写真は特に深い意味もない人面木。
道路から、今住んでいる「小さいお家」に入っていくアプローチにある。毎日、この顔を見ている。
さて、こっちに来てはじめて「学校理事会」に出席した。Board of Trusteeで、「(権限を)委任された人たちの会議」ってところ。学校理事会とか、学校評議会とか、さまざまな訳がありうるけれど、ここでは「学校理事会」としておく。ニュージーランドの教育に詳しい玉川大学の福本先生もそのように訳していたし。
簡単に細くしておく、学校理事会は日本にある似た名前の会とは比べものにならないほどパワフル。もちろんPTAなんて目じゃないほど。つまり、名実ともに実権を持っている。
教育委員会がなく、各公立校が教育省と個別に契約を結ぶこの国では、学校理事会がそのまま教育委員会の役割を果たす。学校運営にかかわるディシジョンをできるだけ現場の近くで行うという仕組み。財務、人事、カリキュラム、施設……といったマターがすべて学校理事会の管轄であり、法的な責任すら負っている。しかし、無給のボランティア。
で、以下、時系列に。
時系列の中に、ぼく自身にとっても新たな発見やら、ぼくは知っているけれどこのブログのほとんど読者が知らないかもしれない知識についてコメントが差し挟まれることになると思うので、恐ろしく読みにくいのは覚悟!
************
会議が始まる予定の1830きっかりに到着。
学校側スタッフが資料の準備をしている。第一副校長と、第二副校長、教員代表でカリキュラム担当のボードメンバー、さらに、学校の事務局長(school administration)で、ボードではミニッツセクレタリー(書記)をつとめる女性。これだけで4人。さらに校長も顔を出す。
保護者側で、最初にやってきたのは、議長。チェアマン。おもしろいのは、PTAのヘッドはプレジデントだけれど、ボードのトップはチェアマンなのだ。そいうや、15少年漂流記の寄宿校は「チェアマン校」だったし、島の名前もチェアマン島とつけたんだったよなあと思い出す。
で、議長は、背が高く物腰の柔らかなアングロサクソン。
後れて、女性のメンバー。地域との協議を担当する人。
さらにらもう一人男性。ファイナンス担当。
1840くらいに、議長からの議事の開始のアナウンス。
まず、出席についての確認。
apologyというのだけれど、これが必ず議事の冒頭に来るのが、この手の会議のきまりらしい。
ちなみに、役職は、議長、副議長(目下、欠員)のほかに、ファイナンス、施設、地域との協議、健康と安全、スタッフ代表/カリキュラム、法的な問題/自己評価、校長/人事担当、書記(ミニッツセクレタリー)がいる。書記は本当の意味で記録担当で、議事に参加する立場ではない。また二人の副校長も、正式メンバーではなく、必要に応じて発言権を与えられている、というニュアンスでそこにいる。
***************
実際の議事はまず、前回のミーティングの確認から。
すでに書記によって、ミニッツリポートができあがっている。それを確認する。さくっと済む。
内容はというと、「通信」の確認がまず最初にくる。それこそ、「教育新聞」であるとか、「NZSTA(ボードの支援組織)からのnewsletterであるとか、教育省からの連絡事項であるとか。また、外向きの通信(こちらから出したもの)についても、だれにどんなことを書いたかと述べられている。それこそ、「ファンドレイジングのための寄付についてのお願いを、AMIスタジアムのだれそれにした」とか。
また、それ以降、ボードがパブリックモードから、クローズドなコミッティモードに入る。スタッフ人事と生徒についての議論なので、プライバシーの問題からそうなったということ。その法的根拠も示される。ボードは法的な責任を負う、公の団体であり、基本的性格としてオープンであるため、クローズドにするためには根拠が必要らしい。
この件を延々と話し続けて2010にまたオープンモードへと復帰。
学校理事会メンバーで在任中に亡くなった人のメモリアルツリーについて議論される。
というふうなことが書いてあった。
この日、会議が終わったのは終わったのは2020とのこと。
*************
そして、今回も通信マターから話が始まる。
