認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

「アルツハイマー型認知症」からの回復と治療薬 Q/A Room(A-64)

2012-10-18 | アルツハイマー型認知症の治療方法

 認知症の大多数90%以上を占めていて、専門家たちの誤解から原因不明で治らないとされている「アルツハイマー型認知症」は、「高齢者」だけが対象となるのです。高齢者と呼ばれる60歳以降の年代になってから、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達の割合が、年齢が上がるにつれて、60代で12%、70代で30%、80代で50%、90代で75%、100歳代では97%と、どんどん増加していくのが特徴です。但し、ここで言う、「アルツハイマー型認知症」を発病している人達とは、回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)のレベル、回復が可能な「中等度認知症」(中ボケ)のレベル、回復が困難な末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のレベルの「全ての段階の人達」を合わせた人数による割合を言っていることに注意してください。

   厚生労働省が総数300万人と発表しているのは、「重度認知症」(大ボケ)レベルの人達だけの数であることにも注意が必要です。「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた数は、「大ボケ」の数(300万人)の3倍にもなるというのが、私達の集積したデータからの推定です。認知症の専門家である精神科医は、「大ボケ」の段階の中期を過ぎた段階にならないと発現してこない失語、失行、失認といった「末期段階の症状」が出てくるようにならないと「アルツハイマー型認知症」とは診断しません。「小ボケ」も「中ボケ」も共に「大ボケ」の予備軍であるにもかかわらず、「小ボケ」は「不活発病」とされて放置され、「中ボケ」は「年のせい」として放置されているのです。私達のデータから推測すると、「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた数は、既に1200万人にも達していると考えられるのです。

             

   「アルツハイマー型認知症」は、「高齢者の前頭葉を含む脳の機能が、加齢とともに老化が進んできている」(正常老化)という(「第一の要件」)と「キッカケを契機として始まったナイナイ尽くしの単調な生活の継続」(廃用性の機能低下)という(「第二の要件」)の二つの条件が重なり合うことの「相乗効果」によって、「機能の低下が加速される」ことにより発病してくるというのが私達の見解です。「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の老化(緩やかで直線的な低下のカーブを描く)が、廃用性の機能低下により更に「加速」される(加速度的な低下のカーブを描く)ことにより、「アルツハイマー型認知症」を発病してくるのです。意識的に何かの「テーマ」を実行する(しようとする)ことにより働く「脳の機能レベル」のアウトプットが、そのまま「アルツハイマー型認知症」の「症状」であり、「脳の機能レベル」が低下するに従い、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の症状が段階的に発現してくるのです。その根拠となるデータについては、(N-34)で詳しく報告してあります。「キッカケ」の例示については、(ここをクリックしてください)。このメカニズムのもとでは、「第一の要件」は誰しも共通であって、「第二の要件」こそが「アルツハイマー型認知症」を発病するかしないかを決定づける条件となります。

 言い換えると、認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」の発病は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という、第二の人生での「生活習慣」と密接な関係があるのです。「原因も分からないし治せない病気」と言われて放置されたままになっている「アルツハイマー型認知症」という病気は、廃用症候群に属する「生活習慣病」であるというのが私たちの見解です。「アルツハイマー型認知症」は、「小ボケ」と「中ボケ」までの段階で見つければ「生活習慣」の改善によって治せるし、脳が活性化する自分なりの「生活習慣」を維持することで発病を予防することもできるのです。

             

  このブログで何度も指摘してきたように、最初に注目すべき軽い段階の症状、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えていて、左脳も右脳も未だ正常なレベルにある段階で認知症の症状が発現してくる「軽度認知症」(小ボケ)に注目すべきなのに、そのことに気づいていないのです。「前頭葉」の機能が加速度的に衰えていき殆ど機能しなくなってきていて、左脳も右脳も機能が異常なレベルに衰えてきている段階、いきついた最後の末期段階の症状を示している「重度認知症」(大ボケ)になって初めて、認知症と診断しているのです。重度認知症の症状が出てきて、「アルツハイマー型認知症」と診断していたのでは、せっかく見つけても手遅れ、「原因も分からないし、治らない」病気という結果になってしまうのです。

             

  脳の委縮が原因であるとか、アミロイドベータやタウ蛋白が原因であるとか、因果関係の確認もなしに、発病のメカニズムとは無関係の方向に学会の目が向けられたまま、「小ボケ」や「中ボケ」に目が向けられず放置されたままでいると、「中ボケ」は「大ボケ」になり、「小ボケ」は「中ボケ」の段階を経て「大ボケ」になるのです。東日本大震災の被災地の高齢者の間に、研究者達から「不活発病」の名を冠せられて注目を集めているお年寄り達が数多くいます。そのお年寄り達は実は、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の人達なのです。このブログの(N-33)で例示し説明した「生活状況」の発生が「キッカケ」となり、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まってから半年から3年の間が「小ボケ」の期間、4~5年の間が「中ボケ」の期間で、6年経つと「大ボケ」になる」というのが大原則なのです(ここをクリックしてください)。

