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to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

愛、アムール

2013-03-14 15:17:16 | the cinema (ア行)

人生はかくも長く、
素晴らしい。

原題 AMOUR/LOVE
製作年度 2012年
上映時間 127分
監督 ミヒャエル・ハネケ
製作国・地域: フランス/ドイツ/オーストリア
出演 ジャン=ルイ・トランティニャン/エマニュエル・リヴァ/イザベル・ユペール/アレクサンドル・タロー/ウィリアム・シメル
パリの高級アパルトマンで悠々自適の老後を送る音楽家の夫婦、ジョルジュとアンヌ。ところがある朝、アンヌが突然の発作に見舞われ、夫婦の穏やかな日々は終わりを迎える。検査の結果、病気が発覚したアンヌは手術の失敗で半身に麻痺が残る事態に。“二度と病院には戻りたくない”とのアンヌの願いを聞き入れ、ジョルジュは自宅での介護を決意する。自らも老いた身でありながら、これまで通りの生活を貫こうとする妻を献身的に支えていくジョルジュだったが…。

満ち足りた夫妻の日々に、突如訪れる「老老介護」生活。
そしてその先に続くのは、失いゆく人としての尊厳と介護する側の孤独と葛藤―。

老いを認めながらも、次第にあらゆる自由を失っていくという事は、頭の隅に追いやって、
誰しもが、出来たら死ぬまで誰にも迷惑をかけることなく死を迎えたい。

それでも、どちらかが倒れた場合、、選択しなくてはならない。
家族の負担を減らし、施設に行くのか?
自宅で介護サービスを受けながら過ごすのか?

その辺りの夫婦の想い、娘の心理も絡めて、
介護経験者には3者3様のアルアル感がびっしり詰まっていて、苦しくなるほど。。。


介護する側の負担を軽減するはずの、プロを自認するヘルパーとの諍い。
アンヌにとっては、金銭に換えられない、愛する人との生活。
ジョルジュにとっては、何物にも代え難く守ってやりたい、人としての尊厳…。
しかし、日に日に衰えゆく自分―。

…アンヌの決心を知って、
ジョルジュも心を決めるのですが、
この仲良し夫婦の結末を、私はなぜか社会の所為にはしたくない。
その長き善き人生の最終章―、老いはかくも残酷で非情。しかし、愛は
そして、2人は闘い、護り、選び取った…―。私には、そう思えるのです。

それにしても、エマニュエル・リヴァのとことん老いを曝け出す演技は圧倒的。
老いに向かう覚悟はできているのか?と突きつけてきます。
男性にとってはジョルジュの姿が胸に迫ってくるのでしょうね。

アンヌの愛弟子のピアニスト・アレクサンドル役でアレクサンドル・タローが出演していて
演奏する姿がほんの少しですが観られますもっと観ていたかった!
本編中の音楽も彼が担当していたんですね、ファンは必見です

ヘルパーとの摩擦の時は「最強のふたり」を思い出し、
夫婦のラストには「死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実」を思い浮かべました。
ジャックには、心の痛みと不自由さから解き放たれた患者の姿が、
この作品のラストの仲睦ましい2人のように、、人生の続きが見えていたんだと
そんな気がしました。。。


遺体 明日への十日間

2013-02-26 21:18:27 | the cinema (ア行)

2011年3月11日
あの未曾有の災害に直面し
困難な状況と向き合った人々がいた

彼らには、
悲しむ時間さえ無かった

上映時間 105分
原作 石井光太
脚本:監督 君塚良一
音楽 村松崇継
出演 西田敏行/緒形直人/勝地涼/國村隼/酒井若菜/佐藤浩市/志田未来/筒井道隆/沢村一樹/佐野史郎

2011年の東日本大震災で被災した岩手県釜石市の遺体安置所を題材としたルポルタージュ
「遺体 -震災、津波の果てに-」を基に、メディアが伝え切れない被災地の真実を描き出したヒューマン・ドラマ
東日本大震災の発生直後。定年まで葬儀関係の仕事に就いていた相葉常夫(西田敏行)は、仕事柄遺体に接する機会が多かったことから、遺体安置所でボランティアとして働くことになる。一人一人の遺体に優しく話し掛ける相葉の姿を見て、膨大な遺体に当初は戸惑っていた市職員たちも、一人でも多く遺族のもとに帰してあげたいと奮闘し続ける。

本音を言うと、歴史的大災害などをもり込んだ作品は、基本的に観たくない。
大抵が別の話になってしまうような気がするからです。

この作品も、フジテレビだし、、ちょっと不安はありましたが、さすが
『誰も守ってくれない』ではモントリオール世界映画祭最優秀脚本賞を受賞した君塚良一さんです。
実際に取材した原作者の想いを汲んだ作品となっているのではないでしょうか。

ご覧になれば解りますが、この作品には、3.11以来何度も観て、
私たちを凍りつかせたあの黒い津波の映像はありません。
地震によって困惑している、釜石の高台の人たちが、自身も被災しながら、
津波で被害にあわれた人々の遺体安置所の場に立つことになる、市の職員や医師、ボランティアの方たちの
立ち止まる事の許されない現場を、静かに映していくものでした。


穏やかだった日常は奪われても、停電の為、全く被害状況が解らないまま
呆然とし、何から手をつけていいのか解らない人々。混乱した現場の雰囲気も、
その場にいなかった誰にも伝わってくるものがありました。

キャストの皆さんが、「演技とは思わなかった」という、
それは、心を添わせた結果だからでしょう・・・。

それこそ、寝食を忘れるほどの何百という遺体に接し、その中には親しい方も運ばれてくる。
それでも悲しみに浸っていられない現実。
犠牲者を一刻も早く家族と再会させてあげたいという想いは、少しずつ
何が必要で、どうしたら遺体や遺族を慰められるのかという行動に示されるようになるのです。

電気も水もない、食料もない中で、
市役所の職員は、ある人は遺体を運び続け、ある人は遺族にご遺体を案内し続ける。
医師は嘗ての自分の患者や友人であれ、検視やDNA採取などの手を止められない・・・。

以前私も記事にした事もある、救援物資が、避難所には送られるものの、
避難所には行かずに自宅に留まる被災者や、ボランティアにはいかなかったという事実も
サラリと描かれています。
避難所に行かず、この過酷な現場でボランティアをしていた人は、飢えていた・・・
町が機能していない状態で、自宅にいた人たちは、取り残されていたのですよね。。。