教育省から、学校支援ネットワークについての資料が来ていて、それについては校長が担当……とか割り振っていく。
NZSTAのニュースなどは全員目を通そうね、みたいなかんじで。10通の通信について、読んだり、返事したり、アクションを起こしたり、ということの確認。
さくっと終わった。
*************
時間がかかったのは、校長からボードへの報告。
ジェネラル・マネジャーである校長が、ガバナンスの側にいるボードに報告するわけだから、それは当然のことか。
この1ヵ月の校長の日々の行動やら決断やらを報告。
・ICT(Information Communication Technology)のミーティングに出席したこと。インターネットの回線のアップグレードを決断すべきという話。
・低学年のリテラシー教育の核となっているサウンドアライヴ(教材や、その使用法など、カリキュラムパッケージ)の担当者が訪れて、学校のリテラシーチームと協議した。リテラシーチームは、サウンドアライブを非常にうまく使って成果をあげている学校に1泊の予定で視察に行くことになった。
・アメリカからフルブライトのスカラーたちが4人来た。
・新しいスクールマネジメントシステムを作っている。今はMusac(http://www.musac.co.nz/)というソフトを使っている。それを、schola(http://www.schola.co.nz/)とschoolmaster(http://www.schoolmaster.co.nz/)というのに。ソフトウェアの話。なんだか「進んでいる」ぞ。
などなど
近々にあるイベントとして
・ティーチャーオンリーデイ。生徒はお休みで、先生だけが登校。研修にあてられるが、今年は学校の固有の文化について(教員が変わっても受け継がれるべきもの)理解を深めるというタスクを設定し、午前と午後に分けた長いセッションの予定の説明。
・近隣の学校で交流の深いところの校長が訪問する。上記の「固有の文化」について、教員が理解を深めることの意義を自校での実践を通じて強調している人物。
・地域との協議の進み具合の報告。
・ショーケースイブニング。地域の人たちを招いてコミュニティの中の学校を意識してもらう場であり、校長やボードからの短期目標、長期目標、大切にすべき価値・文化、特に将来計画の焦点としてe-learningの導入について語られる予定。生徒会からの発表もある。さらに生徒のパフォーマンスもあっててんこもり。当日の流れのダイアグラムみたいなものが示される。ここではじめてPTAの名前が出てくる。役割として「コーヒーとお茶を入れられるセットを用意。4カ所」とある。つい笑ってしまう。ちなみに、来週PTAの会合だ。きっとこの件が話し合われるだろう。
ここまでで1945。開始から1時間ちょい。
さらに施設の問題を校長から。
・学校の改装計画。図面をもってきて盛り上がる。今の状態は「ダンジョン」(迷路)だ、みたい。たまたまぼくの息子がいるルーム10が、来年、スタッフルーム(職員室)になる。
*************
1955
熱心な議論の後で、ちょっと空気がなごむ。めいめい、コーヒーをいれたりする。でも、まだまだ続く。
前回も議論された記念樹について、学校の緑を管理するボランティア組織からの提案を議論。
ここで2010。
デリケートな問題を語る、クローズなセッションに入るため、非ボードメンバーは退出。
ぼくも含めて、副校長も部屋を出た。
徹底している。
*****************
以上。
ぼくたちがいなくなってから、教員の評価について、特定の子の行動についてなど、プライバシーにかかわる問題が議論されたのであろう。
一般論として、人事、生徒の問題以外は、だいたいオーブンにしてしまっていいらしい。
学校のガバナンスを担う立場のボードとして、白熱するというよりも、どちらかというとリラックスした雰囲気で、議論が進んだのが印象的だった。
教員側メンバーも積極的に発言するし、保護者と教員の「分断」は感じられない。
いずれにしても、ぼくにとって最初のボード体験。
今回は見たことやら、印象やらを記するのみ。
まわりを固めて、体験も深め、いろいろ考えていくつもり。
