世界変動展望

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将棋棋士の序列について

2011-10-04 00:36:08 | 囲碁・将棋

規定によると将棋棋士の順位は次の基準で決まり、原則上位の者が上座につき、王将を使う。

(現役棋士は上から順に)

(1)名人、竜王

名人、竜王のタイトル保持者が異なる場合は、タイトル保持数(※)が多い棋士が上位。同じ保持数の場合は棋士番号が小さい棋士(先輩棋士)が上位。

※ タイトル保持数とは現に保持しているタイトル数のこと。タイトル獲得期数ではない。以下同じ。

(2)その他のタイトル保持者

タイトル保持数が多い棋士が上位。同じ保持数の場合は上の順位のタイトル保持者が上位。タイトルの順位は棋戦の契約金額で高額なものが上位。つまり、参考[1]の棋戦一覧で上のタイトルほど上位。現在は上から王位→王座→棋王→王将→棋聖の順。

(3)永世名人 - 現役襲位の場合

現役で永世名人を襲位した棋士が複数いる場合は先に襲位した方が上位。

(4)その他の永世称号襲位者 - 現役襲位の場合

永世称号の襲位数が多い棋士が上位。同じ襲位数の場合は永世称号の種類に関わらず先に襲位した者が上位。

(5)前名人、前竜王 (名人、竜王を失ってから1年間だけ名乗れる肩書き)

該当者が複数いる場合は名人又は竜王を失ってからの期間が短い者が上位。

(2020年2月21日追記、前名人、前竜王は2020年2月18日頃に廃止

(6)永世称号の有資格者

永世称号有資格者が複数いた場合はタイトルの種類に関わらず先に永世称号資格を獲得した者が上位となる。例えば森内俊之(2007年永世名人の資格取得)と佐藤康光(2006年永世棋聖の資格取得)が共に無冠なら先に永世称号資格をとった佐藤康光が森内の上位となる。

(7)段位

高段の棋士ほど上位。プロの最高段は九段、最低段は四段。同段の場合は先にその段になった棋士が上位。例えば加藤一二三九段と高橋道雄九段では先に九段になった加藤一二三の方が上位。

(引退棋士は上から順に)

(1)永世名人

該当者が複数いる場合は先に襲位した者を上位とする。

(2)その他の永世称号襲位者

永世称号襲位数が多い棋士が上位。襲位数が同じ場合は永世称号の種類に関わらず先に永世称号を襲位した棋士が上位。

(3)実力制名人 - 名人を1期以上(※)獲得した棋士

該当者が複数いる場合は先に名人を獲得した者が上位。

※ 実力制名人の条件は名人3期獲得又は抜群の成績で2期獲得した者だったと思うが、私が見た文献は1期以上だった。

(4)段位

高段の棋士が上位。同段の場合は先にその段になった棋士が上位。

(女流棋士)

わかりません。わかる方は教えてください。概ね"タイトルホルダー→クイーン称号襲位者又は有資格者→段位" となるのでしょう。

上の基準に基づくと例えば次のような順位となる。

1 名人、棋聖 (棋士番号 1001)
2 竜王 (棋士番号 1000)
3 棋王、王将
4 王位
5 王座
6 三十世名人 (現役) - 2281年12月現役で襲位
7 永世王位、永世棋王 (現役) - 2281年11月現役で襲位
8 永世王将 (現役) - 2281年3月現役で襲位
9 永世竜王 (現役) - 2281年10月現役で襲位
10 前名人 - 名人を失ったのが2282年7月
11 前竜王 - 竜王を失ったのが2281年12月
12 永世棋聖資格保持者 (2280年5月資格取得)
13 永世名人(2281年5月資格取得)、永世竜王(2281年12月資格取得)の資格保持者
14 九段 (九段昇段日 2280年1月、棋士番号1007)
15 九段 (九段昇段日 2280年3月、棋士番号1005)


上で述べたように対局では原則順位上位者が上座。おそらくその者が「王将」を使い、下位者が「玉将」を使うのだろう。しかし、必ずしもこの順位どおりに席などが決まるわけではない。例えば各タイトル戦ではタイトル保持者が必ず上座となる。羽生は七大タイトル全冠制覇を達成したとき名人・竜王・棋聖・王位・王座・棋王の六冠で、谷川浩司は王将(当時は一番下の順位のタイトル)だったが、王将戦では谷川王将が上座、羽生竜王・名人が下座だった。

その他にも先輩、後輩関係、実績の関係で順位が上でも上座を先輩や実績が上の人に譲ることがある。例えば、当時羽生二冠より順位が上だった渡辺明竜王が対局するとき、実績や先輩・後輩関係で最初渡辺が羽生に上座を譲ったことがある[3]。同様の例はいくらでもあるだろう。他にも、師匠-弟子の対決では順位に関わらず師匠が上座である。

このように原則順位が上の者が上座となるが、原則どおりでないことはよくある。むしろ、先輩、後輩の上下関係は順位に関わらずあるわけだし、先輩の上座に抵抗なく座れる棋士は少ないかもしれない。例えば、羽生は谷川のずいぶん後輩だが、現在タイトル保持者である羽生は常に谷川の上座に座っている。実績も順位も確かに羽生の方が上だが、すんなり上座に座れるのだろうか。

棋士の世界も上下関係はうるさそうだし、そう簡単な問題ではないと思う。

参考
[1]棋戦一覧:日本将棋連盟
[2]棋士の通算成績:日本将棋連盟
[3]渡辺明:"棋聖戦最終予選、対羽生二冠戦。" 渡辺明ブログ 2008.1.29

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(2014年2月10日追記)

これは私見だが、同時昇段等の場合の順位は序列規定の文献に明記されていない。だから正確には決まっていないというのが正しい。ただ、おそらく同時昇段の場合は棋士番号の小さい棋士が上位と扱われるのだろう。例えば佐藤天彦七段(棋士番号263)と豊島将之七段(棋士番号264)はともに2012年4月19日に七段に昇段したが、連盟公式ページでは佐藤天彦の方が上位に記されている。念のために説明すると、このページは同段位の場合上の行の棋士ほど早く昇段し、同行の場合は左の棋士ほど早く昇段。無論、規定に従えば早く昇段した棋士ほど上位。新人四段も同時昇段だが、成績が良かった順に小さい棋士番号となり上位となる扱いのようだ。

永世名人の同時襲位の場合などその他のケースでどの者が上位になるのかは不明。めったにない事だと思うが、仮にそういう事が発生したら議論されるのだろう。