認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

「アルツハイマー型認知症」の正体は、「生活習慣病」なのです(A-73)

2013-01-11 | アルツハイマー型認知症に対する正しい知識

 このブログは、認知症の専門家達(研究者や医師)から「原因もわからないし、治らない病気」と言われ続けてきた「アルツハイマー型認知症」の正体(発病のメカニズム、特有な症状と症状の段階的進行の仕方、回復及び予防の方法並びに市町村による「地域予防活動」の展開等)について、一般のみなさんと市町村の保健師さんに分かりやすく解説する目的で、開設しています。昨年は、東日本大震災の被災地の「高齢者」に、できるだけ速く多くのことを知らせたいとの思いから、3月に開始して71回ブログの記事を書きました。今年は、毎月1日、11日、21日の各3回、ブログの記事を書いていくつもりです。「アルツハイマー型認知症」に関する私たちの考えの体系は、マニュアル化されている内容だけでも、「個別事例判定マニュアルA、B、CのA4版三部作」で630ページを超えるものになります(そのほかにも、「個別事例判定マニュアル使用の手引き」、「二段階方式による手技のフローチャート解説」及び「典型事例集による個別事例判定の仕方の解説」等があります)。ブログに書かれる都度の記事を読んでいただくだけで、「アルツハイマー型認知症」に関する私たちの考え方の「概要」を伝えられるよう、できるだけ工夫して書くようにしたいと考えています。

○   アルツハイマー型認知症」を発病する対象は、「高齢者」だけ

一口に認知症と言っても、いろいろな種類があることをご存知でしょうか。アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、二次性認知症、レビー小体型認知症、アルツハイマー病等、認知症にもいろいろな種類があるのです。そうした数ある認知症の中でも、その大多数、90%以上を占めているのが「アルツハイマー型認知症というタイプの認知症なのです(認知症のうちの20%を「脳血管性認知症」が占めると主張する人達がいますが、その人達は、脳血管の障害と認知症の症状との間の「因果関係」の確認が極めてルーズな人達なのです。因果関係をきちんと把握し確認すると、実際の数値は5%にしかならないのです。残りの15%相当分は、脳血管性認知症ではなくて、「アルツハイマー型認知症」なのです。両者をきちんと見分けるすべを知らないので、このようないい加減な数値になっているのです。このことについては、別途詳しく説明します)。

これまで、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症については、認知症の研究者や医師など専門家と呼ばれる人達の間では、「アルツハイマー型認知症は、原因もわからないし、治せないし、予防することも出来ない病気」と言われてきたのです。

ところで、実態面から見たとき、「アルツハイマー型認知症」は、主に60歳以降の「高齢者」だけを対象に発病するので、老年性(晩発型)アルツハイマー病とも呼ばれているのです。但し、生まれつき特定の遺伝子を持つ人にしか発病してこない狭義の若年性「アルツハイマー病」と老年性の「アルツハイマー型認知症」とをまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ人達がいるのですが、昨年のブログでも説明したように、両者は全く性質が違いますので注意してください(両者は発病のメカニズムが全く異なるものなのに、「解剖所見が似ている」というだけの理由で、両者の本質を誤解している人達がいて、混同しているだけのことなのです)。

つまり、皆さんが普段目にしている認知症のお年寄り達は、その殆どが、「アルツハイマー型認知症」の人達なのです。そして、「アルツハイマー型認知症」は、第二の人生にある60歳代以降の「高齢者」だけを対象として発病してくるという極めて重要な「特徴」を有するのです(この極めて重要な要素に目を向けていないが為に、世界中の認知症の専門家と呼ばれる人達が、「アルツハイマー型認知症」の「発病のメカニズム」を未だに解明できないでいるのです)。その上、「アルツハイマー型認知症」は、60代より70代、70代より80代、80代より90代、90代より100歳代と、高齢になるほど発病する人の割合が多くなっていくという特徴を有するのです。従って、「高齢化率」が30%を超えるような町や村、高齢化率がそれほど高くない市や町でも高齢のお年寄りが大勢住んでいる地域では、「アルツハイマー型認知症」の症状を示すお年寄りの姿をよく見かけるようになるのです。

これから先、このブログでは、「アルツハイマー型認知症」に的を絞って、「発病のメカニズム」、「重症度別の段階的症状及びその回復法」、「適切な介護の仕方」及び「発病の予防法」等について、専門家と呼ばれている人達に「問題提起」しつつ、且つ一般の人達と市町村の保健師さん達にも、分かりやすく説明していきます。「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムを解明するその鍵は、「脳の働き具合」と「脳の機能レベル」にリンクした「症状」及びそれらの脳の機能レベルを測る「物指し」とにあることを心に留めておいて欲しいのです。