僅かな計画停電でも不自由だったまだ寒いあの日、あの頃。。。

―やるしかない。やるべし。―
被災地の一角で、誰も経験したことのない物語はこうして始まっていました。

この作品にはモデルとなった方が沢山いらっしゃり、その方たちの了解を得ての映画化となったようですが、
原作にほぼ忠実に描かれていると現場を目撃した作者は仰っています。
おそらくは、映画で公開できる一歩前の段階で収めた1時間45分。
作り手側の良心がソコにあると思います。

スタッフも泣きながら撮っていたといいます。
泣いてもいい、映画です。

再度、この映画の収益金は、被災地に寄付されるそうです。是非多くの方に観て戴きたい作品でした。

アルゴ

2012-10-30 22:48:49 | the cinema (ア行)

この《実話》は、フィクションよりも大胆
製作年度 2012年
原題 ARGO
上映時間 120分
脚本 クリス・テリオ
監督 ベン・アフレック
出演 ベン・アフレック/ブライアン・クランストン/アラン・アーキン/ジョン・グッドマン/ヴィクター・ガーバー/テイト・ドノヴァン/クレア・デュヴァル
1979年11月。革命の嵐が吹き荒れたイランで、民衆がアメリカ大使館を占拠して、52人の職員を人質にとる事件が発生する。その際、裏口から6人の職員が秘かに脱出し、カナダ大使の私邸に逃げ込んでいた。しかしこのままではイラン側に見つかるのは時間の問題で、そうなれば公開処刑は免れない。にもかかわらず、彼らの救出は絶望的な状況だった。そこで国務省から協力を求められたCIAの人質奪還の専門家、トニー・メンデスは、ある計画を練り上げる。それは、架空の映画企画をでっち上げ、6人をロケハンに来たスタッフに偽装させて出国させるというあまりにも奇想天外なものだった。さっそくトニーは「猿の惑星」の特殊メイクでアカデミー賞に輝いたジョン・チェンバースの協力を取り付けると、SFファンタジー大作「アルゴ」の製作記者発表を盛大に行い、前代未聞の極秘救出作戦をスタートさせるのだったが…。

1979年にホメイニ師によるイラン革命の為エジプトに亡命していたパーレビ国王が、
癌治療のためという名目で皇后らとアメリカに移ったのをイスラム法学校の学生らが反発。
テヘランのアメリカ大使館を占拠して、
アメリカ人外交官や警備のために駐留していた海兵隊員とその家族を計52人を人質に
シャー(パーレビ国王)の身柄引き渡しを求めるという
「イランアメリカ大使館人質事件」の陰で、
単身イランに乗り込んだCIAの男の、6人の大使館職員の救出劇。
アメリカが18年間封印した最高機密の物語なのです。

この事件当時、私はもう社会人でしたが、社会情勢に疎く関心も薄い若者でしたが
「ホメイニ師」という強烈なイスラムの指導者の顔はインプットしました。


11月4日のテヘランのアメリカ大使館から始まる映像は、
職員たちの恐怖と、緊急時の業務に係る職員たちの緊迫感で幕を開けます。

そのウソは、誰もが騙されるホンモノにしないと、即絞首刑か銃殺で幕となる。
という事で、民間人の有名な映画人をも巻き込んで、
製作:CIA、主演:人質、共演:イラン兵士──というシナリオを引っ提げて
公開することのない彼らの映画はクランクインをする。
トニー・メンデスに与えられた製作日数は72時間!
カットの声が掛かるまで、誰も降板する事は許されない。

がっ、しかし――
事実はフィクションよりもドラマチックなのかーーー?!
折からの大統領選挙も絡んで、最後の最後までハラハラ、緊張しました~ 

オープニングとエンディングに、実際の映像が差し挟まれていますが、
大使館前の突入シーン、6人の人物に良く似たキャスティングに
制作陣の拘りとともに臨場感を感じるところです。

個人的にはカナダ大使館で、6人の客人の世話をしていた地元のお手伝いの女性が気になって
それもドキドキだったのですが、ちゃんと最後の方写ってましたね

というわけで、史実ですがちゃんとサスペンスしてます、楽しめます
ヒゲもじゃだったけど、ベンの静かな決意と信念を感じさせるCIA局員、素敵でした♪


踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

2012-09-08 22:48:31 | the cinema (ア行)

製作年度 2012年
上映時間 126分
脚本 君塚良一
監督 本広克行
音楽 菅野祐悟
出演 織田裕二/柳葉敏郎/深津絵里/ユースケ・サンタマリア/伊藤淳史/小泉孝太郎/北村総一朗/小野武彦/佐戸井けん太/筧利夫/小栗旬/香取慎吾

テレビドラマ、映画共に絶大な人気を誇り、映画版では数々の記録を打ち立てた『踊る大捜査線』シリーズの劇場版第4弾にして最終作
国際環境エネルギーサミット会場で誘拐事件が起こり、その後被害者が殺された状態で発見される。殺害に使われたのは、警察が押収した拳銃だった。捜査を担当することになった湾岸署だったが、青島(織田裕二)ら捜査員には情報がまったく開示されない方針が決定。そんな中、第2の殺人が起き、続く第3の事件では真下(ユースケ・サンタマリア)の息子が誘拐されてしまう。

やっぱり刑事ドラマの劇場版は、テロか誘拐事件よね~と思いつつ
初日のレイトに行ってきましたが・・・思った通りの大混雑
何年かぶりの前列2番目で、ほぼ99%の入り。最前列4~5席を残すのみでした!

