世界変動展望

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研究倫理の難しさ、専門家の必要性

2019-10-07 00:13:58 | 社会

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よく勘違いされるが、盗用は文章のコピペだけではない。アイディアや分析・解析方法も含まれる。

 たとえば予備実験などを行った研究者が、のちに実験データを別の研究者が取り直したからという理由で、論文の著者から外されるケースがある。予備実験を行う際にアイディアを出し、分析・解析方法の工夫などを行っているとするならば、盗用にあたることになる。この点を理解していないケースを見聞きすることが多い。

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([1]より)

私はこの文章を読んで、研究倫理はどんな研究者もきちんと学ぶ事が重要だと思った。どんなに専門技能が優れて実績を出しても、よくわかっていない研究遂行のルールはあるものだ。ベテラン教授でも研究不正をやってしまう事がある。研究倫理の分野は専門家が必要だと思う。倫理には専門分野ごとの特性もあるだろう。専門家がきちんと説明や教育ができる事が重要かもしれない。倫理は結構細かく、学ばないとわからない。口頭発表等の査読付き論文以外の発表だと捏造、改ざんは問題にならないとか全分析結果、結論の訂正とか、そういうレベルのものを守れていないは例外としても、ちゃんと学ばないと実績のあるベテラン教授でも足元をすくわれる事がある。

例えば査読付き論文で発表しなければ二重投稿にならないと思っていた研究者などが国際会議の発表内容を論文で出して二重投稿、撤回になってしまう例は珍しくない。こういう事例が発生すると決まって「査読付き論文で出さなければ発表でないのに、なぜ不正行為になるんだ?調査や処分が不当だ!!」などという研究者がいる。例えばI元東北大総長の二重投稿などは、この例だが、こういうのは研究倫理に関する知識が普及していない事が原因の一つだろう。こういう主張は悪い意味で自分はプロだと思っていて、自分の職業上の知識を常識だと思い込んでいるために生じる。こういう研究者の場合は、いつか自分自身が二重投稿、撤回、懲戒処分という形で痛い目にあうかもしれない。二重投稿に関しては、研究倫理としてはまだわかりやすい方ではないかと思う。

画像操作のガイドラインなどはよくわかっていない人もいるかもしれない。研究倫理を十分わかっている人は実績のあるベテラン教授で、どのくらいいるんだろうか。

思えば、私がやっている研究不正のデータベース作製もこうした事例研究の基礎資料になって役立つだろう。そういう意味では貢献しているか?とはいってもまー所詮匿名ブログなんで、限界がある。匿名だと教授や名誉教授といった肩書や信用はありません。海外の事例はリトラクションウォッチ白楽先生のサイト、日本の事例は白楽先生の不正一覧が一番信用や影響力の点でよいと思います。私のブログの情報も白楽先生のサイトで紹介されていて非常に助かっています。ウチは匿名ブログですからね。

これから先、研究倫理の専門家は必ず必要です。事例研究も基礎資料として必要でしょう。これから育つ専門家の教授や准教授といった方々に研究倫理の普及と発展の活動を期待したいと思います。

経済学なんて特に研究倫理の専門家が必要だと思いますよ。白楽先生の不正一覧だと捏造はほとんどありませんが、それは数値系の不正が多いために見つかりづらい事やネカトハンターがほぼいない事が主な原因でしょうが、実際は生命科学系以上に捏造や改ざんが多い分野かもしれません。シュゴシンで有名なW元東大教授のように実績のあるベテラン教授でも無意識に不適切な研究遂行をしたり、それを学生に指導しているケースもあるかもしれませんね。

ただ、この分野は専門家が必要でも報復人事や予算を恐れて、やらない人が多いかもしれません。私のような匿名活動家かアカポス以外で活動するか、既に別な専門で教授や名誉教授といった肩書を得て活動するか、そんな事が多いと思います。

私のような匿名活動家は肩書、信用、予算などで限界があるので、ぜひ専門家が育って活動して頂きたいと思います。

参考
[1]榎木英介  "「研究不正の研究」で研究不正の衝撃" Yahoo!Japanニュース 2019.10.4