部に入るため入学するかどうかわからないが。

宗教教育も同じで、国公立大学は政教分離原則のために特定の宗教教理に基づいて指導する事はできないが、私立大学はそれが可能となる。例えば上智大学や立教大学は宗派の違いはあるがどちらもキリスト教系の学校だ。国公立大学の場合は宗教系の学校は一つの例外なく存在しない。もっとも、宗教という個性に基づいて入学志願する者は牧師志望とか一部の例外を除いていないだろうが。

3 研究設備
大学ごとに個別比較すれば異なるが、概して研究設備は国公立大学の方が私立大学よりも良い。特に理系ではその傾向が顕著だ。私立大学はほぼすべてを自校の資金で運営しているため、理系で必要とする高額な研究設備を準備する資力が乏しい。一方で国公立大学ではその資金があるため十分な研究設備を準備できる。

特に国公立大学でもトップクラスとされる旧帝大と他の私立大学を比較するとわかりやすい。旧帝大の研究設備は全ての私立大学と比較しても圧倒的に優れている。これは早稲田大学や慶応義塾大学といった一流私立大学や東京理科大学といった理系に特化した私立大学でも例外ではない。

例えば、有名なニュートリノ研究施設である東京大学のスーパーカミオカンテや加速器のような研究施設を私立大学が持つことは不可能だろう。スーパーカミオカンテの資金は約100億円と聞いたことがある。素粒子実験ではこれでも安い方で加速器を使った実験施設になるともっと高額になる。私立大学でそれらの研究設備を設ける事は経済的に不可能だろう。

4 主力学部
3との関係で一部を除き私立大学は必然的に文系学部が主力となる。前文で一部除かれる大学とは理系に特化した大学である。例えば、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学といった大学は理系学部はあるものの、法学部とか経済学部といった文系学部の方が主力であり、大学全体をみると文系主力の大学という印象が強い。

一方国公立大学は文系が主力という場合もあるが、理系が主力学部となるケースも多い。特に上述の旧帝国大学はほとんど理系主力大学である。旧帝大の場合は我が国の研究の基幹となる機関であるため、どの大学も文系理系ともに突出した業績があるが、どの大学も理系の方が規模が大きいため、理系の業績の方が大きい。これは規模のため仕方ないといえよう。官僚や法曹の輩出で有名な東京大学でも例外ではない。東大の場合は先の事項のため文系主力というイメージを持つ人も多いが、文系・理系の規模の違いを考えれば、どうして理系の研究業績の方が多くなるのは仕方ない。

5 学生の男女比
4との関係で私立大学の方が国公立大学より女性比率が高いことが多い。女性は男性よりも学問における好みの偏りがはげしく、主に文学、教育、語学といった人文科学や家政学を専攻し、理系、特に工学や数学、物理学といった数物系の学問を専攻する者はあまりいない。

上の大学の例では上智大学は女性比率の方が高い大学だ。おそらく文学部や外国語学部等の影響だろう。それに対し、旧帝大はどこも女性比率は2~3割程度で男性の方がずっと多い。

6 校舎の立派さ
校舎は私立大学の方が国公立大学よりも立派な事が多い。国公立大学の場合は建物の外観にそれほどお金をかけられないのだろう。私立大学は研究施設よりそうした外見的な良さにお金をかけている気がする。

東京大学の本郷キャンパスのように歴史や古さを感じさせるという意味で立派だという校舎はあるが、はっきりいってそういう建物は中で講義や研究をするのは不便な事も多いと思う。

他にもいろいろ違いはあるだろうが、私が思い浮かぶのこのくらいだ。具体的に志望の大学を決定する時は、こういう大まかな傾向ではなく大学ごとの特性に基づいて決めるだろうから、上述の違いはあまり意味がないかもしれないが、参考程度にはなろう。

興味があれば、参考にしてほしい。

2 コメント

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Unknown (キズナ)
2012-04-15 11:08:46
ありがとうございました。^^
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どういたしまして (世界変動展望 著者)
2012-04-15 18:32:19
どういたしまして。
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