かえるネット木津川南

大阪市南西部で活動する日本共産党の青年後援会のブログです。

未払い賃金1300万円解決

2010-12-29 12:31:50 | 労働・雇用

未払い賃金1300万円解決

国の立て替え払い制度適用

仙台の労働者 組合に入り勝ち取る


 「苦労のしがいがありました。正直、やっと終わったという気持ちです」。国が未払い賃金を立て替え払いする制度を適用させ、2カ月から9カ月分の未払い賃金、アルバイトなどを含めて15人で総額約1300万円を勝ち取った「アイグラフ」の労働者は語ります。(宮城県・佐藤信之)


 「アイグラフ」(仙台市青葉区)は、観光やイベント、自治体のキャンペーンなど幅広い企画デザインを手がけていました。ところが社長の放漫経営で賃金が滞りがちになり、辛抱して働いていた労働者も、今年6月に全員退職しました。

仕事に愛着

 伊藤明さん(仮名)は「仕事に愛着があって、みんな借金して、がんばってやっていた。今の景気では次の仕事が見つかる保証もなく、やめる勇気もなかったんです。でも、それも限界でした」と話します。最長で9カ月分300万円を超す未払いでした。

 「このままで終わらせるわけにはいかない」。退職した7人が相談し、損害賠償請求訴訟も考えましたが、「相手に払うお金がなければ勝ってもお金はもらえない」と言われ、困っていました。そんなときに出合ったのが宮城一般労働組合でした。未払い賃金の立て替え払い制度を7月の初めに知ります。

 全員で組合に入り、制度を適用させるためのたたかいが始まります。同制度は、会社が事実上の倒産に該当すると労働基準監督署が判断すれば、適用されます。

包囲の行動

 まず、社長に直談判し、経営放棄の確約書を取り、仙台労働基準監督署に提出。しかし、社長が密かに取引を続けていたために適用になりませんでした。今度は取引先を回ったり、社長の居場所を突き止めたり、社会的に包囲する活動にとりくみ、社長も経営を断念しました。

 10月に仙台労働基準監督署が認定し、12月に労働者健康福祉機構から未払い分の賃金が支払われました。いま、一人ひとりが新しい年、新たな人生に確かな一歩を踏み出しています。

力を合わせた成果

 宮城一般労働組合の鈴木新(しん)委員長の話 このケースは残念ながら多くの労働者が泣き寝入りするパターンです。それを組合員が力を合わせて、工夫と苦労で勝ち取った成果です。年末、間に合って本当によかった。


 未払い賃金の立て替え払い制度 企業の倒産によって賃金が未払いのまま退職した労働者に対して、「賃金の支払い確保に関する法律」に基づき、一定の範囲内で独立行政法人・労働者健康福祉機構が事業主に代わって未払い賃金を支払う制度。この場合の倒産には、(1)事業主の申し立てで、裁判所が決定あるいは命令する(2)労働者の申請で、労働基準監督署が認定する「事実上の倒産」―の2通りがあります。

しんぶん赤旗より

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外交・開発 今なぜ米が検証

2010-12-29 09:58:17 | 国際政治

外交・開発 今なぜ米が検証

軍事偏重の行き詰まりも


 【ワシントン=小林俊哉】米国務省は、今月半ばに発表した初の「4年ごとの外交・開発計画見直し」(QDDR)に基づき、外交政策を検証するとしています。QDDRは、国防総省が発表する「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)にならったもの。背景には、これまでの軍事偏重路線の行き詰まりも垣間見えます。

 国務省は、同報告が(1)国益のいっそうの推進(2)軍とのパートナーシップの改善―に資する青写真だと説明。具体的には、国務省や国際開発局(USAID)の組織改革を通じて、支援事業の効率化に取り組むといいます。

 注目されるのは、QDDR発表の背景にある議論です。

 問題意識の一つは、ブッシュ前政権下では開発政策の主導権が国防総省に握られ、軍事目的に過度に従属させられてきたとの認識です。シンクタンク・新米国安全保障センター(CNAS)は、「とりわけアフガニスタンとイラクへの侵攻以降、国務省、国際開発局は、国防総省に対する政策立案面での実質的影響力を失った」として、「国防総省と文民機構との間にある不均衡の是正」を提言していました。