             

 米国精神医学会の「DSM-4」の規定は、「アルツハイマー型認知症」と診断するための第一の要件として、「記憶の障害」を挙げています。「記憶の障害」を第一の要件としていること自体がそもそも間違いなのですが、誰も第一の要件の問題性を疑おうともしないのです。日本人がノーベル賞を獲得したことで注目されている「iPS細胞」の研究者たちは、この要件に着目して、「アルツハイマー型認知症」の治療薬を開発する方法として、「海馬」機能の再生に目を向ける可能性があると思うのですが、発病のメカニズムから考えると、無駄足に過ぎないのです。このことを警告しておきたいと思うのです。時間もコストも、最終的には無駄になるのですから。

  私たちのデータと根拠からすれば、「アルツハイマー型認知症」を治せる薬とは、異常なレベルに機能が衰えている「前頭葉」を含む脳の機能を正常レベルに引き戻すことが出来る薬と言うことになります。意識的な行為の世界をコントロールしている、脳全体の司令塔の「前頭葉」の機能から見たとき、そのような効能を持った薬が開発できるとは考えられないのです。

 このことを、分かりやすい例で説明しましょう。自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器があります。アルツハイマー型認知症は、空気をチューブに運ぶ紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経線維や海馬の機能)に支障があるのではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分(脳で言えば、情報を処理し、発信してやる「前頭葉」等の機能)に支障が起きてきたこと(「廃用性の機能低下」)により、正常に働かなくなったことが原因で発病する(「認知症」の症状がでてくる)病気なのです。

            

 「廃用性の機能低下」が原因で前頭葉を含む脳の機能が異常なレベルに衰えてくることの直接の結果として「認知症の症状」が発現してくる訳ですから、正常なレベルに引き戻す方法(治療の方法)は、日常生活のいろんな場面で、「前頭葉」の出番が増えるようなテーマ、例えば、趣味や遊びや人づきあいや運動を自分なりに楽しみ、目標や喜びや生き甲斐が得られる生活を送ることが不可欠の条件となるのです。そうした「生活習慣」の下で、脳全体を活性化してやり、機能レベルを回復させてやるしか他に採るべき方法はないのです。この場合、「中ボケ」レベルにまで衰えていたら、「一日五千歩」の散歩をさせることが出発点となります。意識的に何かのテーマを実行するには、一定レベルでの「意欲」が必要であり、「歩くこと」が「意欲」を引き戻すのに極めて有効だからです(ここをクリックしてください)。但し、回復が可能なのは「中ボケ」の段階までであって、「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えたら、回復させることはもう期待できなくなることに注意が必要です。

            

(コーヒー・ブレイク)「器質的変化」が本質の病気だと誤解しているために、「アルツハイマー型認知症」に効く薬が開発できるかもしれないと研究者たちは考えてしまうのです。多数のデータの分析と根拠に基づき、私たちがこれまでに指摘しているように、「機能的変化」(廃用性の機能低下)が本質の病気だとすれば、脳を十分に使ってやりもしないナイナイ尽くしの「単調な生活」をしていて、飲むだけで(貼るだけで)効くような、そんな薬はあり得ないのです。iPS細胞で海馬の機能を再生させても、「アルツハイマー型認知症」を治すことにはつながらないし、ましてや「前頭葉」自体の機能を再生させることはできるはずもないのです。

(補足) ニューロンの機能の分野については専門外なので、単なる推測にすぎないのですが、高齢者がナイナイ尽くしの「単調な生活」を継続する下で、脳の「廃用性の機能低下が起きてくる状態」を言い換えると、(それぞれの専門的な特定の種類の情報の伝達/処理に機能特化した「ニューロン」群の樹状突起および軸索部分が、当該ニューロンの専門分野である特定の種類の情報の伝達/処理に拘わる機会が極端に少なくなった環境の下では、委縮を起こしてきて縮小するために機能を劣化させていくという現象が起きてきているのかもしれない)と考えるのです。だからこそ、「中ボケ」までの段階であれば、関連する専門の分野の情報を伝達/処理する機会が与えられる環境が再現され継続されると、縮小していた樹状突起および軸索が復活してくることで機能を回復してくるのではないかと考えるのです(ニューロンの「可塑性」)。このあたりをiPS細胞を使って検証してみることを工夫すれば、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムに迫れるかもしれないと考えるのです。このことを高齢者の脚の筋肉の部分でとりあえずやってみてはと考えるのです。その過程で、アミロイドベータもタウタンパク質も発病との因果関係がないことが証明されることになるはずと考えるのです。

注)本著作物(このブログA-64に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

   脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

 

 

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