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こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

慢性鬱病患者の朝の1曲 : ニューオーダー「Regret」

2006-02-23 23:52:01 | 音楽帳
最近、朝、ニューオーダーの曲を聴いている。
今朝も「リグレット」で、独り盛り上がっていた。

かたちんばは相変わらず、自分の世界で、自分流の時間の流れの中で生きているので、世間の時間速度と違い、突然、自分の中で、時代遅れな曲がブレイクしたりする。

ニューオーダーの「Regret(リグレット)」【写真】という曲は、かつて聞いたときに「面白くない」と思ったものだが、最近、急に良くなり、いきなりブレイクなのだった。
シングルで発売されたこの曲は、アルバム「リパブリック」に入っている。

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彼らを僕はテクノの文脈で捉えていた。
初めて聴いたのが「テンプテイション」の7インチシングルで、それまで聴いたこと無い怪しいテクノの音に魅力を感じた。

彼らの音に、80年代初頭、決して、心酔していた、という訳では無い。
ただ、80年代初頭から、かたちんばは、係わり合いは深かった。好きな曲は多くあったし、その暗さにシンパシーを抱いていたのも事実だ。だが、「ロウ・ライフ」で一旦、聴くことが切れた。「ブラザーフッド」は聴いていない。
そして、いきなり「テクニーク」に飛ぶが、そこで、いつの間にか、ニューオーダーはシーンの真ん中にいて、フォロワーを作り出していた。

さらに、2006年の今年、クルマのさわやかなCMに、何とニューオーダーが流れている・・・。

ニューオーダーは、絶望的でアンダーグラウンドな「どん底」の世界から始まって、、、、、さわやかなCM挿入曲の世界にいたるという、実に、不思議な経過を辿った類いまれな不思議なグループである。

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ニューオーダーが大好きだったのは、まずは、ニューウェイヴ・テクノの分野の音楽であり、独自の音を追求している点だった。
イアン・カーティスが首吊り自殺をして死去の後、ニュー・オーダー(=新しい秩序)という名前で再出発をした彼らが、最初に選んだのは、元ジョイ・ディヴィジョンの「セレモニー」のセルフカバーであった。
ここから、「新しい秩序」、新しいグループとしての音を発見するための、戦いが始まった。
ニューオーダーが極めて凄いのは、これは当時の彼らの生理的なやむをえない選択だったのかもしれないが、ジョイ・ディヴィジョンというのを1回消し去り、新たな「ニューオーダー」の音を作り出すために、1から音楽を分解し、組み立てていく作業を経て、自分らの音を見い出だして行った点だ。

だから彼らの音には独自性があり、絵画的構成的サウンドなのだ。

どうしようも無く下手くそで、どうしようもなく原始的なのに引き付けられる。
クラフトワークにも通ずる自分らが確立したパターンを繰り返し踏襲しながら前進していくスタイルに惹かれる。

初期の12インチシングル「Everything's Gone Green」「テンプテイション」など、また、ファーストアルバム「ムーヴメント」は、その試行錯誤と経過が収まっている。当時高校生の僕は、時に「まったく出来損ないのガラクタ音楽!」という風に、思わず、レコードを叩き割ってしまいたい衝動もあったものだが、今聞くと、まさしくニューオーダーはもがきながら、何とか新しい自分らのサウンドを作り出そうとしている。暗い中で、実験的に音を積み木のように配置しながら、新しい音楽を構成しようとしている。
今の音を聴いてニューオーダーを知った若い人には、さかのぼって聴かせるには、オススメ出来ない「痛い」代物だ。
だが、今、39歳になった僕は、腐れ縁というか、ニューオーダーの経過が分かるからこそでもあるが、この時期の音を素直に好きだと言える。

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アンダーな世界をひきずりながら、テクノ、エレクトロの手法を使い、花開いたセカンドアルバム「権力の美学」、そして、3枚目「ロウライフ」までが個人的に好きなものだ。

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僕は長い間、ギターという楽器こそが、悪しき「ロック」という惰性音楽の、悪しき象徴と感じていた。
ギターという楽器を憎み、それを陶酔して弾くアーチストを軽蔑していた。
一時期、ギターとは聴くだけで、アタマが混乱し、胃が痛くなる、避けて通ってきた楽器だった。

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ただ、ニューオーダーのギターには、さほど抵抗が無い。
決してロックンロールの文脈からのギターでは無いからであろう。

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初期3枚のアルバムが好きなのは、ニューウェイヴであり、テクノである点だった。
それゆえ、それ以降の音の熱心なファンでは無かったが、最近、「ロックンロールでは無いギター」ということで、ギターバンドとしての側面から聞き出すと、実にユニークで、面白く聞こえだした。
2000年代に入って出た「クリスタル」というシングルは、モロ・ギター中心のサウンドだが、これも良い。

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絶望を経過した者だからこその、ニューオーダーの明るさは、なかなか良い。
この曲も、リグレット=哀しみ、といいながら、希望を感じてさせる、ほんのりと漂う明るさが、かたちんばには、うれしい。

初期のくぐもった暗い絶望的ヴォーカルからは考え難い、伸びやかでしなやかな、ツヤのあるバーナード・サムナーのヴォーカルが、美しく、そして切ない。
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