以前「 五匹のタテガミオオカミの話」というエントリを書いたのだけれど、その内容について「どうぶつと動物園」の編集者から指摘を受けたので、訂正いたします。
指摘して頂いたポイントというのは、元々の文章では、「どうぶつと動物園」には死亡した動物を報せるコーナーがなかった、と読める部分があって、それが事実誤認だそうです。1949年にスタートしたこの機関誌の初期には、来園と死亡を伝えるコーナーがあった、と。
また1949年からこれまでに、来園・誕生・移動・死亡記事の総数は8100件ほどあって、そのうち300件は死亡記事だそうなので、「死亡がまったく伝えられない」というふうには誤解してほしくないとのこと。
もっとも、タテガミオオカミがいた時期には、「死亡コーナー」はなかったようで、正田先生の記憶の通り、「来園は伝えられたが、死亡は伝えられなかった」模様。ただし、ここちにも訂正すべき論点があるので、少々、細かく書いておきます。
まず、二十世紀中のタテガミオオカミの来園は、1969年、1972年、1974年の三回。
正田先生の記憶では「一頭ずつ」だったのが、実はペアで来園、とのこと。
で、この三回とも「来園」の記事は出て、しかし、死亡の記事は出なかったのは事実。二度目のペアが来た時に「これで合計三頭になった」という主旨の記述があって、その部分に「一頭の死」が仄めかされているだけ。
というわけで、実際に「どうぶつと動物園」だけを子細にみている熱心なファンがいたとしたら、1975年から85年までのほぼ十年間(三回目のペアの片割れが死んでから、もう片方が死ぬまで)「五頭いるはずなのに一頭しかいない。なぜか」という状態だったのは確かなようです。
その意味では正田先生のお話しは正確なのだけれど、ただ、編集者さんがこだわったのは、「ペアで来園」の部分。正田先生は「死ぬたびに一頭ずつ」とのことだったのだけれど、さすがに動物園なのでそういう変な飼い方はしない。つまり、繁殖できる態勢で必ずペアを導入したのだ、ということでした。
まとめ、事実誤認は2点。
(1)「どうぶつと動物園」の初期には、動物の死亡を掲載するコーナーがあった。
(2)タテガミオオカミが来園した際には「一頭ずつ」ではなく、「ペア」だった。
以上です。
ご指摘ありがとうござました!>編集者さん。
でこれにともない、「動物園にできること」の文庫版あきがきでも訂正が入ります、337ページの冒頭の段落、差し替え。次回の版で反映させます。
以下、差し替え部分。
指摘して頂いたポイントというのは、元々の文章では、「どうぶつと動物園」には死亡した動物を報せるコーナーがなかった、と読める部分があって、それが事実誤認だそうです。1949年にスタートしたこの機関誌の初期には、来園と死亡を伝えるコーナーがあった、と。
また1949年からこれまでに、来園・誕生・移動・死亡記事の総数は8100件ほどあって、そのうち300件は死亡記事だそうなので、「死亡がまったく伝えられない」というふうには誤解してほしくないとのこと。
もっとも、タテガミオオカミがいた時期には、「死亡コーナー」はなかったようで、正田先生の記憶の通り、「来園は伝えられたが、死亡は伝えられなかった」模様。ただし、ここちにも訂正すべき論点があるので、少々、細かく書いておきます。
まず、二十世紀中のタテガミオオカミの来園は、1969年、1972年、1974年の三回。
正田先生の記憶では「一頭ずつ」だったのが、実はペアで来園、とのこと。
で、この三回とも「来園」の記事は出て、しかし、死亡の記事は出なかったのは事実。二度目のペアが来た時に「これで合計三頭になった」という主旨の記述があって、その部分に「一頭の死」が仄めかされているだけ。
というわけで、実際に「どうぶつと動物園」だけを子細にみている熱心なファンがいたとしたら、1975年から85年までのほぼ十年間(三回目のペアの片割れが死んでから、もう片方が死ぬまで)「五頭いるはずなのに一頭しかいない。なぜか」という状態だったのは確かなようです。
その意味では正田先生のお話しは正確なのだけれど、ただ、編集者さんがこだわったのは、「ペアで来園」の部分。正田先生は「死ぬたびに一頭ずつ」とのことだったのだけれど、さすがに動物園なのでそういう変な飼い方はしない。つまり、繁殖できる態勢で必ずペアを導入したのだ、ということでした。
まとめ、事実誤認は2点。
(1)「どうぶつと動物園」の初期には、動物の死亡を掲載するコーナーがあった。
(2)タテガミオオカミが来園した際には「一頭ずつ」ではなく、「ペア」だった。
以上です。
ご指摘ありがとうござました!>編集者さん。
でこれにともない、「動物園にできること」の文庫版あきがきでも訂正が入ります、337ページの冒頭の段落、差し替え。次回の版で反映させます。
以下、差し替え部分。
東京動物園協会の正田陽一副会長から、「五匹のタテガミオオカミ」の話を聞いたことがある。上野動物園では1969年から85年にかけて南米産のタテガミオオカミを飼っており、東京都の動物園の機関誌といえる「どうぶつと動物園」では、新しい個体がやってくるたびに記事にしていた。しかし、死を知らせるニュースは掲載されなかったため、ある時、地方から上京した熱心な動物園ファンがタテガミオオカミを見て、「五頭いるはずなのに一頭しかいない。なぜか」と問うた。