ドラマからのファンですが、先日のTV新作が余りにも詰まらなかった為、
ハードルを下げて行ったので、、、まあ、普通に面白かったです

まあ、犯人当てのストーリーではないのですが、ネタバレは野暮。ツッコミたいのもガマン(笑)
劇場版としては1作目、2作目にはるかに及ばないという感じはありますが、
ドラマからの一貫したテーマを貫いたファイナルということでOKですね。
途中からの出演者の小栗くん、小泉孝太郎くんがステキだったし
今は亡き和久サンや中西盗犯係長の小林さんもみれて、
オープニング、エンディングも踊るらしくて良かった

本店と支店(本庁と所轄)、キャリアとノンキャリという、組織の中での図式を明確にして、
警察もまた会社という組織の中で生きる我々となんら変わらず、
その、窮屈で雁字搦めの組織の中で、めげずに奮闘する青島刑事を身近にしていた作品。

その青島が所属する湾岸署の愛すべき面々も、この15年で増え続け(笑)
スリーアミーゴスは今~?!も、
ちょっと現副所長、秋山副署長の立場が微妙で可笑しい(何処におんねん)

単純で純粋で、刑事になるためだけに生まれてきたような男・青島を
逞しく守るすみれさん(笑)
そんな男と出会って、目標と責任感を新たにし青島の魂を護り抜く室井。
所轄と本庁の板ばさみとなりながら戦う姿は今回も健在

町の治安を守ってくれる警察官であり続ける青島のスタイルはぶれることはなく、
ただ、署内のネタが・・・(戒名トカ、びーるトカ)
いつものコミカルな笑いが、今回はちょっとすべり気味ではありましたが、
タイトルの"希望"が感じられるラストで良かったです

―正義は心に秘めておけ―
サラリとカッコイイセリフが言えてヨカッタね、青島くん
キャストのみなさんも15年間、ホントにお疲れ様でした

それにしても、菅野祐悟さんの音楽はやっぱ最高~~~!!!


アベンジャーズ

2012-08-23 22:19:31 | the cinema (ア行)

原題 THE AVENGERS
製作年度 2012年
上映時間 144分
監督/脚本 ジョス・ウェドン
音楽 アラン・シルヴェストリ
ロバート・ダウニー・Jr/クリス・エヴァンス/マーク・ラファロ/クリス・ヘムズワース/スカーレット・ヨハンソン/ジェレミー・レナー/トム・ヒドルストン/コビー・スマルダーズ/グウィネス・パルトロー/サミュエル・L・ジャクソン

アイアンマン、ソー、ハルク、キャプテン・アメリカなど、マーベル・コミックが誇るスーパー・ヒーローたちが一堂に顔を合わせるアクション大作
国際平和維持組織シールドで研究中だった四次元キューブが地球の支配を目論む邪悪な神ロキに奪われ、地球は史上最大の危機に直面する。長官のニック・フューリーは周囲の反対を押し切り、スーパー・パワーを持つヒーローを集めて最強チーム“アベンジャーズ”を結成することを決断、シールドのエージェントとなった魔性のスパイ、ナターシャ・ロマノフらとともにヒーローたちの招集に乗り出す。こうしてトニー・スターク(アイアンマン)、スティーブ・ロジャーズ(キャプテン・アメリカ)、ブルース・バナー(ハルク)、そしてロキの兄ソーがシールド本部に勢ぞろいし、フューリーから“アベンジャーズ計画”への協力を求められるのだったが…。

「日本よ、これが映画だ」なーんていうキャッチコピーがうざくて、
「アイアンマン2」「キャプテン・アメリカ」を見逃したのもあって、ちょっと興味が薄れ掛けていたこのお祭り大作ですが、
そこはテキストでちょっと補習して、先行上映、字幕版行って来ました♪
アイアンマン」「インクレディブル・ハルク」「マイティ・ソー」しか観てい無い私ですが、
話が進行の途中でちょっと解らなくても、ちゃんとついていけましたし、その内解ります
ただ、これからご覧の方はできれば各HPで、キャストの関係図は頭に入れてから臨まれるといいと思います。


億万長者にして天才発明家…アイアンマン
70年の眠りから覚めた伝説の戦士…キャプテン・アメリカ
神々の国から追放された雷神…ソー
怒りによって巨人に姿を変える科学者…ハルク
美しすぎる魔性の女スパイ…ブラック・ウィドウ
エリート・エージェントにして弓の名手…ホークアイ
アベンジャーズを統率する司令官…ニック・フューリー
そして、、、キャプテン・アメリカの大ファンだったエージェント・フィル・コールソン



序盤からシールド内でのエージェントに圧倒的な力をみせつけるロキ~~~
エリック・セルヴィグ博士とホークアイを魔法で操り、四次元キューブと2人を手土産に去っていく。

この序盤で掴みはOKだったのに、ヒーロー全員集合の前に何度か睡魔に襲われ、
いよいよ4人のヒーローが一丸となって戦う、その間も幾度か時計をみてしまいました。
それぞれの置かれた特殊な環境、そのチカラへの想い等も盛り込んである為長尺にならざるを得ない部分はあるけど、
やっぱりほぼ2時間半、ずっと戦っているのですから途中ちょっと飽きちゃって・・ゴメン

その中で、やっぱりハルクのキャラ・存在が可笑しいー
もう、、破壊しまくりのハルクなのに、一番笑わせて貰えちゃった~

あと、ちょっと胸が詰まったのはキャプテン・アメリカを崇拝するコールソンのエピソード
血に染まった大事なトレーディングカード
このエージェント・コールソンの存在があってアベンジャーズ計画は成り立ったのだと思えます。

戦火の馬」ではあんなにいい人だったトム・ヒドルストン。
今回は別人、ロキ役のワルイ微笑の王子がいいです~(笑)
それと、エージェント・マリア・ヒル役のコビー・スマルダーズが美しい

まあ、負けることは無い戦いと解っているので、安心して楽しみましょう♪
エンドロール後にもおまけがあるので、最後まで席を立たないで

アメイジング・スパイダーマン

2012-07-14 23:13:12 | the cinema (ア行)

恐れるな。自ら選んだ、この運命を。
原題 THE AMAZING SPIDER-MAN
製作年度 2012年
上映時間 136分
原作 スタン・リー/スティーヴ・ディッコ
脚本 ジェームズ・ヴァンダービルト/アルヴィン・サージェント/スティーヴ・クローヴス
監督 マーク・ウェブ
音楽 ジェームズ・ホーナー
アンドリュー・ガーフィールド/エマ・ストーン/リス・エヴァンス/デニス・リアリー/キャンベル・スコット/イルファン・カーン/マーティン・シーン/サリー・フィールド

アメコミ発の人気シリーズを、キャストとスタッフを一新してリブートするアクション超大作
高校生のピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)は両親が失踪した8歳のときから伯父夫婦のもとで暮らしていた。ある日、ピーターは父リチャード(キャンベル・スコット)の共同研究者だったコナーズ博士(リス・エヴァンス)のもとを訪れ、研究室で特殊なクモにかまれてしまう。その直後、ピーターの体には異変が起き……。

