何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

前山寺-(2) (上田)

2018年09月21日 | 寺社巡り-長野

【長野・上田市】前山寺は独鈷山の麓にあって塩田城の鬼門に位置するので、塩田北条氏の祈祷寺となり、武将の信頼も厚かった。
江戸時代の貞享年間(1684~1688)、天台宗寺院・鶏足寺を離末し、京都の真言宗智山派の総本山智積院末となり新義真言宗信州常法談林所として仏教を学ぶ殿堂だった。 隆盛時は四十数ヶ寺の末寺をもち、歴史ある古刹として知られる。

三重塔境内から石段を下り、古色蒼然たる佇まいの本堂へ....。
小棟造りで分厚い茅葺の本堂は優雅で、古刹を感じさせる雰囲気が漂う。 また、箱棟を乗せた重量感のある唐破風の向拝と、向拝軒下に施されている彫刻群は精緻で見ごたえがある。 彫刻を鑑賞していて、茅の厚い軒に「本」の字が刻まれているのに気づいた....多分、火災などの災難除けで、「水」という字だろうと思う。
参拝者を見守るように、本堂前右手に第35世住持で栄知大僧正坐像が鎮座、その奥に本堂に連なって客殿と庫裡とが建つ。 庫裡前には観賞式の池泉庭園があり、石組護岸の池、そして少し奥まったところに一筋の水が落ちる滝があって趣がある。
山門傍の四阿で野菜を売っていたおばあさんから、上田市特産品の「うえだみどり大根」を買い求めた後、「未完成の完成の塔」といわれる三重塔を何度も振り返りながら山門を出た。

三重塔境内から眺めた小棟造りの本堂

宝篋印塔と銀杏の老木越しに眺めた茅葺の本堂....銀杏は幹回り2.74m(市指定保存樹木)

寄棟造茅葺の本堂....白壁で周囲に切目縁を巡らし、中央間に桟唐戸(内側に腰高明障子)で両脇間は全面ガラス入りの腰高格子窓

瓦葺の箱棟を乗せた茅葺大唐破風の向拝....真言宗智山派の宗紋である「桔梗」の文様が入った紫地の幕が下がる

唐破風向拝の兎の毛通しは蕪懸魚、妻飾は虹梁大瓶束....水引虹梁上や木鼻には精緻な彫刻が施されている
 
向拝の屋根は分厚い茅葺の唐破風/向拝の軒の茅に刻まれた「本」の文字....多分、災難除けで「水」を表していると思う

第35世住持・栄知和尚の像越しに眺めた本堂
 
第35世前山寺住持・大僧正栄知和尚尊像     本堂前に立つ昭和三十八年(1963)造立の石燈籠

大僧正栄知和尚尊像の後方に建つ入母屋造桟瓦葺の客殿の玄関と奥に庫裡

切妻造桟瓦葺の庫裡前の観賞式の池泉庭園
 
石組護岸の池の奥まったところに一筋の水が落ちる滝(?)がある/庭園脇にある手水鉢

入母屋造桟瓦葺の鐘楼....大棟端に鳥衾付鬼板、拝みに蕪懸魚、妻飾は狐格子

組物は柱上の台輪に平三つ斗、柱間に詰組、若葉文様が刻まれた飛貫の中央に透かし蟇股(本蟇股)
 
鐘楼に吊り下がる梵鐘                  鐘楼の左手にある弘法大師空海像
 
寄棟造銅板葺の覆屋に赤い帽子を被って鎮座する子育地蔵尊像

本堂境内から見上げた三重塔境内....石段下に梵字が刻まれた石碑が立つ
 
大日如来の真言の一つの「報身(胎蔵界大日)真言」が刻まれた石碑/宝珠光を背負った聖観音立像....宝冠に阿弥陀如来の化仏をいただく

本堂境内の右奥から眺めた本堂と三重塔
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