川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

五匹のタテガミオオカミの話

2004-12-19 23:16:33 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
エンリッチメント大賞で、コミュニティ賞を受賞した、旭山の「赤パネル・青パネル」。

これが画期的なのは、動物園で死んだり・転園した動物を全部、情報開示する仕組みだってこと。
動物園って、生まれたとか、来た、とか、そういう情報は積極的に公開すけれど、死については、固有名詞がつくような人気動物以外は表に出さない。それこそ、パンダとかゴリラとかゾウクラスになって、はじめて、「死にました」という発表がされるわけ。

それを旭山は、死んだのも含めて全部公開することにした、と。おまけに、過去のデータもすべて、一般の人がアクセスできるような形で残している。
これは世界の動物園の中ではきわめて画期的なことなのです。

生まれるものもいれば、死ぬものもいる。
たぶん、生まれるよりも、死ぬ方が多い。
だから、動物園は死を語りたがらない。それをあえて語ることは、たとえば、飼育について常にベストを尽くしていることを要求されるだろうし、批判に晒される可能性も常にある。
それでも、やる。
という部分に心意気をかんじたりするわけです。

選考会議中の雑談で、正田先生に聞いた話。
上野動物園でも、新たに入った動物については「どうぶつと動物園」という会報(?)掲載するけれど、死亡動物はあえて伝えていないということ。だから、「どうぶつと動物園」だけを見ていると、ひたすら動物が増えているように思えるのだそう。
たとえば地方の動物園ファンが上京して、上野動物園にはタテガミオオカミが五匹いるはずだ、なんて言ったりする。

でもね、実際のところは、死んだから新たに取り寄せたわけで、常にタテガミオオカミは一匹だったのだそうです。
その時、そのファンになんて説明したのか、ききそびれちゃったのが残念。
いずれにしても、とても印象的なお話でした。
(↑の話、「どうぶつと動物園」の編集者から指摘を受けて、事実誤認があることがわかりました。 「五頭のタテガミオオカミ」についての訂正(および、「動物園にできること」の差し替え)をごらんください)

そして、赤パネル・青パネル、すごいと思います。


そうだ、エンリッチメント大賞、出てます

2004-12-19 03:40:39 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
市民ZOOネットワーク エンリッチメント大賞2004

忘れてました。ごめんないさい。
ここで各大賞がみられます。

ぼくが絶対に賞をとってほしかったのは、動物園コミュニティ賞の「赤パネル・青パネル」です。
ほかのもとても納得感の強い、受賞でした。