前作、トビー・マグワイア+サム・ライミ監督3部作は全部観ています。が、
今回若返ったスパイダーマンとヒロインを3Dで観てきました。(実は公開翌日に
ワクワクのアクションの「2」、哀しかったスパイダーマン3とも、どちらかというとピーター(トビー)よりも親友ハリー(ジェームズ・フランコ)クン目当てだったし、
その2人がナゼにメリー・ジェーン(キルスティン・ダンスト)に惹かれるのか??私にとっては最大の謎でしたので(爆)
今回ピーターの恋人グウェン・ステーシーを演じるのがエマ・ストーンで、かなり納得♪
可愛いだけじゃなく、頭もいいし優しさと勇気を備えている設定も伝わってきました


アンドリューくんがこの役に決定するまでに、候補に挙がったのは何れも話題になった作品を持つジェイミー・ベル(『リトル・ダンサー』『ジャンパー』)や
ジョシュ・ハッチャーソン(『テラビシアにかける橋』)やアーロン・ジョンソン(幻影師アイゼンハイム少年時代)
アントン・イェルチン(『チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室』『ターミネーター4』)くん。
この顔ぶれの中ではトビーに一番イメージが近いのは、ジョシュ・ハッチャーソンのような気がするのですが、彼より10歳近くも年上のアンドリューくん(28歳)に決定。
その時も年令からいって、高校生設定を変えるのでは?という記事がありましたが、
ちょっと頼りな気なはにかんだ笑顔のアンドリューくんのピーター、
私生活で仲良しだというトワイライト~初恋~のロバート・パティンソンの高校生に比べたら十分無理なく高校生に見えました(笑)

この、新しいシリーズのピーターの環境は同じですが、
その設定には両親の死の謎と、恋人の家族との絡みなど、彼の背負うものが違っていて、
それが、スパイダーマンとしての彼に迫る今後の敵とか心の成長に繋がって来そうです。

3Dに関しては、立体感・奥行きに効果はありましたが、アニメのように飛び出す感じはなくて、
ただ、カメラアングルが面白かったのでヨカッタかなー

鑑賞から半月も経ってしまいましたが、アクションも楽しめるし、
スパイダーマンの使命感に力強い協力者が現れ――のところはグッと来ます
まだご覧になっていらっしゃらない方は、是非映画館で


エマ EMMA

2012-06-02 23:13:27 | the cinema (ア行)

原題 EMMA
製作年度 1996年
製作国・地域 イギリス
上映時間 122分
原作 ジェーン・オースティン
脚本:監督 ダグラス・マクグラス
音楽 レイチェル・ポートマン
出演 グウィネス・パルトロー/トニ・コレット/ジェレミー・ノーサム/アラン・カミング/ユアン・マクレガー/ポリー・ウォーカー/グレタ・スカッキ

イングランドの片田舎を舞台に、恋のキューピッドを任じる世間知らずのお嬢様が巻き起こす恋の騒動を描いたラブ・ロマンス。
エマは親友のハリエットと牧師エルトンを結びつけようとするが失敗。友人ナイトリーにおせっかいを改めるよう忠告されるが、気にもせず今度はハリエットにフランクを紹介した。ところがフランクは別な娘と結ばれて……。

ジェイン・オースティンの読書会』以降、観たくてレンタルショップに行ったけれどなくて
そのままだったけど、先日BSで放送がありラッキー
BSって、チェックを怠りがちだけど字幕・ノーカットが嬉しい。

幼くして母親を亡くし、家庭教師のミス・ウェストン(グレタ・スカッキ)を母親代わりに育ったエマが、
そのミス・ウェストンの結婚をきっかけに恋のキューピッドに目覚め、
知り合った気立てのいいハリエット(トニ・コレット)の相手をみつけようとする中で、
自らも欠点を自覚し、成長するというもの。
オースティンの作品としては毎度お馴染みの展開。

プライドと偏見』でのダーシー、『いつか晴れた日に』(分別と多感)のブランドン大佐に当たるのが
本作ではジェレミー・ノーサム演じるナイトリー氏。
清潔感漂うけど、小生意気でお節介なエマは女性としての魅力に欠けるけど、
今回は、出番は少ないけれど、ユアン演じるフランクと、このナイトリーが目の保養
で、ロン毛の為最初は気づかなかったけど、ユアンの歌が聴けました!コレは予想外~

エマに振り回される、結婚に憧れるハリエット役のトニコレも、誰かに似ている~で、
ずっと気づかないくらい、若くて(当たり前か)表情豊かで可愛い。



先の2作品と比べると、ドラマチックな展開もなく軽いラブもので、
ストーリー的にはやや満たされないですが
この時代のイギリス貴族を描いたものにいつも惹かれるのが、衣装や調度品、
何より全編を通して、豊かな緑溢れるイギリスの田園風景にため息です
そして、もう一つはレイチェル・ポートマンの音楽でしょうか。
後の「サイダーハウス・ルール」のメインテーマの下地かと思われる音楽が素敵でした。

アイランド

2012-04-14 22:51:24 | the cinema (ア行)

生きのびろ、
地上でもっともピュアな魂。

原題 THE ISLAND
製作年度 2005年
映時間 136分
原案 カスピアン・トレッドウェル=オーウェン
監督 マイケル・ベイ
音楽 スティーヴ・ジャブロンスキー
出演 ユアン・マクレガー/スカーレット・ヨハンソン/ジャイモン・フンスー/スティーヴ・ブシェミ/ショーン・ビーン/マイケル・クラーク・ダンカン/イーサン・フィリップス

クローン人間と政府の非情なエージェントとの死闘を描くSFスリラー
安全で快適なコミュニティで暮すリンカーン(ユアン・マクレガー)は、自分が人間に肉体のパーツを提供するために作られたクローンであることを知ってしまう。そこで恋人・ジョーダン(スカーレット・ヨハンソン)とともに外の世界へ脱出するが……。

コチラも以前観た時に前半ながら観でよく分からなかったので、また録画して観直しました。
ユアンとスカヨハというだけでそそられますが、
テーマというか内容的にはキーラの「わたしを離さないで」に酷似しています。が、
コチラの方が5年も早く撮影されていたんですねぇ。そう思うとこれはやっぱりマイケル・ベイ監督凄かったんだわ~
そうそう、この後公開された「月に囚われた男」みたいな感じもして、セツナイところもある・・・


