川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

「宇宙留学」と「青い海の宇宙港」

2016-07-30 22:44:58 | 日記

書店に並んだばかりの「青い海の宇宙港・春夏篇」、そして、8月5日発売の「青い海の宇宙港・秋冬篇」は、限りなく種子島のような架空の島、「多根島」を舞台にして、「宇宙遊学生」の1年を描いた物語です。

販促用のちらしはこちらからダウンロードできるので、よろしければご覧くださいませ。多少詳しいことが書いてあります。(販促用なので、転送など、大歓迎です)

さて、すでに春夏篇を読んだ方から「宇宙遊学って本当にあるの?」と聞かれることが多いです。その疑問に回答しつつ、その関連のこともまとめておこうと思い、この記事をアップしておきます。

 まずは──

回答

宇宙遊学、あります!

ただし、実在の制度は「宇宙留学」と呼ばれています。

 

ぼくは、2012年度、宇宙留学の取材のために何度か、種子島を訪ねました。

そして、名は挙げませんが宇宙センターから一番近い小学校におじゃまして、宇宙留学生や地元児童と交流することができました。

授業のコマを1時間いただいて、宇宙について取材していることを伝えたり(今、民間の宇宙開発が進んでいるみたいな話で、北海道のインターステラテクノロジズのことなんかも話しました)、これからは宇宙の仕事がもっと増えていくぞーとか、煽った(笑)気がします。昼食を一緒にたべて、宇宙留学についてのあれこれを教えてもらったりもしましたっけ。

放課後は男の子グループと一緒に遊んでもらって、彼らの秘密基地を見せてもらったのはすばらしい思い出です。冒頭の写真は、その秘密基地からの帰り道ですね。

その後、秘密基地はバレちゃうんですが、バラしたのはぼくではないですよ。なんと彼らが持っているデジカメのせいなんです。子どもたちは携帯は持っていなかったけど、デジカメは持っていて、みんな思い出を撮っておきたがるわけです。もちろん、秘密基地も(笑)。そりゃあ、ばれますよね。里親さんたちに「これ、どこ?」と聞かれて、追究されてしまう、と。

それはそれとして、夜の打ち上げをみんなで見たのも楽しかったなあ。一緒になって興奮して飛び跳ねて。その時に、おじゃまして打ち上げを見させてもらったお家が、見晴らし最高で、本作の主人公の家のモデルになっています。

あの時、取材させてくれた皆さんは、今ではもう中学生、高校生のはず。もしも、本が出たのを見つけて連絡くれたら送るからね、とは言ってありますが、はたしてだれか見つけてくれるでしょうか。

なお、物語の中で、宇宙遊学の1年のを終えた子は、のちに振り返ってこんなふうに書きます。まだ出版されていない秋冬篇の一部ですが、すでに雑誌掲載時に一度は出ているものですから、ネタバレというよりも、既出の引用だと思ってください。

 

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 宇宙遊学の一年間は、森の緑と海の潮の匂いがまざった濃密な空気の中で、時間の流れが引き伸ばされたみたいに感じられた。ウミガメに連れられて竜宮城に行った浦島太郎とは違うけれど、宇宙遊学が始まった日と終わった日には、何かくっきりと線が引かれていて、その二本の線の間だけ不思議なくらい長かった。これは、島で一年を過ごした子どもたちは、だいたい似たような感想を抱く。
 島の時間は、特別。経験者は、みんなそう思っている。

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(「青い海の宇宙港」の「終章・永遠のタイムカプセル」より。)

 

「青い海の宇宙港」もつまりはそのような作品です。

輝かしい1年間を、宇宙に行くロケットの製作と重ねあわせて描き、「かぎりなく引き伸ばされた一瞬」として描いています。本当はこの倍くらい書きたかったけど自制してやめました(笑)。

しかし、すでに春夏篇の段階で、「悶絶するくらいこの子たちが羨ましい」とか「こんな小学生時代が自分にもあったら」とかコメントいただいているので、たぶん、その部分は成功しているのだと思います。

以上、宇宙遊学にまつわるコメントでした。

もしも気になって手にとってくださるなら、心からエンジョーイ!であります。