こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

細野晴臣 「medicine compilation」 '93

2006-11-16 23:40:07 | 音楽帳
細野さんの音楽に傾倒している最近、また聴きだしたのが、1993年の作品「メディスン・コンピレーション」。
大阪に居た1994年下期 秋から冬にかけて、猛烈に聴いたもの。

ブライアン・イーノの「OnLand」とは大幅に違う作品ながら、「地球の大地の音」がする。自分には、地鳴りの音が聞こえる。
それは、夜から夜半に聞いていたこともあるし、車をその時間に走らせ、人気の無い道を走りながら聞いていたこともある。
そして、また、それは、偶然なのか、磁力の影響なのか、1995年1月の阪神大震災に向かっていたこともおおいに作用していた気がするのだ。


【夜の闇の中を飛ぶ鳥の影が、月夜を浴びて、地表を暗く覆う】

1・ラフター・メディテーション
8:05の長い曲だが、それが、心地よい。
このアルバム全体にいえるが、月夜の凍てついた晩に、このアルバムを聴いていると、「異世界」にトリップしてしまう。
それゆえに、よく夜の人気の無い大阪の中心を、車を走らせながら、毎晩、このアルバムだけをくり返し聴いていた記憶がある。

実は、阪神大震災の夜は、満月だったって、知ってますか?

月のことを「ルナ」と呼びますが、「狂気」を英語では「ルナティック」というんです。

この1曲だけで、すでにトリップしていく・・。

ララージのチターとコシ・ミハルちゃんのピアノ。



2・ハニームーン
これは、細野さんの「トロピカル・ダンディ」に入っている曲のセルフ・リメイク、もしくは、ヴァージョン違いのものだが。「トロピカル・ダンディ」のハニームーンの明るさに比べて、ここにあるハニームーンは、深く沈んだトーンをしている。細野さんの歌い方も瞑想的、途中で矢野顕子さんのヴォーカルが出てきますが、そのヴォーカルが、素晴らしい。途中で、声が裏返って、狂気じみていく様は、まさに「ルナティック」で、実に美しい。

丸い満月が見えるかのようだ。
夜の深さと怖さ、ブライアン・イーノの「アナザー・グリーン・ワールド」に「夜は魔物」という名和訳の曲があるが、まさに「魔」としての夜を感じさせる曲。

3・デイラ



4・クワイエット・ロッジ・エディット

5・メディスン・ミックス
音楽はドラッグ(メディスン)であります。
呪術的なハートビートのようなリズム。
幾重にも波紋のように広がる音。
細野さんは呪文のようなせりふをつぶやく。

ラジオで、オールナイトニッポンに細野さんを招いた石野卓球は、この曲が一番好きと言っていた。

6・サンド・ストーム・エディット

7・マブイ・ダンス 2
これも素晴らしく「ルナティック」な曲。
「仲島節」を基としながらも、狂気じみた美しいうたたの世界を繰り広げる。
大好きな曲である。



8・アイウォイワイアオウ
遠くにある 大きなミツバチの巣
ぼくは歩く 大きなミツバチの巣の周りを
ハチの霊が ぼくを見る
高く飛んで ぼくを刺す
血だらけ あちこち
死ぬ ぼくは死ぬ

9・アルメニアン・オリエンテーション
これも10:36の長い曲だが、深い深いところまで、聴いていると行ってしまう。
当時、細野さんはネイティブ・アメリカンに興味が行っていたが、それが、このアルバムのそこかしこに顔を出す。
ここで、細野さんは、タイコを叩いている。

10・アンビエント・メディテーション 3
ララージのチターが、夜の静けさの中、流れる。
インナーには「Dedication:ララージ&イーノ」とある。

80年代から、アンビエントな世界を旅し続けた果てに見出した静寂の世界。
「メディスン・コンピレーション」は、その細野さんの音楽の旅の最良の形での、足跡であり、1つの大きな成果である。
だいっ~好きなアルバムである。

ジャケットといい、インナースリーブといい、完璧なアルバムである。
コメント (5)
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