人間の尊大さとか、神の領域に踏み込む問題を孕んでいますが、
深刻にならないサスペンス風味シンプルでテンポもよくて面白い
ラブ部分は可愛いとさえ思うスカちゃん

人間が自分の健康維持の為の保険―という事を、深く考えると重くなるのだけど
そっちに行かせないユアンとスカちゃん。なので軽快、爽快な近未来サスペンス♪
穢れのないリンカーンとジョーダンが自分たちの状況に不審を持ち、
生きたい、愛したいという思いに心を寄せられます!
NYに着くころには人間的変化を遂げている部分が鮮やか
なかなか面白いナイスな1本でした~

アーティスト

2012-04-11 23:50:05 | the cinema (ア行)

原題 THE ARTIST
製作年度 2011年
上映時間 101分
製作国・地域 フランス
脚本:監督 ミシェル・アザナヴィシウス
音楽 ルドヴィック・ブールス
出演 ジャン・デュジャルダン/ベレニス・ベジョ/ジョン・グッドマン/ジェームズ・クロムウェル/ペネロープ・アン・ミラー/ミッシー・パイル/ベス・グラント/マルコム・マクダウェル

サイレントからトーキーへと移り変わるころのハリウッドを舞台に、スター俳優の葛藤と愛を美しいモノクロ映像でつづるサイレント映画
1927年のハリウッドで、サイレント映画のスターとして君臨していたジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は、新作の舞台あいさつで新人女優ペピー(ベレニス・ベジョ)と出会う。その後オーディションを経て、ジョージの何げないアドバイスをきっかけにヒロインを務めるほどになったペピーは、トーキー映画のスターへと駆け上がる。一方ジョージは、かたくなにサイレントにこだわっていたが、自身の監督・主演作がヒットせず……。

1927年にはサイレント映画の大スターだったジョージ・ヴァレンティンは主演映画の舞台挨拶でファンの喝采を浴びていた。
混乱する映画館の前で、若いファンがジョージにぶつかるが
優しい彼の対応に感激した彼女はカメラの前でキスをして翌日の新聞紙面を賑わせる。
それを面白く思わないジョージの妻。
しかしその女性は、ジョージのエキストラをきっかけに彼に貴重なアドバイスを受け、
次第にトーキー映画へと移行していた時代の波に乗り、スターへの階段を駆け上って行く。。。



一方のジョージは、サイレントこそが芸術だと信じ独立して新作を作るが、
奇しくも人気者に上り詰めたペピーの新作と同時公開となってしまい、失敗に―。
追い討ちをかけるように株価は大暴落、ジョージを見限った妻に屋敷を追われる。

失意のジョージはアギー(わんこ)とともにひっそりと孤独で虚ろな日々を、ただ重ねて行き・・・


どこかクラーク・ゲーブルを思わせるジョージ役のジャン・デュジャルダンがステキにその時代の大スターの栄枯盛衰を味わい深く演じて、
彼を愛しながら、傷つけた負い目もあり、陰ながら見守るペピーの心情も伝わってきます。
何より、全てを失ったかのようなジョージが、実は温かなものは何も失わなかったという
シンプルなストーリー。

数々のサイレント映画へのオマージュを散りばめたシーンにもくすぐられるけど、
キノグラフ社での階段でのすれ違い、レストランでのインタビューの構図、
そして後半の、ジョージの深層心理に気づかせる酒のグラス、新しく踏み出すシーンに湧き出すもの…
語り過ぎない優しさと、想像する楽しさと、そして音のかもし出すエネルギーの存在を
改めて知る作品でした。

ただ、モノクロ、サイレントの作品ということで、新鮮であり
映画の原点を味わう作品で、面白い試みもありましたが、ストーリーは平凡。
愛すべき映画ではあるけど、アカデミー作品賞とるほど?という気はしました。

エリン・ブロコビッチ

2012-03-22 23:52:29 | the cinema (ア行)

原題 ERIN BROCKOVICH
製作年度 2000年
上映時間 131分
脚本 スザンナ・グラント
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演 ジュリア・ロバーツ/アルバート・フィニー/アーロン・エッカート/マージ・ヘルゲンバーガー/チェリー・ジョーンズ

巨大企業を相手に、史上最大級の集団訴訟に勝利した実在の人物、エリン・ブロコビッチの活躍を描いたヒューマン・ドラマ。
無職のシングルマザー・エリンは、交通事故をきっかけに強引にポジションを得た弁護士事務所で、恐ろしい環境汚染の実態を知る。正義感と情熱だけを武器に、エリンは勝ち目の無い訴訟に敢然と挑む。

離婚歴2回、子ども3人、預金16ドル―
加えてこのヒロイン、無学、無職、品がない。
だけど、エリンは元ミス・ウィチタに輝いたほどの美貌の持ち主。
3人の子供を養い、今日を生きるのに必死なエリンに世間の風は冷たいけれど、
押しの強さと正義にかける情熱は誰にも負けないし、時にはその美貌が強力な武器になる。

面接に落ちた彼女は帰りに追突事故に巻き込まれるが、楽勝だったはずの裁判で彼女は
和解金を獲り損ねる。―ツイてない日はとことんツイない。
子供を預けていた隣家の女性が引っ越すと言う、、。
せっかく負けた裁判の訴訟を頼んだ弁護士の事務所でゴリ押ししてアシスタントになったのに・・・

偶然見つけた不審なファイルは、やる気スイッチの入った彼女によって掘り起こされていくんです。
この辺りから一貫して、どんな時も諦めない、
恐ろしく口は悪いけど、前向きでエネルギーに満ちた女性となっていきます。

単にお金の為というだけではない情熱と正義を持って調査に埋没――
まだ小さい3人の子供を抱えていても、
学歴や法律の知識がなくても、優しいパートナーに去られても、、、

自分の全ての時間を使って、原告の家庭を訪ね歩き、
膨大な書類を積み重ね、原告の信頼を勝ち取っていくのですが、
コトはどんどん大きくなっていき――

自分の能力や、仕事の大きさとか、そういう一切のことに枠を作らない女性なんですね
機関銃のような喋りは、ホントは苦手なのに、
ジュリア・ロバーツの気迫のこもったメゲないシング・ルマザーっぷりに掴まれてしまいました

