「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「ジギタリス」

2009-06-06 17:00:41 | 和歌

 「ジギタリス」が日陰に咲いていた。
 
 この花は、森の中や岩石の多い土地でも逞しく自生している草花だそうだから、大きな樹の陰で育つのは平気なのであろう。木漏れ日がわずかに漏れてくるような、そんな空間に白い花が咲き上って、神秘的な雰囲気を漂わせていた。


  木漏れ日の木陰に降り立つ白妙の

  妖精ひともとジギタリス咲く



 「ジギタリス」の別名は「狐の手袋」。漢字交じりの花の名前は、殆どが和名のものが多いので、「狐の手袋」も和名に違いあるまいと早とちりしていたが、英語名「フォックスグローブ」の翻訳らしい。

 序でに「ジギタリス」に関連する情報を、備忘録代りに書きとめておきたい:
野生のこの花にはかなり強い毒性があるので、取扱いには注意を要すると言われている。表現は悪いが、
毒草とも言われる所以だ。元来、人類は毒物を上手に利用して、逆に薬として活かしてきた。ジギタリスも例外ではない。この花は昔から薬用植物として、殊に不整脈や心臓疾患の生薬として重用されてきたようだ。ジギトキシン他の成分が含まれた、葉の部分を乾燥した生薬だ。ジギタリスの薬用成分は、今や化学合成されているらしいが、薬に「ジギタリス」の名前が使われていることからも、この草花の果たした医学的な役割は計り知れないものがあろう。医学・薬学知識の全くない虚庵居士が、これ以上云々するのは差し控えねばなるまい。

 昔の人々は、この花の美しさと、怖さと薬効の素晴らしさを知り尽くしているがゆえに、様々な名前を付けて注意を呼びかけ、あるいは尊重してきたのであろう。「ジギタリス・狐の手袋」を始め、例えば、妖精の指ぬき、妖精の帽子、妖精の手袋、聖母マリアの手袋、魔女の手袋などと色々だ。花の中の斑点は、妖精の指あとだと語り継がれているが・・・。 


             妖精は指あと残していず方へ

             去りにけらしも花咲き待つに






             たまきわる尊き命のかずかずを

             救いたるかなジギタリスの花は






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