海山の創作ノート

工房T 海山の書、印、絵、版画、工作、etc.日々の暮らしの中で出来た作品を紹介します。 さて、今日は何を作るかな。

No.292 「赤い椿白い椿と落ちにけり」

2008-01-07 | 


今年最初の書作品です。
毎年恒例の書展に出品、
只今展示中です。

この作品は、昨年末まで書いていて、
今年になって表具、
展示当日の朝に出来上がったものです。
(本当にぎりぎりなのだから)

この句は、若い頃から一度は作品にしてみようと
目論んでいましたが、
句の解釈において、まだその心境に至らずに
あたためておいたものなのです。

この句は、情景が目に浮かぶような
視覚的なものですが、
そればかりではなく、別の深い意味が込められています。
まるで、椿の花が落ちるように、
碧梧桐の周りの友がこの世を去った、というのです。

ですから、そんな心境を理解しなければ
書けない、
そして、ただきれいな作にはしたくなかったのです。

このブログを始めたのも
肉親との別れの悲しみを忘れるためでもありましたが、
あれから更に、叔父、叔母を失い、
大学時代の友人、そして、高校時代の同級生、
お世話になった先輩や同僚…、
と悲しい知らせが、相次ぎました。
そんな年齢になったのですね。

やっと、この句のことが少しは理解できると思い、
昨年のうちに何度か書いてみましたが、
結局、ただ淡々と気持ちを込めて書いたものを選びました。

この3年ほど、書としては、
俳句の作品ばかりを出してきましたが、
この作品を機に、気分を変えてみようか、とも思っています。

去っていった人達のことを思いつつ


50×76センチ