不思議なもので、パソコンで、○の21という記号を探そうとすると、全く無いことがわかる。
○は、20で打ち止めなのだ。
⑳がムーンライダーズの名曲「くれない埠頭」だったが、その後、世間で言う3連休が来た。
思えば、昨年の今頃は必死に、瀕死のネコ・まみちゃんとの最後の共同生活をしていた。
もう間もなく死ぬ事がわかっていながら、彼と添い寝をしながら、最後の想い出創りをしていた。
苦しければ、クスリを飲ませ、カラダをさすりながら抱きしめ、一緒に寝て、一緒に部屋で過ごした。
もう、あれから1周忌をむかえようとしているのだ。
土曜、そして、日曜と、世間を遮断し、窓のスクリーンを下ろし、ひたすら寝たり起きたり。
残った冷蔵庫の食材をむさぼりつつ、ビールをひたすら呑み、録りだめたラジオのmp3を聴き、たまに音楽を聴き、惰眠をむさぼる。
ひたすら、家の中に籠もり、静かなウツ的世界に染まる日々。
あれほど、猛暑は11月まで続くだの・今年の秋はない・だの言っていたが、陽が短くなっていくとの連動して、着実に、猛暑は沈静化に向かっている。
やっと、生き物たちも喜んでいることだろう。
ニンゲンなどは、どうでもいいのだが。
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いったん1982年に解散したジャパンのメンバー4人で創った一時的ユニット、レイン・トゥリー・クローの1991年のアルバム「レイン・トゥリー・クロー」が好きである。
藤原新也さんのアメリカで撮影した写真集の1枚がジャケットになっている。
中身としては、インプロヴィゼイションが中心の、とても抽象的なジャパンとはほど遠い音だったが、素晴らしい出来であった。
個人的に好きなのが、この4曲目の「レッド・アース(アズ・サマータイム・エンズ)」である。
この曲には、元ジャパンの4人以外に、コンガでマイケル・ブルック、アコースティック・ギターでフィル・パーマーが参加している。
まさに、まぼろしじみた夏の暑さと、そのもうろうとした世界/その盛りを過ぎて落ちていく盛夏の終わり・・・そういった雰囲気が、音の中にかもし出されている。
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ジャパンというバンドは、たぶん坂本龍一・YMO・矢野顕子に出会わなかったら解散をする結末を向かえなかっただろうし、バンドとしての最後の大爆発アルバム「ブリキの太鼓」も出来なかったはずである。
坂本龍一・YMO・矢野顕子が、彼らに「音楽という世界のまだまだ広い可能性を示した」ことが、それぞれに明るい未来と、「ここにとどまってはいられない」という、その可能性の実現に向けたソロ活動に向かわせたのである。
全ては、そこから決裂とバンドの崩壊が始まったのだ。
「レイン・トゥリー・クロー」は、極めて地味でロック的で無いながら、1991年当時、高評価を受けたのには意外に思ったものだった。
それぞれが距離を置く関係になってしまったからには、二度と再結成などはありえないのだが、4人が組み合わさると、凄い世界が展開するのだという実力を示した形となった。
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2010年。
僕は、今でもこのアルバムが好きで、たまに魂の沈静化のために、引きづり出してくる事がある。