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【長野・上田市】草創は平安初期の貞観年中(859~876)に遡ると推定されている。 平安時代承平五年(935)、清和天皇(第56代)の第五子慈野貞元を開基として「開善寺」が建立されたとされる。 開善寺は、真田氏の祖先され古くから皇室と縁の深かった滋野氏や滋野氏の後裔とされる海野氏から庇護をうけて隆盛し、海野氏の祈願寺として六百余年にわたって栄えてきた。
戦国時代の天文十年(1541)、甲斐の武田信虎が信州佐久郡に攻め込んのを機に、長年海野氏と勢力を争ってきた葛尾城主村上義清と諏訪領主の諏訪頼重が武田軍と策応して海野氏を攻め、大合戦場となった海野平で敗れ、海野城とともに開善寺も焼失したとみられる。 その後、海野氏の支族である真田一徳斎が武田信玄に帰属し、海野氏の遺族も武田氏に仕えたため旧所領が与えられ、その時に開善寺が復興され、天文年間(1532~1555)に再建された。 開善寺は天正十一年(1583)、真田昌幸が上田城を築城するにあたって城の鬼門除けのため大手東北の現在地に移され、「海善寺」と改称され、上田城下町鎮護の寺となった。
江戸時代の元和八年(1622)、松代への移封を命じられた真田家は、海善寺も松代城外西条に移すことにしたが、真田信之公が真田氏由緒の上田城の護りには一寺が必要として寺号を「海禅寺」に改めて残した。宗旨は真言宗(智山派)で、本尊は大日如来像。
◆陽が沈みかけた時間帯に訪問した。 道路に面して石造りの冠木門と瑞垣とが繋がって立つ。 緩やかな階段状になった切石敷の参道を進むと、参道脇に鎮座する修行姿の空海像と文字道祖神に迎えられる。
木立の中に続く参道の奥の石段の上に、明かりを灯した山門が建つ。 門前の左右には2基の石燈籠と赤い帽子を被り赤い前垂れをした六地蔵尊石像が鎮座。 山門をくぐると直ぐ左脇に柱6本で屋根を支えた水屋があるが、手水は境内に湧き出る清水を用いているそうだ。 正面に本堂、本堂左隣に不動堂、少し離れて聖天堂、右隣に庫裡が建ち並ぶ。 大寺ではないが真田昌幸築城の上田城の鬼門除けの寺らしく堂々たる構えだ。
本堂の大棟に海野氏の洲浜と真田家の六文銭の家紋を配し、向拝唐破風の鬼板そして天水桶に六文銭を配している。 不動堂と起り屋根の聖天堂の大棟の鬼瓦にも六文銭を配している。 境内の南西の一角に雪見燈籠が佇む坪庭があるが、石組を巧みに配した趣のある石庭で印象的だ。
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△道路に面した瑞垣の間に立つ石造り冠木門....境内に「海禅寺」の寺号標石が立ち、切石敷の参道が続く
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△境内参道脇に鎮座する弘法大師空海の「修行大師尊像」と注連縄が張られた自然石型文字道祖神
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△木立の中の緩やかな階段の参道から眺めた山門と白壁の築地塀/門前に石燈籠が立ち六地蔵尊像が鎮座
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△門前の左右の基壇上に立つ明治十三年(1880)造立の石燈籠と鎮座する赤い帽子を被り前垂れをした六地蔵尊像/一段高くなった所に堂宇境内がある....山門の大棟に真田家の紋「六文銭」が配されている
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△.切妻造本瓦風銅板葺の山門、両側に白壁で屋根下に垂木を設けた銅板葺屋根の袖塀、そして築地塀が延びる
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△軒廻りは二軒繁垂木....右の袖塀に設けられた潜り戸に八双金具を打ち付けた板扉
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△山門から眺めた境内
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△切妻造銅板葺の水屋(手水舎)....6本の角柱で照り屋根を支える、清水は境内の井戸からポンプで水を汲み上げている/笠と火袋と中台相に装飾彫刻が施された石燈籠越しに眺めた水屋
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△寄棟造銅板葺の本堂....大棟に海野氏と真田家の家紋「州浜と六文銭」を配している
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△向拝の唐破風に鳥衾を乗せた六文銭を配した鬼板、兎毛通は猪目懸魚
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△唐破風屋根の軒端から下がる鎖樋と、下に六文銭を配した蓮型の天水桶/本堂前に佇む2基の石柱....右は天保六年(1835)造立の「弘法大師 一千年御遠忌塔]、左は八重桜を謳った歌碑か
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△本堂の左隣に不動明王像を安置した不動堂が建つ
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△入母屋造桟瓦葺で妻入の不動堂....周囲に擬宝珠高欄付き切目縁、左縁奥に脇障子....大棟端に六文銭を入れた獅子口、拝は猪目懸魚、妻飾は白壁の素式
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△軒廻りは二軒疎垂木、組物は舟肘木....中央間に腰高格子戸、脇間は小壁羽目で連子入りの欄間を設けている
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△寄棟造銅板葺で妻入の聖天堂....平成二十一年(2009)改修落慶、聖天像と十一面観音像を安置
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△起り屋根の聖天堂の正面中央間は腰高格子戸、脇間は小壁羽目....他は白壁の小壁と小壁羽目で窓がない
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△庭園から眺めた聖天堂と不動堂
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△堂宇境内の南西に造営された庭園は坪庭(石庭か?)
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△庭園内に佇む大きな雪見燈籠/笠・火袋・中台相に装飾彫刻が施された太い竿の石燈籠
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△本堂の右隣に建つ切妻造銅板葺の庫裡
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△本堂と庫裡の間に唐破風の玄関がある/大棟は屋根を乗せた箱棟
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△堂宇境内から山門を通して眺めた切石敷の参道