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京都府立医大、バルサルタン臨床試験にデータ操作があったと中間発表!

2013-07-11 21:18:58 | 社会

『降圧剤:データ操作 京都府立医大認める 学長ら会見

毎日新聞 2013年07月11日 21時38分(最終更新 07月11日 21時40分)
 ◇ノバルティスファーマ元社員がデータ解析

 降圧剤バルサルタンに血圧を下げる以外の効果もあるとした臨床試験疑惑で、京都府立医大(吉川敏一学長)は11日、同大の研究チームによる臨床試験について「医師が入力した患者データと、解析に使ったデータが一致せず、バルサルタンに効果が出るよう解析データが操作されていた」として、論文不正があったと発表した。販売元の製薬会社ノバルティスファーマ(東京)の元社員がデータを解析していたことも確認した。製薬社員が関与した論文が、薬の売れ行きに有利になる形で操作されており、日本の医薬研究への信頼を根底から損なわせる重大事態に発展した。今後はノ社の不正への関与が焦点となる。事態を重く見た厚生労働省は、文部科学省と連携して再発防止策を協議する方針。

 府立医大は、学長らの給与を自主返納する。吉川学長は「深くおわびし、再発防止に努めたい。申し訳ございません」と謝罪した。関係者の処分も検討する。

 論文の責任者は松原弘明元教授(56)。研究チームは、2000年のバルサルタン発売後、府立医大病院とその関連病院で臨床試験を実施した。高血圧患者約3000人を、バルサルタン服用の約1500人と別の降圧剤服用の約1500人とに分けて、経過を比較。「バルサルタンには他の降圧剤に比べて、脳卒中を45%、狭心症を49%減らす効果がある」などと結論付け、09年に欧州心臓病学会誌で発表した。

 この日の発表によると、府立医大は、患者約3000人分のデータのうち、患者のカルテ調査ができた223人分を調べた。その結果、解析に使ったデータには、カルテに記載のない脳卒中や狭心症などの症例があったり、カルテに記載のある患者の症例がなかったりする例が計34件存在した。これらはいずれも同種の降圧剤に比べてバルサルタンの効果を強調する方向で操作されていた。

 バルサルタンを服用したグループと、服用しなかったグループで、試験終了時に血圧が一致していた点も「不自然だ」と指摘されてきた。この点については、問題はなかったとした。

 大学の聞き取りに対し、松原元教授は「意図的なデータ操作はしていない」と説明したという。元教授の代理人弁護士は「現時点では詳細についてコメントを差し控える」と話した。


ノ社は5月、社員の試験への関与を認めたが、「社員による意図的なデータの改ざんはなかった」と説明。だが、社内調査結果によると、ノ社の社員が患者のデータを自宅のコンピューターにコピーして解析し、「例示」と称して研究チームに結果を提供していた。

 バルサルタンの臨床試験は、府立医、慈恵医、滋賀医、千葉、名古屋の5大学が実施した。昨年、名古屋を除く4大学の論文について、専門家が医学誌上で科学的な疑問点があると指摘していた。日本循環器学会が府立医大に調査を要請し、大学が3月に検証チームを設置していた。

 ノ社は、2月の定例記者会見で「医師主導で行われた試験であり、会社は関与していない」と説明していた。3月以降、毎日新聞の報道で、社員が統計解析などを手伝っていたことや、ノ社が府立医大側に1億円余の奨学寄付金を提供していたことが判明したが、論文上はこうした事実が伏せられていた。批判の高まりを受け、ノ社は5月、役員の減給を発表した。【河内敏康、八田浩輔】

 ノバルティスファーマの話 大学や患者に心配をかけて申し訳ない。ただし、大学の報告だけでは、恣意(しい)的なデータ操作があったとは確認できない。解析に使う患者データは、試験の第三者委員会の判定に従って変更されるのが一般的で、まず委員会の記録を確認すべきだ。
 ◇ことば【バルサルタン】

 ノバルティスファーマが商品名「ディオバン」で、2000年に国内販売を始めた高血圧治療薬。12年度の国内売上額は約1083億円。世界約100カ国でも承認されている。京都府立医大と東京慈恵会医大が各3000人を対象にした大規模臨床試験では、血圧を下げるだけでなく、脳卒中や狭心症のリスクも小さくする効果があり、同種の別の薬より優れているとの結論が出た。

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降圧剤不正:誰が操作「特定できず」 大学側後ろ向き答弁

毎日新聞 2013年07月11日 21時22分

 日本で最も売れている医療用医薬品である降圧剤「バルサルタン」を巡る臨床試験疑惑は11日、京都府立医大が初めて不正を認めたことで新たな局面に入った。データ操作は、誰が何のために行ったのか。販売元のノバルティスファーマ(東京)の社員(既に退職)はどう関与したのか。疑惑は深まるばかりだ。

