世界変動展望

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岡山大学事件の今後の予想

2016-01-09 18:52:02 | 社会

岡山大学で研究不正を告発した教授2名が解雇された件で、近いうちに提訴され、報道があるだろう。岡大は表向きは教員としての適格性等を理由に普通解雇したと主張すると思う。ただ、北朝鮮の人工衛星打ち上げを名目にしたミサイル発射と同じで、このようなケースは表と本当の理由が違うのが常だから信用できない。

一部の人たちは告発した研究不正の調査を不適切に行って一部、黒を白と判定し、報復解雇したと主張する。本当にそのとおりなら、とんでもない事だ。ネットの様子を見ると、岡山大の解雇を権限濫用と考えるツイートを多く見る。告発者を支援する活動が始まるかもしれない。しかし、この件は解決するまでかなり時間がかかるだろう。岡大は不適切さを認めようとしないだろうし、裁判で告発側が勝訴して不当解雇が認められたとしても、それが確定するのに数年かかるだろう。勝訴する可能性が高いかもよくわからない。

研究不正の問題も第三者調査委員会で再調査すべきだという主張があるが、文科省や学振などにそれを主張しても研究機関に丸投げするだけで何もしない。これは岡山大学の例に限らず、元学長、某国立研究所、某国立大学等の未解決研究不正事件でも同様で、岡大が自主的に改善する気がないなら放置されたままになる可能性が高い

典型は元学長の事件でネイチャー誌でさえORIのような第三者調査機関を設立して調査すべきだと提言した。ORIの設立は近年のディオバン事件などの大きな研究不正事件の発生のためにメディアでも主張が多くなった。研究者の間でもORI設立の主張は多い。しかし、国はそういう意見をすべて無視してきた。私もガイドライン改定の意見募集でこの件や拘束力のある規則制定、誤りがあった研究発表の訂正、撤回を義務付ける規定制定などを提言したが全て無視された。

メディアの外圧で改善させればいいではないかと言う人たちがいるかもしれないが、元学長の事件は岡大の事件以上にネイチャー誌や新聞、週刊誌等でよく報道されたが、全く改善していない。メディアの力で解決するなら元学長の事件はとっくに解決していると思う。では、裁判で解決すればいいと言う人がいるかもしれないが、元学長の事件は控訴審まで告発側が敗訴し、泥沼の争いになっている。裁判所は学術界で研究不正を解決すべきだといって、研究不正を認めようとしない又は認める能力がない。現行では立証責任や証明度の負担が告発側にとって不当に重く、これをきちんと改善する訴訟制度にしないと仮に研究不正の制度を改善しても、裁判で覆される危険が出て、O 30代女性研究者の件のように生データや実験ノートを見せなくても不正と見なされないという不条理な調査結果になってしまう。

結局のところ、研究機関の改善意思がないと放置せざるを得ないのが現状で、それが改善する見込みがない。

だから、岡大の事件は一部のメディアが報道し、告発者の支援活動や訴訟が行われても、研究不正に関しては改善する見込みは乏しいと予想する。しかし、裁判で解雇が不当と判断され復職する可能性はあると思う。

研究機関や国、資金配分機関で解決する能力がないなら、いっその事研究不正を調査する民間団体を設立して、そこに調査、裁定させてはどうかと思ったが、そう簡単にいかないか。

現在の研究機関は戦前の軍部政治と同じで権力の濫用や暴走に歯止めをかけられない。研究不正を告発すると不当な調査で黒を白にされ、懲戒処分や解雇といった報復を受け、それを放置するしかないという、とんでもない事が起こってしまう。それでいいわけなく、私はずっと前からネットで改善の言論活動をし、意見書を文科省等に提出したが、改善する見込みはない。岡大の事件はとんでもない事だと思うが、これ以上どうしたらいいのかわからない。やるだけの事はやっているつもりだ。

今後はネット公開とあわせて匿名告発を続けていくしかないと思う。それでも何もしないよりはずっといいと思う。匿名を批判する人たちがいるが、現状で顕名活動する方が無理だろう。



1 コメント

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司法に期待しないように (Unknown)
2016-01-09 21:59:15
司法は大学の自治に介入しません。
残念ですが、岡山大の2教授は敗訴でしょう。

U+2460研究不正
実験ノート、生データ、メールのやり取り、
当事者に全く関係ない他大学名誉教授の意見書等々を
提出しても、実験データの数値の改竄は研究不正には
あたらないと裁判所は判示しました。

U+2461ハラスメント
教授の研究不正に加担しなかった者への教授の
ハラスメント。度重なる3時間程にもわたる教授室
での拘束、廊下や研究室での公衆の前での暴言
(秘書・実験補助が記録したものも含む)、
覚書やメールの記録等々があっても、裁判所は
ハラスメントではなく“指導”と判示しました。

→労基署はハラスメントによる労災と
認定しましたがね。
司法は大学でのハラスメントは
なかなか認定しません。
ただ司法は、大学が認定した
ハラスメントは認めますがね。
司法は盲目的に権威・権力側を守ります。

研究者(特に薬学の教授達?)がサイエンスライターや
メディアに“がんばって下さい“と言うだけで、
自らは決して動かない現状では、何も変わらない。
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