 このためQDDRは「文民力の強化」を繰り返し強調しています。

 もう一点は、経済危機とともにイラク、アフガニスタンという二つの戦争による出費などで抱えた財政赤字などの国内的制約から、従来型の“積極関与”政策が難しくなっているという認識です。

 オバマ米大統領は、9月に行われた国連ミレニアム開発目標(MDG)サミットで、従来の米国の開発政策は効率的でなかったと主張。今後は支援額自体よりも実際の効果に着目すると述べていました。

 折りしも、ブッシュ前政権流の「無責任な財政政策」から、予算上の制約に見合った外交・開発・軍事方針への転換を求める声が強まっている最中です。スタインバーグ国務副長官が「(QDDRが)開発面での持続可能性に焦点を当てた」と強調するゆえんです。

 しかし、今後はまだ不透明です。軍事戦略との過度の一体化や、なりふり構わず米国の国益を第一に置く開発政策には、常に批判がありました。

 一方で、世界の貧困・開発対策では、国連や世銀が主導性を強めています。世銀では米国が拒否権を依然として持つとはいえ、中国など途上国の議決権比率が増しつつあります。MDGサミットは、先進国が政府開発援助(ODA)を国民総生産(GNP)比0・7%に引き上げるという約束を改めて確認し、米国も誓約しました。

 変わり行く世界の中で米国の開発政策のあり方が問われています。


 米国際開発局 米連邦政府の組織で、軍事以外の海外援助を担当します。当初は大統領直属でしたが、現在は、国務省の監督下にあります。発展途上国が関係する国際経済問題について、総合的な政策立案や調整にあたります。

しんぶん赤旗より

鳩山氏に1億3000万円還付

2010-12-28 16:34:34 | インポート

鳩山氏に1億3000万円還付

実母からの資金 贈与税、課税時効に


 鳩山由紀夫前首相が、実母から巨額の資金提供を受け、約6億970万円の贈与税を納付した問題で、国税当局が2002年、03年分の計約1億3000万円を鳩山氏側に還付していたことが25日、分かりました。税務調査の結果、悪質な仮装・隠蔽(いんぺい)行為がなかったと判断し、2年分は課税時効として還付したとみられます。

 鳩山氏の事務所は昨年12月、実母からの多額の資金提供について、02年から08年までの7年間にわたり計11億7000万円の贈与があったと申告し、約5億7500万円の贈与税を納付したと発表。その後、申告期限前だった09年分についても、今年3月に申告、3470万円を納付していました。

 実母からの月額1500万円もの資金提供は、鳩山氏の資金管理団体「友愛政経懇話会」による偽装献金事件の捜査の過程で発覚したもの。

 鳩山氏は記者会見で、「お金のことは全く承知していなかった。贈与税を免れようなどという発想自体もあり得ない」と述べ、意図的な課税逃れを否定していました。しかし、長年にわたって申告を怠った結果、本来なら納付すべき税金を免れたことになります。



指定管理者制度の問題点

2010-12-28 08:49:26 | 府政・市政

指定管理者制度の問題点


 「指定管理者制度」が各地の公共サービスに導入されています。営利企業に委ねるために、住民との間でさまざまな矛盾を広げています。東京都足立区の図書館と名古屋市の市立病院の事例を共産党議員がリポートします。


車修理業者が図書館運営!?

東京・足立

 足立区では2002年に「構造改革戦略」が策定され、これにもとづいて指定管理者制度、市場化テストなど事業の民営化を推進してきました。

児童サービス 会社「やるな」

 区立図書館でも2008年から同制度が導入され、09年3月に花畑図書館で受託業者によって館長が解雇されるという事件がおきました。館長は、受託業者のグランディオサービスが雇用契約を更新せずに雇い止めしたのは不当として、地位確認を求める訴えを東京地裁に起こしました。