○   研究者や精神科医は、回復可能な「軽い段階」(小ボケ及び中ボケ)を見落としている

□ 服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被る;とか

□ 自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になる;とか

□ 同居している、家族の顔も分からない;とか

□ お漏らしした服を、平気で着ている;とか

□ つい先ほど食事を摂ったばかりなのに、そのことをすっかり忘れている

こんな症状が見られるようになると皆さんは、「その人は認知症」だと考えるのではないでしょうか。正確に言うと、こんな症状が出ている人は、回復が困難な「アルツハイマー型認知症」の「末期段階」(大ボケ)の人、なのです。こんな「重度の症状」(末期の症状)が出てくるもっと前の回復可能な「軽い段階」(初期の症状及び中期の症状)があるのを、精神科医が見落としているだけなのです。

精神科医が、回復が可能な「軽い段階」を見落としていて、回復が困難な「末期の段階」しか見つけられないでいる最大の原因は、診断の際に依拠するDSM-4」(米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準)というその診断基準自体に重大な誤りがあるからなのです。「失語」、「失行」、「失認」という「末期段階」にならないと発現することがない「重度の症状」(私たちの区分でいう「重度認知症」の段階の症状)を診断の要件として規定しているDSM-4の基準に依拠して診断する限り、回復可能な「軽い段階」が見落とされ、回復困難な「重度の症状」が発現している「末期の段階」だけに焦点が当てられることになってしまうのです。その結果として、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らないし、予防できない病気」という「誤った見解」が、精神科医の診断を通して、「世間の常識」になってしまっているのです。

「アルツハイマー型認知症」の場合は、 昨日まで正常で、趣味や遊びや人付き合いを楽しめていたお年寄りが、一夜明けたら「服を自分で着られなかったり」、「自分の家が分からなかったり」、「家族の顔が分からなかったり」は、しないのです。こうした「症状」は、「アルツハイマー型認知症」の回復が困難な「末期の段階」のみに見られる症状であって、ここまで症状が進んでくる前の「軽い段階」(回復が容易な「小ボケ」の段階及び回復が未だ可能な「中ボケ」の段階)があるのです。

 認知症の大多数を占めていて、専門家達から、「原因も分からないし、治らない」とされている 「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「何年もかけて、症状が徐々に、段階的に進行していく」(段階的症状を示す)のがもう一つの特徴なのです(特定の遺伝子の異常が原因で発病する「狭義のアルツハイマー病」とは、進行度合いが全く違うし、発病のメカニズムも全く異なるものなのです)。

精神科医が「アルツハイマー型認知症」の「初期の症状」と言っているものは、回復が困難な末期段階の「重度の症状」(大ボケ)の中の初期の症状(MMSの換算値で14~11点のレベル)のことなのです。だから、ここまで脳の機能レベルが衰えてきていると、「せっかく見つけても、治らない」ことになるのです。回復が可能なもっと軽い段階の「小ボケ」や「中ボケ」の症状(回復がまだ可能な本当の初期症状:MMSの換算値で15点以上のレベル)については、「認知症のレベルと回復の可能性」に関する脳の機能レベルとリンクしたデータの開示も含めて、逐次、詳細な説明をしていく予定です。

○   器質的変化ではなくて、廃用性の異常な機能低下(機能の退化)が本質の病気

組織や細胞が変形、変性あるいは破壊され、元の形に戻らなくなるように変化することを器質的変化といいます。「アルツハイマー型認知症」は、アミロイドベータの作用によりもたらされる「老人斑の生成」やタウ蛋白の作用によりもたらされる「神経原繊維変化」という器質的変化が本質の疾患とするのが専門家達の多数説ですが、私達は、廃用性の異常な機能低下(機能の退化)が本質の疾患だと考えているのです(「廃用性」の異常な機能低下とは、使われる機会が極端に少なくなることにより、脳本来の機能が退化していくことを言います。その詳細については、追って、関連する「脳機能データ」の開示を含めて詳しく説明する予定です)。

「 脳の働き具合」(機能レベル)とリンクした「症状」(段階的症状)の多数に上るデータの分析結果から、「アルツハイマー型認知症」は、加齢による脳の老化を「第一の要件」とし、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を使う機会が極端に減少する「単調な生活」の継続による廃用性の機能低下を「第二の要件」として、両者の相乗効果により、「脳機能の加速度的な機能低下」が惹起され、脳の機能が加速度的に異常なレベルに低下していく(機能の退化)病気、言い換えると「廃用症候群に属する生活習慣病」だと私たちは考えているのです。

       

 「軽度認知症」(小ボケ)のレベル(MMSの換算値が24点~30点)では、高次機能とされる左脳、右脳と運動の脳の働き具合は未だ正常レベルにあるのですが、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働き具合だけが、もはや正常レベルにはなくて異常なレベルに衰えてきているのです(「アルツハイマー型認知症」の場合は、このように、「前頭葉」の働きだけが先行して衰えていくことが特徴なのです)。米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定のように、「失語」、「失行」、「失認」という末期の段階にならないと発現することがない「重度の症状」とリンクした「記憶の障害」を診断の要件としていたのでは、このような「初期の段階」を見逃してしまうことになるのです。但し、この「軽度認知症」(小ボケ)のレベルでは、器質的変化は未だ起きていなくて、機能レベルの異常な低下」(機能の退化)が起きてきているに過ぎません。理由は、この初期の段階で発見できれば、脳のリハビリによって、脳の機能は正常レベル」に比較的容易に回復させることが可能だからです。

