前に京大の柳田充弘氏が「エリート教育、恵まれた家庭、温厚な人柄、こういう人たちが捏造に手を染めているようだ」と述べた。
確かにそういう人で悪質な捏造や改ざんをやってしまった人が何人かいる。
例えば小保方晴子の家族は父が大企業の役員、母は大学教授、姉も大学准教授、騒動で一流弁護士の弁護団を長期雇う財力からいって裕福だ。一言でいえば非常に恵まれた家庭で育った。学歴は早大理工学部に現役進学し、遅れ無しで博士号取得、学振DC1、奨学金等で数百万円の研究費が使え、有給で博士課程を過ごした。ハーバード大学医学系に留学して研究。院卒後は理研に就職し29歳の若さでPIのユニットリーダー(国立大学のPIの准教授、講師相当)、報道では年収は800万円以上あったらしい。STAP細胞の研究経費は3年間で約5320万円で恵まれていた。関わってきた共同研究者は一流の人たちばかり。さらにルックスがあっておしゃれ、コミュニケーション力が高く、プレゼンや売り込みが上手い。
育った環境、家族、経歴などを見ると、小保方晴子は一言でいえばエリートだ。
もう一人例を出すと、大阪大学出身の某人物。実名を出すと本人から苦情がくるかもしれないので本稿ではAとする。Aは一流の進学高校、大阪大学を卒業。父はエリートで裕福な家庭で育った。しかし悪質な捏造を行った。本人は捏造を否定し、現在は某研究機関で研究者になり、論文をいくつか出している。
世間から見れば、なぜこのような人物が悪質な捏造をやったのか疑問に思うかもしれない。裕福で恵まれた環境にいるのに、なぜ不正をしてまで成功しようとするのか。
こういう人たちが悪質な捏造や改ざんをする動機は、貧しい人が生きるためにパンを盗むのとは全く違う。
これは推測だがこうした人たちは恵まれた環境で育ったから自分はエリートでなければならないと思うのかもしれない。子供の頃から優等生で親や先生たちから気に入られいるように行動し、彼らから優秀、いい子とちやほやされて育ったので、自分は人よりも優秀だと悪いエリート意識、優等生意識を持っているのかもしれない。だが、どんな仕事も甘くなく、とんとん拍子に進まない。自分は他とは違うエリートのはずなのに、優れた結果が出せない、あるいはエリートでいつづけるためには、どうしても結果を出さなければならない、そういう理由で悪質な捏造をして論文発表し、地位等を得ようとしたのかもしれない。
香山リカ氏が小保方晴子は人類を救う使命を担わされた人間だと思っていたのではないかと指摘した。それは上でいう悪いエリート意識ではないかと思う。
小保方晴子もAも悪いエリート意識を持っていたため、悪質な捏造、改ざんをやってしまったのかもしれない。
前にバルサルタン事件で研究不正を防ぐには動機を解明すべきだと毎日新聞の八田浩輔記者から教えて頂いた事がある。それで考えてみたのが上の内容で、仮に悪いエリート意識が研究不正の原因の一つだとすると、これをどうやって改善すればいいのかすぐにはわからない。研究者が育つ環境を外部の者が干渉して変える事はできない。だから、倫理教育や規則を守って公正な調査を行う事、不正には相当の罰、共同研究者間のチェックや議論という当たり前の事をきっちりやっていくしか研究不正を防ぐ方法はないかもしれないと思った。
有名国公私立大学や医学部を卒業した方々は、
自分は特別といった選民意識しかなく、
何をやっても良い、許されるとしか考えてないさ。
地位を得た方々ほど、選民意識は強い。
研究不正は地位が上になるほど組織に守られる。
研究不正でもハラスメントでも何でもやって、
権威・権力をてにいれた者の勝ちなだけ。
小保方氏は残念だったけど、A氏はうまくやったよね。
いずれにせよ、正直者はバカをみるだけ。
早稲田が今回、彼女の学位を認めなかったのは、学位論文を本当にきちんと見た場合、その中身は単に小手先の修正では済まない欠陥が多かったからだろう。そういう意味では彼女のもともとの指導者である常田や大和らの学位審査した当時の目はふし穴だったのだろう。それに、早稲田と東京女子医大のコラボプロジェクトに本当にバイオメディカル系研究者養成能力があったのかも疑われる。
彼女には自力での学位論文のための研究課題設定能力や取り組む課題の妥当性や将来性、発展可能性の判断力が十分養われないままハーバードでヤマ師のようなバカンティと出会ったのも不幸だったと思う。バカンティの怪しげなSpoke-like細胞仮設関連のテーマに共鳴して素直に取り組んでくれる便利なパシリになったと言えるだろう。彼女の特殊な性格と怪しげなテーマのコラボになってしまった。結局は彼女が自分で必死にひねり出して考えたテーマでなくバカンティもらったテーマだ。ちなみに小島はどういう役割だったのだろう。ともかく実験結果としてマウスから抽出したとするSphere細胞が果たして本当に多能性細胞だったのかどうかもTsissue誌の論文の疑義もあり怪しくなっているので、当然彼女の博士論文の実験結果にも疑いが残る。抽出した細胞が本当に多能性があったのかどうかについては、データを都合よく解釈して”ある”ことにしてしまっていたのではないだろうか。そのため、十分に説得力のある論理的な論証を論文中で出来ていないことが、ちゃんと見る人が見れば明らかになってきたのだろうかと想像する。Tissue誌はバカンティのインサイダー学術誌なので力づくで無理やり修正だけで論文を残しているが、彼女の当時の実験自体、実は失敗だったのかもしれない。本当はこれも検証した方がいいがそういう機会は残念ながらもうないかもねえ。
私はバイオメディカルの分野のことはまったく素人でよくわからないが、iPSはもとより、ヒト由来の多能性細胞であるMuse細胞(東北大)やLAB-IN細胞(熊本大)の研究なんかも進行しているようなので、もはや小保方氏の5年以上前のマウスSpoke-like細胞Sphere細胞ラインの研究テーマには、もはや何の優位性もオリジナリティも感じないのだが。今となっては学位申請する価値のあるテーマではないのではと思う。(バイオメディカル系の人はどう思いますか?)
小保方氏が今後も研究に関わりたいなら、改めてバイオメディカル系に強い大学院に入り基礎から学び直して、テーマを変えて研究やって博士号を取り直すか、ある程度、バイオメディカルの実験技術と知識をすでに身に着けてる自信があるなら、修士は持ってるので、博士号を持つ研究員を補助する実験技術員(英語で言うところのリサーチテクニシャン)として研究機関か企業で働く手はあると思う(雇いたがらないとこは多いだろうが)。そういえば理研はプロジェクトマネーで任期制技術員けっこう雇ってるよね。東京女子医大関連ベンチャーのセルシードなんかで働くなんてのはどうだろう。今の小保方氏には”心”の”再生医療”が必要かもしれないが。