 この裁判は、指定管理者制度の問題点を浮き彫りにしました。

 制度導入後、館長は区への提案書どおり、学校に対する出張読み聞かせ、読書普及活動など「児童サービス」を推進しました。

 ところが、会社側は館長に対して「児童サービスは図書館の業務ではないので、やらなくてよい」と指示。館長が「児童サービスは図書館の業務だ」と主張すると、会社側は「それなら残業時間をゼロにせよ」と命じました。館長はやむなく残業を「ゼロ」にし、「サービス残業」としましたが、1年で雇い止めとなりました。会社は「児童サービス」が基本的な図書館業務であることさえ理解していませんでした。

運営費削って利益のみ追求

 もともと同社は自動車修理業者であり、会社には司書資格を持つ人間は皆無でした。経営者は、委託経費でいかに利益をあげるかを追求しました。

 裁判で会社側の姿勢があらわとなり、区民の批判が高まるなか、急転直下、元館長の主張にそった形で今年5月に和解しました。

 図書館法によって公共図書館のサービスには「無料原則」があります。収益事業を展開して利益を生み出すことは困難です。

 営利を目的とする株式会社の同社は、図書館の運営費、人件費を大きく削りました。区直営時より運営費で2億円、人件費で1億2千万円削減しました。

 花畑図書館では、指定管理者制度導入前の平成19年(07年)度と比較して、事務室従事者は15%減、カウンター従事者は30%減となっています。契約社員(司書)の報酬は、直営時の非常勤司書と比べ時間給にして40%も減っています。

 区民サービス低下と大量の官製ワーキングプアを生み出す指定管理者制度は見直すべきです。(針谷みきお足立区議)


病院に導入 分娩中止

名古屋

 名古屋市に五つある市立病院の一つ緑市民病院(緑区・305床)に指定管理者制度が導入されました。

河村市長推進 自公民が賛成

 医師不足により病床稼働率が3年連続で7割を切っていた2009年9月、市の諮問機関「市立病院のあり方を考える有識者会議」が「指定管理者制度導入」を答申し、河村たかし市長が「救急・周産期・小児以外はできる限り民間に」と述べて急展開しました。

 日本共産党が患者や住民にアンケートをとったところ「公立のまま残して」「市民病院だから安心」との声が寄せられました。

 しかし、市議会は、今年2月、民主・自民・公明各党などの賛成で指定管理者制度導入を決めました。

 こうした動きに地元住民らはたちあがり、町内会長らの呼びかけで6月に「緑市民病院のより良い医療を願う会」が発足。区医師会長の山本紘靖氏も、開業医と連携する2次救急(入院治療を必要とする重症患者に対応する機関)や災害医療活動の役割を市直営で果たすべきだと主張しています。

 市の指定管理者の応募要項は、現在の医療機能を維持させることが原則でした。しかし応募は医療法人1社だけ。しかも「条件に沿った医師・看護師の確保が極めて困難」といって9月に辞退しました。

反撃する住民 署名活動展開

 市は、何が何でも指定管理者制度にと、条件を引き下げて再募集。すると前回辞退した法人が再応募・選定され、分娩(ぶんべん)なし、305床から200床へ削減という、医療規模が大幅に縮小する事態になっています。

 「人口(23万人)の多い区で産科がないのは困る」「地域の病院として充実を」との声に「願う会」は、指定管理者制度導入の凍結・市直営堅持の署名運動を始めています。市立病院労組も支援者とともに今月8日、病院前で抗議の座り込みを実施しました。

 不足する医師・看護師の補充もふくめ、制度導入撤回にむけて、「願う会」と連帯し、さはしあこ市議候補、党支部とともにがんばっています。(かとう典子名古屋市議・県議予定候補)


人件費削りサービス低下

弁護士の尾林芳匡さんに聞く

 「指定管理者制度」など、地方自治について各地で講演している尾林芳匡(よしまさ)弁護士に聞きました。

◇◇

 「公の施設」とは、「住民の福祉を増進する目的」で利用する施設です。地方自治体は、正当な理由なく住民の利用を拒めず、利用について「不当な差別的取扱い」が禁止され、管理の手続きを定めています(地方自治法244条~)。

 管理はかつて、公的団体に限定されていましたが、経済界が規制緩和を求め、2003年の法改正で一般企業やNPOにも管理者が開放されました。経済界は「2兆円市場」「設備投資なしで儲(もう)けられる」などと歓迎しました。