これが現実にあったお話だと知って観ているワケですが、
運から見放されたような人生を見事に切り開いてここまできたのは、エリンの努力と根気と勇気だけではない、
彼女が出来なかったこと、彼女に足りない事ををちゃんとフォローしてくれている人がいたからだと、
途中、その陰で支えてる割に報われないアーロン・エッカートが可哀想でした。

もう10年以上も前の作品ですから当然ながらみんな若く、エネルギッシュです♪
アルバート・フィニーはこの後「ビッグ・フィッシュ」「アメイジング・グレイス」「その土曜日、7時58分」「ボーン・アルティメイタム」などに出演。
役柄もありますが「ビッグ・フィッシュ」で急に老けたなあと思ったけどまだまだ元気「ボーン・レガシー」が控えています。

アーロン・エッカートは今回もまた子持ち女に優しく尽くす「幸せのレシピ」みたいな位置。
でもコチラは出番は僅か。なんか好いヒト過ぎなのにちゃんと描かれてないけど
ちょっと報われて欲しいと思っちゃった♪

ちょっとビッチな衣装で頑張った(笑)本作品で、ジュリアはアカデミー主演女優賞を受賞しちゃった♪

4回目の鑑賞ですが、今回は邪魔されることもなくちゃんと楽しめました!

あぁ、結婚生活

2012-03-18 01:20:41 | the cinema (ア行)

原題 MARRIED LIFE
製作年度 2007年
上映時間 90分
原作 ジョン・ビンガム
監督 アイラ・サックス
出演 クリス・クーパー/ピアース・ブロスナン/パトリシア・クラークソン/レイチェル・マクアダムス/デヴィッド・ウェンハム

長年連れ添った1組の夫婦を通し、1940年代のアメリカにおける結婚観や夫婦観をユーモラスに映し出した恋愛喜劇
1940年代、アメリカ。ハリー(クリス・クーパー)は若く美しい愛人のケイ(レイチェル・マクアダムス)との結婚を考えている。しかし、妻パット(パトリシア・クラークソン)になかなか離婚を切り出せないでいると、親友のリチャード(ピアース・ブロスナン)もケイに一目ぼれし……。

倦怠期を迎えた40代の夫婦が迎える危機を、
その愛人たちや友人も巻き込み展開していく――んだけど、
40年代という時代設定もあり、ちょっと古典的な舞台劇を思わせる、
オトナの、ちょいとブラックな恋愛ドラマ。

自分の留守に親友を愛する女の家に行かせるハリーには言葉もない
秘密を打ち明けるだけならまだしも、自分の目的(離婚~結婚)が達成されていない時点で
リチャードのような男に紹介するとは危険過ぎるわ

マジメで良き家庭人であるハリーは、心のつながりを求めていたのに対し、
そんなの幻想よ~と、愛より楽しいセックスなのよ~と言い切る妻。何ト申シテヨイノヤラ・・(爆)
そんな妻の「苦しむ姿がみたくない」でも別れたいハリーは、
余程のお人好しか、単に「誰にも恨まれたくない」だけなのか、
ぐずぐずしてた割りに、出した結論がびっくり(笑)
ついでに、
親友とは名ばかりの、どんな付き合いをしてきたんだ~のリチャードにがっかり。
しかも、「解っちゃった?」と開き直るわりに「離婚しない」理由が
夫と全く同じ言い訳のパットにもびっくり。
ついでに、雨の夜のサヨナラのシーンのケイの優しくない幕引きのタイミングにもびっくり

そして、ラストにもびっくり(笑)
とても40代であそこまでなれないと思うよ、日本人は

要するに不倫に走った中年男の顛末を描いているのに、
途中確かに観てる方はムカつくけど、下品な感じにしてないところがイイですね
それは、昔の手書きポスター風の可愛らしいオープニングにも現れていたかも。
1時間半でサクッとみれるのもいいです。

海辺の家

2012-03-15 01:14:55 | the cinema (ア行)

自分のものと誇れる“何か”をお前に残してやりたかった…
原題 LIFE AS A HOUSE
製作年度 2001年
上映時間 126分
脚本 マーク・アンドラス
監督 アーウィン・ウィンクラー
出演 ケヴィン・クライン/ヘイデン・クリステンセン/クリスティン・スコット・トーマス/ジェナ・マローン/メアリー・スティーンバージェン

自分の人生を見つめ直そうとする父と、息子の絆を描いたヒューマンドラマ。
建築事務所に勤めるジョージ・モンローは42歳の建築デザイナー。父親との確執が原因で、自分の息子ともうまくコミュニケーションがとれなかった。ついには妻にも逃げられ、上司との摩擦から会社もクビになる。挙げ句の果てに医者から余命3ヵ月との宣告を受けてしまう。再婚して幸せに暮らす妻。そしていまだに父を憎み続ける16歳になる息子。ジョージは初めて自分の人生に疑問を感じた。そして、昔からの夢だった自分の家を建て直すことを決意する。最後の夏、ジョージは反発する息子を無理やり手伝わせ、手造りの家を建て始めた……。(allcinema ONLINE)

近所付き合いもなくたった一人でイヌとのボロ家暮らしのジョージは、
CGが発達したこの時代にコンピューターを使わず、今だ手作りで家の模型を作っているアナログ人間。
しかしその仕事もクビになってしまったある日、突然倒れて図らずも癌の宣告を受ける。
その病院の付き添いの女性とのつかの間の触れ合いで、優しさを受けた彼は、
自分の孤独に過ぎた過去を思い知り、
残された僅かな時間で変えられる、変えなければならない一つの事に向かって行動を起こす―。

いい作品でした・・・。

冒頭、海辺の町の住人の紹介の仕方も、短く印象的に一枚の画に収められていく感じも、
みんながどこか傷ついたり、危ういバランスの上で生きているのを上手く映している。
だけど、そんなの何処にもにでもある風景でしょう~?みたいな。。。

仕事はしてきたものの、世捨て人みたいな覇気のない10年を送ってきたのは容易に想像できる42歳にしては老け過ぎなジョージ。
そのジョージと別れて、新たに子供2人にも恵まれて、何不自由なく幸せな生活を送っているはずのロビン。
二人の息子サムは16歳。新しい父にも馴染めず、本当にやりたい事を見つけられないで反抗期を迎えていた。

