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実話

2012-07-11 06:52:01 | Weblog
米国の作家ポール・オースターが、「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」を始めたのは1999年のことだ。直訳すれば「国民の物語事業」か、人々がひっそりと抱える「作り話のように聞こえる実話」「紙に書きつけたいという気になるほど大切に思えたたいけん」を募ったら、1年で4千通も集まり本になった(訳書・新潮社)。

ある心臓外科医は、70代の男難手術を施した。3日後に心停止。3時間後に何とか蘇生したもの、奇妙なことが起きた。男は20年余りの記憶を失い、自分を50歳と思い込んでいた。

のちに外科医は知る。男は酒乱で妻に暴力を振るっていたが、記憶を失ってからは酒も飲まず、愛情深い夫として、静かに人生を閉じた。誰にでも、誰かに伝えたくなるような大切な話がある。そこかしこで「私の物語」が読み手を待っている。