 09年10月の総務省による調査では、全国約7万の公の施設に「指定管理者」が指定されています。株式会社が増え、問題があって指定を取り消される事例も多数あります。

 コストが下げられると言われますが、民間事業者の利益の確保が必要となり、物的経費はほとんど減らずに人件費が大きく下げられ、担い手が非正規におきかえられています。

 このためサービスの低下の例も相次ぎ、収益は大都市の企業の本社に吸い上げられ、「官製ワーキングプア」が増えるという構図がしばしばみられます。

 保育・福祉・医療・教育など、はたらき手の質が重要な分野の施設については、指定管理者制度を導入すべきではありません。社会福祉協議会、図書館協会、天文教育団体などが批判の声をあげています。

 また導入がやむを得ない場合でも、地方自治体の権限を活用して、地域に経済効果がおよぶよう区域内の事業者を指定したり、管理者の情報公開などを通じ実際のはたらき手の雇用の安定や労働条件の確保をはかるなどの工夫が必要です。

しんぶん赤旗より

日本経済の長期停滞・・・活路をどこに求めるか4

2010-12-27 23:55:20 | 論文紹介

3.長期停滞の基本構造(1)

・歪んだ経済構造

 日本経済の長期停滞の根底には、外需に強く依存する歪んだ経済構造が横たわっている。名目GDPに占める輸出の比率は17%程度と、他の国に比べてとくに高いというわけではない。だが、自動車、電機など特定の産業の輸出額が突出し、しかもそれらの輸出が電子、化学、硝子、鉄鋼など広範囲に及ぶ関連産業の生産を支えるという構造になっているために、日本経済は表面的な輸出比率以上に輸出に強く依存する経済体質になっているということである。

 このことは、日本経済が円高や世界市場の停滞など輸出環境に直接に、しかも絶えず振り回される不安定な構造になっていることを意味する。また、このような不安定構造は、企業の慢性的リストラを誘発し、内需を停滞させる要因となるだけでなく、国の財政を圧迫し、国民負担の増大圧力を高め、将来の内需停滞の潜在要因となる。

・輸出競争力の低下

 輸出に強く依存する経済構造のもとでは、輸出競争力を維持することが経済維持の必須条件となる。だが90年代後半以降、競争力の強さを誇ってきた液晶パネル、半導体などを中心に様々な分野で日本企業の競争力の低下が目立ち始め、これが日本経済の停滞に拍車をかけている。競争力の低下は、およそ以下のような要因によると考えられる。

第一はグローバル競争の激化によって浮き彫りにされた、国内のいわゆる市場と産業の成熟化である。すなわち、内需の伸びの弱まり、生産や販売の規模の拡大によるコスト削減が困難になっていることである。このことは、かりに法人税を引き下げたとしても、内需停滞をもたらしている原因を除去しない限り、競争力の復活は期待できないということを意味する。

第二は、グローバル化を背景にした外国企業、とりわけ東アジアの企業の台頭である。そしてそれを支えたのは、日本や欧米諸国などからの投資や技術移転、さらにはアジア諸国間の自由貿易協定をテコにした貿易拡大などである。

第三は、円高傾向である。円高による輸出競争力の低下は、日本経済の地殻変動の中身をなし、長期経済停滞の大きな要因となっている。しかも円高は、米国経済の状態から考えて今後長期化すると考えられる。ただし、競争力の低下をもたらしているのは円高といった外的要因だけではない。国内の経済基礎が安定しない限り、競争力は絶えず動揺することになる。

輸出競争力の低下は、さしあたり国際市場での生産・販売シェアの低下や輸出額減少などとなって現れる。また生産現場の海外移転にともなって日本からの製品輸出は減少し、逆に部品輸出は増大する傾向を示してきた。だが、円高やアジア企業の台頭で、製品輸出ばかりでなく部品の輸出にもかげりが出てきている。さらに、自動車会社の現地での部品調達などがこれに追い打ちをかけている。

また輸出の停滞は、国内での企業破綻を増大させるとともに、輸出企業に競争力強化のためのリストラ、とりわけ雇用・賃金の抑制を促してきた。裏を返せば、現在の輸出はリストラによって維持されているということである。