「中等度認知症」(中ボケ)のレベル(MMSの換算値が15点~23点)では、高次機能とされる左脳と右脳の働き具合も異常なレベルに衰えてくる上に、司令塔の「前頭葉」の働き具合は、軽度認知症(小ボケ)のときに比べて更に異常なレベルに衰えてきているのです。但し、このレベルでも、MMSの換算値が20点以上を確保できている中等度認知症」(中ボケ)の前期までの段階であれば、器質的変化は未だ起きてきていなくて、機能レベルの異常な低下(機能の退化)が起きてきているに過ぎないのです。理由は、この段階で発見できれば、集団生活レベルでの「脳のリハビリ」でも、脳の機能を正常レベルに回復させることが未だ可能だからです。

更に、MMSの換算値が15点から19点までの中等度認知症」の後期レベルに衰えてくると、個別での頻度と密度の濃い「脳リハビリ」を取り入れることにより、回復させることが未だ可能なのですが、家族を含めた支援態勢と相当な条件下での脳リハビリの実施という困難が伴うことになります。

そして、「重度認知症」(大ボケ)のレベル(MMSの換算値が14点以下)では、高次機能とされる左脳、右脳と運動の脳の働き具合が中等度認知症のときに比べて更に異常なレベルに衰えてくる上、司令塔の「前頭葉」の働き具合は、中等度認知症のときに比べ更に加速度的に機能が衰えていくので、殆ど機能しなくなってきているのです。その上、MMSの換算値が14点から11点へと低下してくるにつれ、徐々に器質的変化が現れてきて、10点以下のレベルでは、顕著な器質的変化が起きてきていると考えられるのです。理由は、この末期段階の「重度認知症」の段階では、脳のリハビリによる機能の回復の効果が期待できなくなるからです。

「アルツハイマー型認知症」の専門家といわれる研究者や医師たちは、前述した「DSM-4」の規定に依拠して診断を行う為に、この末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階だけを捉えて「アルツハイマー型認知症」であると診断しているのです。そのため、本来は機能レベルの退化が本質なのに、器質的変化を起こしていることが「アルツハイマー型認知症」の本質であると本質を見誤っているのです。

「アルツハイマー型認知症」は、「脳の働き具合」のアウトプットが「症状」の程度・態様として発現してくるだけなのです。脳の機能レベル(小ボケ、中ボケ及び大ボケ)に対応して、機能レベルに特有の「段階的な症状」(小ボケの症状、中ボケの症状及び大ボケの症状)が発症してくるのです。「脳の機能レベル」が「症状」の程度態様とリンクしているわけですから、脳の機能レベルの異常な低下(機能の退化)がもっと軽い段階から、且つ症状の進行を段階的継続的に変化移行していくものとして理解し捉えて、データを集積し分析することが、的確な判定や診断に必要不可欠となるのです。「DSM-4」という、権威はあるが内容自体に重大な誤りがある「診断基準」を金科玉条としていたのでは、いつまで経っても、「アルツハイマー型認知症」の本質を理解することはできないし、的確な診断を行うことはできないというのが専門家達に対する私達からの問題提起なのです。

認知症の大多数、90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」も、一般の病気と同様に、早期発見・早期治療が鍵になるのです。「軽度認知症」(小ボケ)と「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つけると、脳のリハビリ(「前頭葉」を中心とした脳の活性化を目的とする「生活習慣」の構築と実践)により、「治す」(脳の機能を正常なレベルに回復させる)ことができるのです。認知症専門の医師達は、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階になって初めて、「DSM-4」の基準に依拠して「アルツハイマー型認知症」であると診断することになるので、その結果として、「アルツハイマー型認知症は、治すことができない」ことになってしまっているだけなのです。認知症の専門家と呼ばれる人達が言っているような、「原因不明で治らない病気」ではないのです。 「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する「生活習慣病」の一つにすぎないということを早く理解してほしいと願うのです。更には、発病を「予防」することもできるのです(このことについては、市町村による「地域予防」の展開方法という「テーマ」で詳しく説明する予定です)。 

ところで、「生活習慣」と言うと、「調和のとれた食事、適切な運動、十分な睡眠」などが直ぐに「テーマ」にされるのですが、私達の市町村での「地域予防活動」の実践の成果から言うと違うのです。「アルツハイマー型認知症の回復と予防」には、北海道から九州まで、日本人全体について、「脳の使い方」と言う視点からの「生活習慣の見直し」が不可欠となるのです。こうした視点からの「脳を活性化する生活習慣」の構築と実践とを全国民的な「テーマ」として、特に、第二の人生に入っている高齢者(及び第二の人生を迎えようとしている50歳代の人たちを含む)に、このブログを通じて、呼び掛けていきたいと考えているのです。

注)本著作物(このブログA-73に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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