糸井さんの「YOU」との同時中継の企画。
「YOU」のスタジオの中に箱を作って、そこで「サウンドストリート」をやっていた記憶がある。
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【アルコ堂ホームページより】
NHKのTV番組YOU(今のソリトンの前身?番組)のセットの一部に確かガラス張の部屋を作り、そのなかをサウンドストリートのスタジオとし、ゲストはそのスタジオとYOUのスタジオをいったりきたりして番組を進行しました。
YOUは7/9に放送されています。
TVの司会は糸井重里、河合美智子(現オーロラ輝子)ゲストは中沢新一、鴻上尚次、原田知世でした。
ちょうどニューアカデミズムがブームになっていた頃で、「逃走」や「煮詰まり」、「送り手と受け手」等をテーマに番組が進みました。
ゲストの行き来が頻繁で、ちょっとあわただしい放送でした。
当時のニューアカデミズムは、今から考えると余裕というかゆったりとものを考える時間があったのだなあという印象もあります。
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<中沢新一とのトーク>
1・ローリー・アンダーソン 「KOKOKU」
<河合美智子が「YOU」の方から入ってくる。>
2・DavidSylvian 「ノスタルジア」
<新井素子が入ってくる。>
3・カーメル 「TheDrumIsEverything」
<「YOU」の糸井重里・鴻上尚司との中継>
鴻上「私も来たくて来たんじゃないです。
ラジオは飽きたんですよ。暗いなあ~。
僕はまだ25なんですよ。
浅田彰をどう潰すか考えましょう。」
中沢・坂本「なんであんな可愛い人を。」
鴻上「フォーク歌手みたいでしょ。」
中沢「どのへん?」
鴻上「さだまさしとか。」
坂本「そっち(YOU)はどういう話していたの?
こちらは、クロウトがいかに行き詰っているかを話してたの。」
鴻上「シロウトもねえ~。長く生きてりゃ行き詰まってきますよ。」
糸井「芝居初めて何年?」
鴻上「3年です。」
糸井「3年で行き詰まりなんてよく言うよ。」
糸井「受け手の方が長くなかった?要は、見る側として。」
鴻上「随分芝居見たけど、面白いものなかったから。」
糸井「それで作るようになったの?」
鴻上「それもありますね。」
糸井「それで、ボロクソ言われたらどうするの?」
鴻上「言われたことないですからねえ。」
糸井「・・・坂本君。いびる?」
中沢「若い者いじめしようか。」
糸井「3年だと、まだ受け手感覚じゃない?」
鴻上「送り手になったら終わりですね。
いつまでも、受け手感覚でいないと。」
河合「昔は1つの目標があって、それに対して努力するというのがあったけど、
今はチャンスがそのへんにゴロゴロあって、急に送り手側に変わっちゃう人が多いなと思う。」
鴻上「意気込んでやると、潰れるんじゃないかな。」
中沢「逆に、戻れるでしょ?」
坂本「本当に、すぐ戻れるんだよね。
今は、僕は、1回始まっちゃったから、戻りにくいじゃない。
自分のお金で生きてる人が居たりすると。」
中沢「なるほど。」
坂本「だから、浅田君じゃないけどさ。
すぐ逃げる、戻れるようにしておかないと・・・。」
4・オカモト・セイロウ 「マーブル・ウォーター」(デモ・テープ)
<原田知世が入ってくる。>
河合「原田さんと話しちゃった・・。あとでサインください。」
坂本「実に、受け手的な会話。」
中沢「私もサインください。」
坂本「僕も。」
5・戸川純 「レーダーマン」
<糸井重里が入ってきた。>
6・細野晴臣 「ゼビウス」
<荻野目慶子が入ってくる。>
ゲーム「ゼビウス」を作っているクリエイターも入ってきた。
クリエイター「コンピューター時代は必ずやってきますから。
やれない人はニンゲンやめるしかない、という。」
7・メビウス・プランク・ニューメイヤー 「ビッチ・コントロール」
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80年代は、糸井重里が、かつてゲバ棒を振るって、学生運動をしていた、そのゲバ棒を「コピー」という別の手段に変えて、日本の社会構造を壊していった時代だった。
「プロ」と「アマ」、「クロウト」と「シロウト」、「カルチャー」と「サブカルチャー」、「送り手」と「受けて」の落差を融解させてしまった張本人=確信犯が、糸井重里である、と僕は思っている。
それは、まさに「革命」であり、僕は、その「革命」を体感した。
大きな時代の変革を目の当たりにした1人である。
・・・・という訳で、いまや、こうして、その20数年後、
世界全体に開いた「窓=Windows」から、1個人が、カンタンに世界への「送り手」になれる時代になってしまいました。