 「今回の事態を招いたことを極めて重く受け止め、心からおわびします。関与した者の厳正な処分を行いたい」。この日、京都市内の京都府立医大で行われた記者会見で、吉川敏一学長は深々と頭を下げて陳謝した。

 報告書では、統計解析を担当した元社員や、研究を主導した松原弘明元教授(56)を含む複数の人物がデータ操作に関わることが可能だったとする一方、調査委員長の伏木信次副学長は「意図的な操作かどうかも含めて特定することはできなかった」と、後ろ向きな答弁に終始した。

 大学の問題点として「研究室には統計解析に通じた人材がおらず、製薬企業従業員の力を期待した点に問題があった」と指摘した。再発防止策として、統計の専門家を学内に配置するほか、製薬企業からの研究費の寄付や研究者の講演料の受け取り状況についてもホームページで公開するとした。薬を日常的に利用する患者などからの問い合わせに応じるため、院内に専用相談窓口を設ける。

 厚生労働省研究開発振興課は「調査結果は、捏造(ねつぞう)や改ざんを強く示唆していると理解している。極めて遺憾な事態だ。具体的な責任は誰にあるのか、大学には引き続き調査を求める」(一瀬篤課長)とし、文部科学省と再発防止対策を協議する方針を示した。

 医学系118学会が加盟する日本医学会の利益相反委員長、曽根三郎・徳島大名誉教授は「客観的に見たら研究不正だ。操作された結果を元に販売促進に利用されてきた事実は重い。企業の責任は大きく、大学への調査への協力を含めて説明責任を果たすべきだ」と指摘する。【八田浩輔、五十嵐和大】

 

『治療薬論文でデータ操作…京都府立医科大が発表

京都府立医科大は11日、高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究をめぐる松原弘明元教授らの論文について、「データが操作され、論文の結論に誤りがあった可能性が高い」とする調査結果を発表した。

 脳卒中や狭心症を抑える効果が実際よりも高くなるようにデータが操作されていた。

 松原元教授らの論文は2008年~12年に国内外の学会誌などに発表された。3000人の患者を対象にディオバンを使うと、従来の薬と血圧の下がり方は同じでも、脳卒中や狭心症などのリスクは45%も減るという内容だった。

 しかし、専門家から「データが不自然だ」などと指摘され、論文は相次いで撤回された。府立医大は3月に外部有識者を含む調査チームをつくり、データの検証や関係者からの聞き取りなどを進めていた。

(2013年7月11日21時03分  読売新聞)』

『薬効のデータに“操作の疑い”
7月11日 21時27分

大手製薬会社「ノバルティスファーマ」の高血圧の薬の効果を調べた複数の大学の臨床研究に、この会社の社員が関与し、薬の効果に疑問が投げかけられていた問題で、京都府立医科大学の調査委員会は、データに何らかの操作があった疑いがあるとしたうえで、ほかの薬より脳卒中や狭心症を減らせるとした臨床研究の論文の結論には誤りがあった可能性が高いとする調査結果を発表しました。

この問題は、ノバルティスファーマが販売する高血圧の治療薬「ディオバン」の効果を調べた京都府立医科大学などの臨床研究にこの会社の当時の社員が関与し、データの解析などを担当していたもので、「他の薬より脳卒中などのリスクを下げる効果が高い」などとした論文が発表され、薬の販売促進に使われていました。
これについて京都府立医科大学の調査委員会は、11日夜、患者のカルテに書かれた情報と論文作成に使われたとされる解析データに食い違いがあり、データに何らかの操作があった疑いがあるとしたうえで、ほかの薬より脳卒中や狭心症を減らせるとした結論には誤りがあった可能性が高いとする調査結果を発表しました。
ノバルティスファーマは、この臨床研究の結果を、薬の販売促進などに使っていて、ディオバンは、年間1000億円以上を売り上げる商品になっていました。
これについて厚生労働省の治験推進室は「京都府立医科大学の発表は、臨床研究のデータを操作したことが強く示唆される内容で、このようなことが起きたのは非常に遺憾だ。今後については、京都府立医科大学以外に同様の臨床研究が行われた4つの大学の調査結果などを踏まえたうえで対応を検討したい」と話しています。
京都府立医科大学の調査結果について、ノバルティスファーマは「大学の報告からは、臨床研究の際の外部の委員会の判定記録との照合結果が示されていないので、恣意的なデータの操作があったとは確認できない。大学関係者の方々や患者様に対して、ご心配をおかけしていますことを申し訳なく思っています。今回、京都府立医科大学の報告においても、ディオバンの降圧効果に問題がないことが確認されました」とするコメントを発表しました。

