【兵庫・加西市】境内に鎮座する北条石仏「五百羅漢」と呼ばれる約500体の石仏は、江戸時代初期の慶長年間(1596~1615)の造立とされる。 もともとは酒見寺境内にあって、酒見寺再興に伴う山内整備や信仰・供養のために造立されたと考えられている。
角柱状の石材から彫られた石仏はほとんどが羅漢像で、他に釈迦三尊像や大日・阿弥陀如来像、天女型坐像など459体で構成されている。
■石仏境内に整然と立ち並ぶ羅漢像....ほりの深い顔は西洋人風であり、一般的な仏像とはまるで違っていてしみじみとした味わいがある。 特に、陰になっている黒い目の部分と鼻筋の通ったお顔が実に印象的だ。 素朴な姿の羅漢像はそれぞれ違う表情をしていて、どの像も何かを語りかけようとしているようだ。
境内西側には、西方極楽浄土へ誘うように来迎二十五菩薩石像が向き合って鎮座し、一番奥に教主である阿弥陀如来立像が鎮座している。
△五尊仏の東側石仏境内に西面で鎮座する羅漢像群,,,,奥の建物は本堂
△五尊仏の西側石仏境内に南面で鎮座する羅漢像群
△西側石仏境内に南面で鎮座する羅漢像群
△西側石仏境内に南面で鎮座する羅漢像群
△東側石仏境内に南面で鎮座する羅漢像群....手に持つ未開蓮や宝剣が線刻されている
△東側石仏境内に南面で鎮座する羅漢像群
△石仏境内の西側の塀際に鎮座する来迎二十五菩薩石像と阿弥陀如来立像....滋賀県大津市の西教寺についで2番目に古い菩薩像
△二十五観音は阿弥陀如来来迎のときに従い、死者を西方の極楽浄土に導く
△一番奥に鎮座する舟光背型阿弥陀如石仏/上品下生(来迎印)の印相を結んでいる....後頭部から放たれた後光が線刻されている
■石仏境内の南側の木立の中に苔生した前庭があり、五輪塔、宝篋印塔、石仏など様々な石造物が佇んでいる。 前庭のほぼ真ん中に、約400年前の江戸初期に造立された宝篋印塔が虎のような霊獣に護られて鎮座しているが、造立年が分かる宝篋印塔は珍しい。
本堂以外の堂宇として、本尊青面金剛龍王を祀る庚申堂と大聖歓喜天を祀る聖天堂が木々に囲まれて建つ。 大聖歓喜天像の像容に興味があって、ここで拝めるものと期待して拝観したが、外陣の小さな厨子の中に安置されているらしく....残念。 パンフレットに北条の五百羅漢には「必ず親や子に似た顔があるといわれている」とあるので、石仏境内に戻り、すでに他界した両親に似た顔の羅漢様を探してみた….が、やはり西洋人風のお顔なので無理だった。
△石仏境内の木陰の前庭に鎮座する石造物群
△前庭東側に鎮座する壊れた石仏、宝篋印塔、五輪塔など
△前庭の真ん中に鎮座する四基の五輪塔、阿弥陀如来とおぼしき厚肉彫りの坐像石仏、そして「五百阿羅漢」と彫られた石柱
△前庭の真ん中に鎮座する宝篋印塔....江戸初期の慶長十七年(1614)造立で、狛犬のようなトラ似の霊獣に守られている
△前庭西側に鎮座する不動明王像
△前庭西側に鎮座する五輪塔と石仏....五輪塔は八角体の地輪の各面に仏像が彫られていて珍しい/舟光背型石仏は宝冠に阿弥陀如来の化仏をいただき、未開蓮を持つ聖観音菩薩像
△寄棟造桟瓦葺の庚申堂....本尊青面金剛龍王を祀る
△寄棟造桟瓦葺の庚申堂....本尊青面金剛龍王を祀る
△本尊青面金剛龍王像の前に鎮座する「ふれ愛観音菩薩像」
△内陣の格子(厨子)内に鎮座する本尊の青面金剛龍王像....他に童子、3夜叉、三猿、鶏が祀られている
△三間四方で軒周りは一軒重垂木、組物は柱上に出三斗....周囲に切目縁
△境内の参道脇に鎮座する地蔵像とみられる2基の一石二像石仏
△入母屋造桟瓦葺の聖天堂....向拝柱に「大聖歓喜天」の聯が掛かる
△聖天堂に観音菩薩像と歓喜天(聖天)が祀られている....歓喜天像は小さな厨子内に安置とみられるが、像容は象頭人身で男女二天が抱擁する姿
△聖天堂は入母屋造産瓦葺きの主屋の妻側に入母屋造り桟瓦葺の向拝を設けている....軒周りは一軒疎垂木で組物なし
△木立の中に建つ切妻造桟瓦葺の覆屋と古井戸
△古井戸に下がる釣瓶 水鉢