認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の脳の衰え方の特徴(A-38)

2012-05-10 | アルツハイマー型認知症の早期診断

いろんな種類がある認知症のうちの大多数90%以上を占めているのが「アルツハイマー型認知症」(老年性アルツハイマー病)です。米国精神医学会の定義であるDSM-4に影響されて「重度の記憶障害」を診断の第一の要件と考えている認知症の専門家たち(研究者や医師)から原因不明で治らないと言われている「アルツハイマー型認知症」は、「加齢」による脳の老化(第一の要因)とナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続(第二の要因)という二つの要因が重なり合うことにより、その相乗効果として脳の機能が廃用性の機能低下により加速度的に衰えていくことが原因で発病する「生活習慣病」なのです。(ここをクリックしてください)。

(コーヒー・ブレイク) DSM-4の定義を基準にアルツハイマー型認知症を診断していると、回復困難な重度認知症(「大ボケ」)の段階しか見つけることが出来ないのです。DSM-4の定義自体に重大な欠陥があるからです。アルツハイマー型認知症も早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけることが出来れば、脳の使い方としての「生活習慣」の改善により治せる(脳の機能が回復する)のだから、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働き方の特徴に着目して「定義の見直し」を検討すべきだと思うのです。前頭葉は脳全体の司令塔の役割を担っているので、最高次機能の前頭葉の働きが異常なレベルに衰えてくると、高次機能の左脳や右脳は未だ正常なレベルにあっても、前頭葉と高次機能との協働により発現しているアウトプットそのものが異常なレベルのものになるのです。認知それ自体(状況の判断、テーマの企画、内容の計画、発想、好奇心、工夫、洞察、推理、機転、選択、その他)が正常なレベルで働くことが出来ないことによる直接の影響が、アウトプットとしての思索や行為や行動に反映されることになるのです。脳の働き具合とリンクさせた症状のデータを分析していくと、そうした脳の働き具合のアウトプットとしての支障が「社会生活」面で出てくることが分かるのです。高次機能(左脳及び右脳)が正常レベルであっても、最高次機能の前頭葉が異常なレベルにあるこの段階で、既に「アルツハイマー型認知症」を発病している(軽度認知症「小ボケ」)と考えるべきだというのが私達の主張です。(ここをクリックしてください)。

       

私達が集積してきたデータの解析によると、「アルツハイマー型認知症」の場合には、廃用性の機能低下により脳の機能が衰えていくとき、その「衰え方」に4つの特徴があることが分かるのです。

○最高次機能の「前頭葉」が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて異常レベルに衰えていく結果、 最初に、「社会生活」に支障を起こす症状が出てくる度認知症「小ボケ」:この間、左脳と右脳と運動の脳は正常レベルのまま);

○ 前頭葉が廃用性の加速度的な機能低下を継続する中で、同時に「左脳」と「右脳」が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて異常レベルに衰えていく結果、次いで、「家庭生活」にも支障を起こす症状が出てくるようになる中等度認知症「中ボケ」);及び

○前頭葉並びに左脳及び右脳が廃用性の加速度的な機能低下が同時並行し更に進行していく結果、 最後は、「セルフケア」にも支障を起こす症状が出てくるようになる(重度認知症「大ボケ」)。

○ 並びに、MMSで測定される「下位項目」には衰えていく順番に「規則性」が認められる(「下位項目」が出来なくなっていく順番の「規則性」とそのパターン)。

「神経心理機能」テストによる上記「4つの特徴」を客観的な指標として活用することにより、「アルツハイマー型認知症」の診断(判定)に際しては、他の種類の認知症との鑑別並びに認知症と紛らわしい病気との鑑別が容易になるのです。

(1)  以下のグラフは、「かなひろい」テスト(前頭葉の機能テスト)とMMS(左脳と右脳の機能テスト)を同時に施行した、約15,000人の成績分布を示しています。

 

 

このグラフでは、右に行くほど「かなひろい」テストの成績が良くなり、上に行くほどMMSの成績が良くなることを示しています。

グラフの分布から、「かなひろい」テストの成績良好群(「前頭葉」の機能が正常レベル)には、MMSの成績が悪い(不合格)ケースはないことが分かります。「かなひろい」テストが合格する人達は、MMSの成績も合格するのです。

一方、「かなひろい」テストの成績が悪くなっていくと(合否の基準点を下回るようになると)、MMSの成績には満点から0点まで大きな幅が見られます。このグラフから直接には見え難いのですが、MMSが30点満点でも、「かなひろい」テストが0点のケースが相当数みられるのです。

このことはとても重要なことなのです。なぜなら、通常使われているMMSのような知能検査では、「前頭葉」の機能の衰えは発見できないことを意味しているからです。

「前頭葉」の機能テストを実施しないと、脳機能の老化が加速されて社会生活に支障が出てきている認知症の最初の段階(回復容易な「小ボケ」の段階)をキャッチすることができないのです。

 注)本著作物(このブログA-38に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

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