家族の想い出は、すなわち家の歴史―。
心の中にしこりとなっている古い、悲しい想い出を捨て去り、残された限りある時間で
自分の証となる「新しい家」を建てる。
それは自分の、これまで遣ってこなかった父親としての最良の選択だと信じて、嫌がるサムを強引に同居させ、たった一人で解体から始めるジョージ。

いままで無視していたくせに突然父親らしく振舞われても、「もう遅いよ」というあたり、
自分が足を踏み入れようとしていた道が、望んだものではない事に当然気づいていて、
罪悪感も持っている、ホントは不良ではないパンクなサム。
そんな彼を興味深くみつめる隣家の娘、アリッサとの触れ合いが少しクッションになり、
ランチを差し入れる口実でロビンまでが足繁く通ってきて…
古いものを取り壊し、新しいものをその手で立て直していく、元家族の肖像。

切羽詰らないと人間って、失ったものの大切さに気づかない。それは人であったり時間かも知れない。
それでも気づいたら、取り戻す努力はしよう!と思わせてくれる。
強いこころで。
涸れない愛情で―。


パンクな不良息子が、最初メイクの所為かヘイデンくんだと気がつきませんでしたが、
「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」のアナキンの前の作品。
この年頃のナイーブな表情がとってもいいです。「ジャンパー」などのアクション系じゃなく、こういうドラマの方が向いていると思うのですが。

ちょっと前に観た「モンタナの風に抱かれて」ではキツ過ぎて、綺麗なのに男性に見えてしまった
母親役のクリスティン・スコット・トーマス。このロビンも元夫にはきつかったけど(笑)
揺れながらも子供の手を離さない、悩める母親と妻の両方の顔をみせて、良かったです。

ちょっとした小さなすれ違いや不安が、取り返せない時間になる前に―
ふと立ち止まって、観て良かったと思える1本だと思います。

1911

2011-11-09 23:35:45 | the cinema (ア行)
1911年10月10日、辛亥革命。
歴史に残らなかった「命」の物語。

原題 辛亥革命/1911
製作年度 2011年
製作国・地域 中国
上映時間 122分
監督 チャン・リー
出演 ジャッキー・チェン/リー・ビンビン/ウィンストン・チャオ/ジョアン・チェン/フー・ゴー/ジェイシー・チェン/スン・チュン

中華民国建国のきっかけとなった辛亥革命100周年、ジャッキー・チェン映画出演100本記念の歴史巨編
20世紀初頭の中国。清王朝は日清戦争を契機に、列強各国の一層の支配を許すこととなり、衰退の一途を辿っていた。国を憂う若者たちのエネルギーは、王朝の打倒へと向かい、各地に革命組織が結成されていく。ハワイへの留学経験を持つ孫文も革命を志すが武装蜂起に失敗し、日本に亡命する。そこで義に厚く人望のある黄興と出会い、同志となる。孫文から中国国内での革命活動の指揮を託された黄興は、1911年4月、広州にある総督府への襲撃を決行するのだったが…。

これは戦争に巻き込まれた人たちの話ではなく、自ら革命に命をかけたひとたちの闘いを
史実に沿って描かれたものなので、
いわゆる内戦ものであっても、
麦の穂をゆらす風」のように、兄弟のドラマが展開されるとかっていうのはまるでなくて、
ひたすら淡々と孫文を中心としたその時代を追っていくものでした。

孫文(ウィンストン・チャオ)と心を一つにした黄興(ジャッキー)ですが、
現場で指揮する黄興と、政治的折衝を計る孫文が一緒に行動を起こすことがないのもありますが、
映画的感動とかっていう感じではないですね。
せっかくリー・ビンビンが出ていながら黄興との絡みがちゃんと描かれず、というのも勿体無かったです。

歴史ものですから登場人物も多いし、その立場の説明字幕とセリフの字幕を同時に追っていくのも
かなり大変で、画面を堪能するまでいかなかったというのもあり、
この作品ばかりは「吹き替え版」にすれば良かったかな~と途中から過ぎりましたが・・
(リー・ビンビンが江角サン?中川翔子サンって陳意映ってほんのちょっとで、、どうだったんでしょう?)

とはいえ、アジアで一足先に明治維新を成し遂げた日本の、当時を思い起こさせるものがあり、
何千と言う若者がバタバタと弾丸に倒れる様は胸が痛みました・・・。
革命軍は、自ら命を賭した才能ある若者主体だったのですから。
こういう痛みの末にやっと生まれた共和国であるのに・・・、今の中国の若者たちは、
この映画を観てどう感じたのか、、、逆にソチラのほうの興味が湧きました。

ジャッキーファンにはちょっとしたサービスショットがありますが、
ラストエンペラーが好きな人、中国史に興味がある人にはいいかも知れないけど、
ちょっと駆け足の説明的部分も多く、ジャッキーファンでも好みは分かれる作品でしょう。

うさぎドロップ

2011-08-28 01:24:20 | the cinema (ア行)
まわりを見渡せば
世界は愛で溢れてる――。

製作年度 2011年
上映時間 114分
原作 宇仁田ゆみ
脚本 林民夫/SABU
監督 SABU
主題歌 PUFFY 『SWEET DROPS』
出演 松山ケンイチ/香里奈/芦田愛菜/桐谷美玲/キタキマユ/佐藤瑠生亮/秋野太作/木村了/綾野剛/高畑淳子/池脇千鶴/風吹ジュン/中村梅雀

27歳の河地ダイキチは、会社では部下からの信頼も厚い働き盛りの独身サラリーマン。ある日、祖父の葬式で、その祖父に隠し子がいたことが発覚。しかもわずか6歳の女の子だった。母親の行方も分からず、親戚一同が迷惑顔で、少女の引受先を決めあぐねているのを見て、思わず“自分が育てる”と宣言してしまうダイキチ。こうして血縁的には叔母となる6歳の少女・鹿賀りんとの奇妙な共同生活が始まった。

例によって原作漫画はもとより、その漫画家の名前さえ知らず、ただケンイチクンと愛菜ちゃんの映画~というので楽しみにしていました♪

デトロイト・メタル・シティで気になり、ドラマ「銭ゲバ」で完全にお気に入りとなった松ケンくんと、
昨年私が毎週のように泣きながら観ていたドラマ「Mother」の愛菜ちゃんの共演というだけで、
もう観に行くときめていました