道路から、今住んでいる「小さいお家」に入っていくアプローチにある。毎日、この顔を見ている。
さて、こっちに来てはじめて「学校理事会」に出席した。Board of Trusteeで、「(権限を)委任された人たちの会議」ってところ。学校理事会とか、学校評議会とか、さまざまな訳がありうるけれど、ここでは「学校理事会」としておく。ニュージーランドの教育に詳しい玉川大学の福本先生もそのように訳していたし。
簡単に細くしておく、学校理事会は日本にある似た名前の会とは比べものにならないほどパワフル。もちろんPTAなんて目じゃないほど。つまり、名実ともに実権を持っている。
教育委員会がなく、各公立校が教育省と個別に契約を結ぶこの国では、学校理事会がそのまま教育委員会の役割を果たす。学校運営にかかわるディシジョンをできるだけ現場の近くで行うという仕組み。財務、人事、カリキュラム、施設……といったマターがすべて学校理事会の管轄であり、法的な責任すら負っている。しかし、無給のボランティア。
で、以下、時系列に。
時系列の中に、ぼく自身にとっても新たな発見やら、ぼくは知っているけれどこのブログのほとんど読者が知らないかもしれない知識についてコメントが差し挟まれることになると思うので、恐ろしく読みにくいのは覚悟!
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会議が始まる予定の1830きっかりに到着。
学校側スタッフが資料の準備をしている。第一副校長と、第二副校長、教員代表でカリキュラム担当のボードメンバー、さらに、学校の事務局長(school administration)で、ボードではミニッツセクレタリー(書記)をつとめる女性。これだけで4人。さらに校長も顔を出す。
保護者側で、最初にやってきたのは、議長。チェアマン。おもしろいのは、PTAのヘッドはプレジデントだけれど、ボードのトップはチェアマンなのだ。そいうや、15少年漂流記の寄宿校は「チェアマン校」だったし、島の名前もチェアマン島とつけたんだったよなあと思い出す。
で、議長は、背が高く物腰の柔らかなアングロサクソン。
後れて、女性のメンバー。地域との協議を担当する人。
さらにらもう一人男性。ファイナンス担当。
1840くらいに、議長からの議事の開始のアナウンス。
まず、出席についての確認。
apologyというのだけれど、これが必ず議事の冒頭に来るのが、この手の会議のきまりらしい。
ちなみに、役職は、議長、副議長(目下、欠員)のほかに、ファイナンス、施設、地域との協議、健康と安全、スタッフ代表/カリキュラム、法的な問題/自己評価、校長/人事担当、書記(ミニッツセクレタリー)がいる。書記は本当の意味で記録担当で、議事に参加する立場ではない。また二人の副校長も、正式メンバーではなく、必要に応じて発言権を与えられている、というニュアンスでそこにいる。
***************
実際の議事はまず、前回のミーティングの確認から。
すでに書記によって、ミニッツリポートができあがっている。それを確認する。さくっと済む。
内容はというと、「通信」の確認がまず最初にくる。それこそ、「教育新聞」であるとか、「NZSTA(ボードの支援組織)からのnewsletterであるとか、教育省からの連絡事項であるとか。また、外向きの通信(こちらから出したもの)についても、だれにどんなことを書いたかと述べられている。それこそ、「ファンドレイジングのための寄付についてのお願いを、AMIスタジアムのだれそれにした」とか。
また、それ以降、ボードがパブリックモードから、クローズドなコミッティモードに入る。スタッフ人事と生徒についての議論なので、プライバシーの問題からそうなったということ。その法的根拠も示される。ボードは法的な責任を負う、公の団体であり、基本的性格としてオープンであるため、クローズドにするためには根拠が必要らしい。
この件を延々と話し続けて2010にまたオープンモードへと復帰。
学校理事会メンバーで在任中に亡くなった人のメモリアルツリーについて議論される。
というふうなことが書いてあった。
この日、会議が終わったのは終わったのは2020とのこと。
*************
そして、今回も通信マターから話が始まる。