NHKニュース

ノバルティスファーマーの見解毎日新聞その1毎日新聞その2朝日新聞

"薬効のデータに“操作の疑い" NHKニュース 2013.7.12
"バルサルタン:臨床試験疑惑 元社員、大阪市大調査も拒否 データ解析担当" 毎日新聞 2013.7.12
"バルサルタン:臨床試験疑惑 現場医師ら憤慨「患者の信頼失う」" 毎日新聞 2013.7.12
"Kyoto Heart Studyのデータ操作について" 日本循環器学会 2013.7.12
"京都府立医大「調査に限界」と釈明 高血圧薬論文めぐり" 朝日新聞 2013.7.12
"降圧剤不正:厚労省、調査状況把握へ…検討委員会を設置" 毎日新聞 2013.7.12
"薬効データ改竄 医療現場への重大な背信行為" 読売新聞 社説 2013.7.13
"薬の効果偽装―教訓導く徹底調査を" 朝日新聞 社説 2013.7.13
"降圧剤試験不正 第三者機関で解明せよ" 毎日新聞 社説 2013.7.13
"バルサルタン:臨床試験疑惑 山田・京都府知事、捜査機関が解明を" 毎日新聞 2013.7.13
"ディオバン服用の知事、告訴含めた対応を要請" 読売新聞 2013.7.13
"Diovan Data Was Fabricated, Say Japanese Health Minister And University Officials" Fobes 2013.7.12
"京都府立医科大のKYOTO HEARTの会見に出席しました" 日経バイオテクONLINE Vol.1907 2013.7.12
"臨床研究論文 データ操作の疑い"  NHK NEWSweb 2013.7.12
"厚労大臣トップに再発防止策を検討へ" NHKニュース 2013.7.13
"「関与の元社員と連絡取れず」" NHKニュース 2013.7.13
"薬効データ改竄 信頼回復と再発防止急げ薬効データ改竄 信頼回復と再発防止急げ" 日本産経新聞 社説 2013.7.14
"発症判定の議事録存在せず 高血圧薬論文巡り京都府医大" 朝日新聞 2013.7.13
"臨床データ操作 企業関与に厳格なルールを" 琉球新報 社説 2013.7.14
"降圧剤:厚生労働相、販売元の製薬会社は調査協力を" 毎日新聞 2013.7.16
"治療薬データ改ざん、元社員の聴取必要…厚労相" 読売新聞 2013.7.16
"降圧剤問題:製薬医学会が緊急提言" 毎日新聞 2013.7.18
"クスリの闇/「日本一売れた薬」の効能はこうしてでっち上げられた
   ◆     ノバルティスファーマ、降圧剤「バルサルタン」、ドラポ " フライデー p98 、2013.7.19 発売 目次
"「Kyoto Heart Study」臨床研究に係る調査報告書" 京都府立医科大学 2013.7.11、ウェブページ
"Tampered Data Cast Shadow on Drug Trial" Science Vol. 341 no. 6143 p. 223 、 19 July 2013 、 DOI: 10.1126/science.341.6143.223

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やっぱりデータ操作がありましたね。今後どうなっていくのでしょうか。

朝日の記事では『研究では販売元のノバルティス日本法人の元社員が統計解析を担当していたことが判明している。調査委はこの元社員に話を聴こうとノバルティスに協力を求めたが、すでに退職しているとして断られたという。

 伏木副学長は「データ不正はあったと考えている」としながらも、だれがやったのか、故意にやったのか調べようがないとし、「大学の調査では限界があるので、この報告を最後にする」と語った。

とある。これに対し一言。文科省のガイドラインに

被告発者が自己の説明によって、不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは、不正行為と認定される。

とある。京都府立医大は文科省のガイドラインを守れ!被疑者が説明を拒否したなら、自己の説明で疑いを覆せないのだから不正行為を認定するのがルールだ。指針はきちんと示されている。研究機関にとって規則等は紙切れに過ぎない。現在の研究不正調査制度の問題の一つだ。

京都府立医大の判断は自分たちのリスクを避けるためにわざとクロという判断を避けたもので、非常に不当。30件以上もバルサルタンの効果があるようにデータを間違えるわけがない。同大のような判断をしたら、被疑者が自白しないかぎり不正は認められない。

確かに伏木(京都府立医大副学長)がいうように現在の調査制度では不十分だ。しかし、同大がリスク回避のためにガイドライン等を守らず、わざと不正の認定を避けていることも問題だ。研究機関の不正に対するこのような消極的態度も研究不正調査制度の問題の一つだ。

必ず改善を要する(関連)。