「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「夾竹桃」

2014-08-24 00:13:30 | 和歌

 真夏のこの季節は、彼方此方で夾竹桃が咲き乱れている。

 紅白様々だが、何れも大変逞しい成長力があるので、二・三年で忽ち枝々は天を衝く程に徒長する。公園や団地の庭などでは、剪定を依頼された庭師は大胆にも、地上二メートル程の処で「バッサリ」と切断して、何食わぬ顔だ。
驚くほどの大胆さだが、次の年にはまた脇芽がにゅきにょきと芽吹き、枝は忽ち繁茂するので、そんな剪定も許されることになる。

 松や柘植などの庭木と違い、曲がりくねった枝ぶりを鑑賞するのではなく、自由奔放に伸びた枝先の花を愉しむのが、夾竹桃流の愉しみ方だ。 謂わば、普段着姿の元気な若い女の子と、気楽に声を掛けあうような趣きの花木だ。葉の一部分が枯れていようが、花が凋んだ後の花穂の摘み取りなど、面倒な手入れは一切お構いなしの、誠に気楽な花木なのだ。

 よそ行きのお化粧顏ではなく、すっぴんのアバタも笑窪と、観賞する側も肩ひじ張らずに愉しませて貰うのが夾竹桃だ。 だが近くに観れば、身震いするほどの美しさは譬えようもない。 花は、そして女性も、寄り添って観たいものだ。




           天を衝く逞しさかな枝々は

           花を咲かせる夾竹桃はも


           余りにも大胆なるかな幹共に

           バッサリ伐るとは 夾竹桃をぞ


           枯れぬかと心いためつ大胆に

           伐られし花木の 夾竹桃見て


           春来れば数多に芽吹く夾竹桃に

           ほっと安らぎ 花を待つかも


           普段着の夾竹桃にはこころ措かず

           通り過ぎにし花咲く頃も


           寄り添いて近くに観れば 斯くばかり

           気品に満ちた花にしびれぬ







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