教育省から、学校支援ネットワークについての資料が来ていて、それについては校長が担当……とか割り振っていく。
NZSTAのニュースなどは全員目を通そうね、みたいなかんじで。10通の通信について、読んだり、返事したり、アクションを起こしたり、ということの確認。
さくっと終わった。
*************
時間がかかったのは、校長からボードへの報告。
ジェネラル・マネジャーである校長が、ガバナンスの側にいるボードに報告するわけだから、それは当然のことか。
この1ヵ月の校長の日々の行動やら決断やらを報告。
・ICT(Information Communication Technology)のミーティングに出席したこと。インターネットの回線のアップグレードを決断すべきという話。
・低学年のリテラシー教育の核となっているサウンドアライヴ(教材や、その使用法など、カリキュラムパッケージ)の担当者が訪れて、学校のリテラシーチームと協議した。リテラシーチームは、サウンドアライブを非常にうまく使って成果をあげている学校に1泊の予定で視察に行くことになった。
・アメリカからフルブライトのスカラーたちが4人来た。
・新しいスクールマネジメントシステムを作っている。今はMusac(http://www.musac.co.nz/)というソフトを使っている。それを、schola(http://www.schola.co.nz/)とschoolmaster(http://www.schoolmaster.co.nz/)というのに。ソフトウェアの話。なんだか「進んでいる」ぞ。
などなど
近々にあるイベントとして
・ティーチャーオンリーデイ。生徒はお休みで、先生だけが登校。研修にあてられるが、今年は学校の固有の文化について(教員が変わっても受け継がれるべきもの)理解を深めるというタスクを設定し、午前と午後に分けた長いセッションの予定の説明。
・近隣の学校で交流の深いところの校長が訪問する。上記の「固有の文化」について、教員が理解を深めることの意義を自校での実践を通じて強調している人物。
・地域との協議の進み具合の報告。
・ショーケースイブニング。地域の人たちを招いてコミュニティの中の学校を意識してもらう場であり、校長やボードからの短期目標、長期目標、大切にすべき価値・文化、特に将来計画の焦点としてe-learningの導入について語られる予定。生徒会からの発表もある。さらに生徒のパフォーマンスもあっててんこもり。当日の流れのダイアグラムみたいなものが示される。ここではじめてPTAの名前が出てくる。役割として「コーヒーとお茶を入れられるセットを用意。4カ所」とある。つい笑ってしまう。ちなみに、来週PTAの会合だ。きっとこの件が話し合われるだろう。
ここまでで1945。開始から1時間ちょい。
さらに施設の問題を校長から。
・学校の改装計画。図面をもってきて盛り上がる。今の状態は「ダンジョン」(迷路)だ、みたい。たまたまぼくの息子がいるルーム10が、来年、スタッフルーム(職員室)になる。
*************
1955
熱心な議論の後で、ちょっと空気がなごむ。めいめい、コーヒーをいれたりする。でも、まだまだ続く。
前回も議論された記念樹について、学校の緑を管理するボランティア組織からの提案を議論。
ここで2010。
デリケートな問題を語る、クローズなセッションに入るため、非ボードメンバーは退出。
ぼくも含めて、副校長も部屋を出た。
徹底している。
*****************
以上。
ぼくたちがいなくなってから、教員の評価について、特定の子の行動についてなど、プライバシーにかかわる問題が議論されたのであろう。
一般論として、人事、生徒の問題以外は、だいたいオーブンにしてしまっていいらしい。
学校のガバナンスを担う立場のボードとして、白熱するというよりも、どちらかというとリラックスした雰囲気で、議論が進んだのが印象的だった。
教員側メンバーも積極的に発言するし、保護者と教員の「分断」は感じられない。
いずれにしても、ぼくにとって最初のボード体験。
今回は見たことやら、印象やらを記するのみ。
まわりを固めて、体験も深め、いろいろ考えていくつもり。