「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「丁字草・ちょうじそう」

2010-05-14 13:28:02 | 和歌
 
 ふた鉢の「丁字草」が揃って咲いた。

 この丁字草は富山に住む義姉から頂いてから、「うつろ庵」の庭でかれこれ二十年ちかくにもなろうか。ご無沙汰に打ちすぎているが、ご一家の皆さんも元気に過ごしているようなので、「便りの無いのが良い便り」と勝手な解釈をしているが、丁字草は毎年決まった時節になれば花を咲かせて、ご挨拶を欠かさぬ律儀者だ。時には電話やお手紙を出しなさいと、無言の訓えを頂く虚庵夫妻である。

 横須賀から車を走らせて富山までドライブを楽しんだのも、懐かしい思い出だ。 ご夫妻に案内されて
五箇山の合掌造集落まで足を延し、初めて熊汁をご馳走になり、岩魚の鰭酒を酌んだのが、つい昨日の
ように想いだされる。あの時ドライバーをかって出てくれた長男は、小学生の息子の写真を添えた年賀状を下さるので、その成長ぶりが年月の推移をしる「よすが」でもある。

 庭先の「丁字草」を株分けして下さったお土産を、新聞紙に包んで頂いて帰った。
丁字草の花が風に揺れれば、話しながら頻りに頷く義姉の仕草が偲ばれる。「うつろ庵」のいろいろな
草花の中でも、大切なふた鉢である。





            花咲けば義姉(あね)おもほゆる朝(あした)かな              
            丁字草の株根分けする手を


            ふた鉢の丁字草の花風にゆれて
     
            義姉の仕草をおもふ今日かな
 

            気がつけば永のご無沙汰いやさむと

            手紙に添えにし丁字草かな


            熊汁と岩魚のひれ酒恋しけれ

            丁字草咲き城端しのびぬ






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