27歳、独身、彼女ナシ。ごくふつーのサラリーマン河地大吉が、祖父の葬式で気に留めた寂しげな少女。
鹿賀りんは祖父の隠し子だという。
ダイキチは、自分の父親の葬式だと言うのに大人にほったらかしにされ続けている少女に無関心でいられない。
親戚たちは誰もこの少女を引き取りたくないらしいムードの中、
つい、男気を見せてカッコよく言う 「オレんち、、、 くるか?」

で、ケッコンしたことも無いのにダイキチはいきなり6歳の子持ちリーマン
りんちゃんに 「 おじちゃん、、、お腹すいた 」で起こされ、2人の日々が始まるのですが、
覚悟も無く、深刻に悩まないで、ただお互いの存在を受け入れるスタート
それだもん、観ながら気になる事だらけです(笑)
何が必要なのか?とか、現実に照らし合わせるともっと先にちゃんとしなくちゃいけない
書類上のこととか脳裏をよぎります。が、、
取り敢えずごはん着替えそれから・・保育園。
え"ぇぇぇ-----っ!!保育園んんーーーっっ

そう、いきなりだけど、6歳だからね
それから始まるダイキチの奮闘のイクメン日記




親子でも兄弟でもなく、ホントは叔母と甥(ダイキチが)。
それでもりんにとっては頼れる唯一人の、父親にそっくりのおじちゃん
りんとの出会いで一変するダイキチの生活だけど、次第に周りにも協力者が現れ・・・

いや~~、
昨年の「Mother」から数ヵ月後の、この撮影時5歳の愛菜ちゃんの見事な演技
松ケンがメロメロになるのも当然の可愛らしさ♪
その松ケンも、なんていうか~、、、色っぽい?
いや、あの妄想シーンじゃありません(爆)
今までで一番普通のひとだった彼が、りんちゃんに降り注ぐ眼差しの優しいこと、
幸せを滲ませるそのまなざしが色っぽくさえ感じました

イクメン?といえば最近では真っ先に錦戸くんが思い浮かびますが(笑)
コレは男性に限らず、子育てというか、
子供と一緒に生きていくことの大変さと、子供が与えてくれる喜びを、
子育て1年生のダイキチと共に学習したりしながら2人を見守る作品だと思います。

子育て・・・確かに一人の気楽な時間はかなり持てなくなるし、
あの高畑さん扮する民生委員(?)のいうように、成長すれば反抗期だってある。
ずっと素直で可愛い6歳児ではいられないだろう。
それでも愛情を注ぎ、子供の変化を見守ることの幸せ・・・―。
そこをダイキチの表情の中に芽生えてくるモノ、見つけて欲しいと思います♪

ウルミラ」のようにウルトラピュアでもなく、「GANTZ」のように暗くも無く、「誰かが私に~」ほど弱くもなく
ひとのセックス~」のみるめ君ほど子供じゃない、等身大のケンイチくん、良かったです

愛菜ちゃん、「半分の月がのぼる空」の時は4歳ぐらいだったのでしょうか?
阪急電車 ~」の時はもうすっかりベテラン子役って感じでした。
もう少し、ゆっくり時間をかけて大きくなって下さい(笑)まだまだ小さい愛菜ちゃんでいて欲しい

イングロリアス・バスターズ

2011-06-13 23:53:11 | the cinema (ア行)
原題 INGLOURIOUS BASTERDS 
製作年度 2009年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 152分
監督・脚本・製作 クエンティン・タランティーノ
出演 ブラッド・ピット/メラニー・ロラン/クリストフ・ヴァルツ/ミヒャエル・ファスベンダー/ダイアン・クルーガー/イーライ・ロス/ダニエル・ブリュー/ルティル・シュヴァイガー

1941年、ナチス占領下のフランスの田舎町で、家族を虐殺されたユダヤ人のショシャナ(メラニー・ロラン)はランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)の追跡を逃れる。一方、“イングロリアス・バスターズ”と呼ばれるレイン中尉(ブラッド・ピット)率いる連合軍の極秘部隊は、次々とナチス兵を血祭りにあげていた。やがて彼らはパリでの作戦を実行に移す。

今年は、戦争を地味にリアルに再現したような「太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-」を観たので、どうしてもエンターテイメントとしてやり過ぎなところが目立ってしまいますが、
ストーリー、展開もスリルがあり面白かったです。

物語は第1章~最終章まで5つの章に分かれて繋がっていきます。

"その昔…ナチ占領下のフランスで"        "名誉なき野郎ども"  "パリにおけるドイツの宵"


"映画館作戦"                  "ジャイアント・フェイスの逆襲"


第1章で、冷酷なナチスのユダヤ狩りをさらりと描き、
密かに潜入した連合軍秘密部隊「栄光なき野郎ども(イングロリアス・バスターズ)」
が登場してからは、観客はレイン中尉率いるバスターズを正義の味方のように、
窮地に現れ迫害される市民を救う・・シーンを期待したかも知れませんが、
このバスターズもカッコよくは描かれていない。
既に人間味を持たない、残虐な恥ずべき野郎どもとして描かれているのです。
美しくて賢い二人の女性に対しても、同情のままで終わらせない。

ショシュナの映画館でプロパガンダ映画のプレミア上映会の夜、
奇しくも交錯する二つの打倒ナチの作戦。
各章にドキドキのシーンが盛り込まれていてスリリングですが、個人的には
第4章"映画館作戦"でヒコックス中尉(ミヒャエル・ファスベンダー )や2重スパイの女優たちがバーで、
運悪くドイツ兵たちと接触するハメになるシーンと、
最終章"ジャイアント・フェイスの逆襲"の、女性二人の其々の攻防!に戦慄しました。

“ユダヤ・ハンター”の異名を持つハンス・ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)が、
静かな、しかしねちっこく厭らしく、憎々しくて、そこが余計にこの作品を面白くしていたと思います。

人間味が残っている、普通に好い人や、甘さのある、或いは少しでも残酷になれない人は、
この作品の中ではバタバタと死んでいきます。

極論を言えば、戦争とはそうしたモノなのかも知れない。――そう明確に監督は言っているような気もします。
さて、では、最後まで生き残るのは誰なんでしょうか?