認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症のチェックリスト(小ボケ) Q/A Room(A-49)

2012-07-05 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q:長年連れ添ってきたしっかり者の奥さんを3年前に亡くしてからは、隣の町で一人暮らしをしている73歳の兄のことです。夫婦で国内旅行を時々楽しむ以外これといった趣味もなかった上に、人付き合いが苦手な兄は、テレビを見て暮すだけの毎日なのです。ボケるのを心配して、ときどき私が訪ねて行って話し相手をしていました。最近物忘れがひどいので、気になって近所のお医者さんに診ていただいたところ、「軽度認知障害」で、この先「アルツハイマー型認知症」を発病する可能性があると言われました。

       

A:認知症の専門家たちの間で提唱されている「軽度認知障害」は、「正常」と認知症(専門家が「認知症」というときは、私達の区分で言う末期の段階の回復が困難な「重度認知症」のことです)との間にある概念だとされています。従って、私達の区分で言う、早期の段階の回復可能な「軽度認知症」と「中等度認知症」は、「軽度認知障害」の中に含まれることになります。いづれにしろ、「軽度認知障害」の基準は定義自体があいまいで、且つ幅が広すぎるので、客観的な診断基準というにはほど遠い内容です。

「アルツハイマー型認知症」の初期(最初)の段階であり、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)は、左脳と右脳と運動の脳は正常レベルなのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。そのため、「前頭葉」の機能のうち最も重要な「三本柱」の機能である意欲、注意集中力及び注意分配力が十分且つ的確には発揮できなくなります。この「三本柱」の機能の相乗効果としての発揮度合いが、いろいろな認知機能の対象となる情報や思考の処理にかかわる「認知度」を左右しているのです。その結果、小ボケの段階では、この「三本柱」の機能障害を示す症状が「小ボケの症状」として特徴的に現れてくるのです。

「三本柱」の機能がいろいろな認知面で的確に発揮されなくなる結果、対象となる情報や思考の認知と処理並びに記銘とその保持及び想起の面でも、機能の発揮が不的確で不十分なものとなります。その結果、的確な状況の判断、発想、計画、創意、工夫、機転や見通しなどが要求される「社会生活」に支障が出てくるようになり、社会生活面での種々のトラブルが生じてくるようになります。勿論、この段階では、「家庭生活」面にも「セルフケア」にも何の支障も起きてきません。それぞれの段階で必要とされる「脳の機能のレベル」が異なるからです。(「小ボケ」の脳の機能レベルは、ここをクリック)、(「中ボケ」は、ここ)、(「大ボケ」は、ここ)。

       

その「小ボケ」レベルでの「中核的な症状」の特徴を挙げると、次の5つです。

自分の置かれている状況を的確に判断できなくなります。

発想が湧いてこなくて、見通しも立たないので、この一日或いは一週間、何をどうするのかという「テーマの発想と計画」が出来なくなります。

何かをしようとする「意欲」が出てこなくなり、毎日をボンヤリと過ごして、居眠りばかりするようになります。

何事をするにつけても人を頼るようになり、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」になります。

その人らしい「生活態度」が消えていき、「こんな人ではなかったのに」と周りから言われるようになります。

                  

以下に、「二段階方式」の判定基準である「小ボケ」に特有の症状を列記しておきます。夫婦で国内旅行を楽しんでいたころのお兄さんには見られなかったもので現在該当する症状が、いくつあてはまるかチェックしてみてください。4つ以上に該当すると、「小ボケ」の可能性があります。

□ 複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない

□ 機転がきかなくて、創意工夫ができない

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ

□ 何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない

□  同じ食材を買ってくることが多く、料理の献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられず、なにも思いつかない様子

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと居眠りしている

□ これまでなら感動していたことに対して感動しない

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔がほとんど見られない

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 料理の手際が悪くなり、家族数に関係なく多すぎる量の料理を作る

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけ人を頼ろうとする

□ 髪の手入れや、おしゃれに無関心

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかない

□ 会話の最中唐突に、一方的に言いたいことを言い相手の話しを聞かない

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ これまでなら楽しんでいた趣味や外出や旅行を嫌がる

         

(コーヒー・ブレイク) 60代以降の高齢者が何かを「キッカケ」にしてナイナイ尽くしの「単調な生活」(目標もなく喜びや生き甲斐もない生活、趣味や遊びや人付き合いもなく運動もしない生活)を続けていると、出番が少なくなり使われる場面が極端に減った前頭葉が加速度的な廃用性の機能低下を起こしてきます。脳の老化が加速されていき、働きが急速に衰えてくるのです。脳の働きが加速度的に衰えてくるその先に、「アルツハイマー型認知症」が待っているのです。(認知症発病のメカニズムについては、ここをクリックしてください)。(小ボケからの回復については、ここをクリックしてください)。

 注)本著作物(このブログA-49に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

        エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

      脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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