アフリカ農場物語〈上〉 (岩波文庫) 価格:¥ 630(税込) 発売日:2006-07 |
というわけで今手元にない。あらためて、下巻を含め発注しているところ。
で、これは非常に良い作品(上巻しか読んでいないけれど)。
土着のランドスケープがきちんと見えてくる。
ここを知らない人がビジュアルとして思い浮かべるのは困難かもしれないが、その空気感を表現してあまりある。
東ケープは、ケープといいつつ、南アの東海岸の半分くらいを占める。
このあたりはバンツー系のコーサ人がたくさんいて(南ア最大のエスニックグループ、人口の20パーセント弱)、小説中ででてくるカフィールというのもたぶんそう。
コーサ人は19世紀に、預言者の少女が「牛をすべて殺せばすべてよくなる」ということを言い出して、四十万頭牛を殺してしまったとか、いろいろなヒストリーがあって、きょうの彼らがおり、今の南アにもつながっている。
コイサン系と同じくクリック音を使うのが特徴。
きのう。国立公園をガイドしてくれた青年が、コーサ語でうたを歌ってくれた。すごい言語だ。言葉の中にパーカッションがあるような。
と思い切り脱線ですが。
アフリカ農場物語は、古く良き小説です。丹念に生活を活写し、日本でいえば「土」(長塚節)に相当するような。
もちろん。空気感は全然違い、その違いこそがアイデンティティになるような書かれ方をした作品です。