
【川崎・麻生区】細山第二土地区画整理事業に伴い墓地を香林寺に移葬した供養のため、昭和五十三年(1978)、鐘楼が建立された。 昭和六十二年(1987)に日本で唯一の禅宗様式の五重塔が建立され、インドで造立された釈迦初転法輪像(石像・復刻)が安置され、外陣には脱活乾漆造りの四天王像が納められている。
◆本堂の南側から境内北側の五重塔が建つ墓所への参道を進む。 参道片側のブロック垣の上に鎮座する石仏群が、墓参者や堂宇拝観者を迎えている。 参道奥に鐘楼と五重塔が見え、石仏がなくなった鐘楼の近くに左折の矢印が彫られた「かんのん道」の標石が建つ。 入母屋造りの鐘楼の大棟端に据えられた鳥衾を乗せた鬼瓦は、まるで般若の顔のようで面白い。

△本堂に向かって左側に、境内西側に建つ五重塔境内への参道がある

△本堂後方から眺めた鐘楼と五重塔

△五重塔が建つ墓所への参道脇に多くの丸彫り石仏が整然と並んで鎮座している

△参道の石仏を背にして建つ鐘楼


△本堂後方の境内参道脇に建つ「かんのん道」標石/「かんのん道」と彫られた標石

△入母屋造本瓦葺の鐘楼は昭和五十三年(1979)の建立

△軒廻りは二軒繁垂木で、頭貫台輪上の組物は出組、飛貫上に蟇股....いずれにも禅宗様木鼻を施す

△やや細長い(気がする)梵鐘....鋳造年は不詳


△五重塔境内から眺めた鐘楼の入母屋破風部....拝は蕪懸魚/大棟端に施された鳥衾を乗せた般若顔の鬼瓦
◆鐘楼から五重塔に向かう参道の片側に、墓所に眠る人たちを見守るように三十三体の観音菩薩石仏が整然と並んでいる。 境内の最も高いところに、高さ約30メートルの堂々たる風格の五重塔が建つ。 昭和後期に建てられた日本で唯一の禅宗様式で、囲んでいる柵の外からの拝観だが、基壇、桟唐戸、花頭窓、礎盤、円柱の粽、勾欄の逆蓮柱など禅宗様の特徴がよくわかる。 ただ、外観上は壮麗な純木造建築だが、躯体は鉄骨鉄筋コンクリート造りとのこと。 従来の建築様式と異なり、基礎部に深く打ち込んだコンクリート支柱で塔を支えているとのことだ。 そういえば、五重塔近くに東司が建つが、意外に目立つところにあり、一見すると御堂のような雰囲気が....。

△「かんのん道」の脇に整然と鎮座する観音石仏群、墓所奥の最も高い位置に聳え建つ五重塔

△昭和六十二年(1987)建立の五重塔....日本で唯一の禅宗様式で、木造だが躯体はSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造り


△自然石乱積の基壇の上に聳え建つ五重塔は塔高30.3m(100尺)/軒廻りは二軒繁垂木で、組物は各層いずれも二手目と三手目が尾垂木の三手先

△中央間は菱格子を入れた桟唐戸、脇間は花頭窓、柱上部に粽、長押無しの禅宗様式

△二層目以上には親柱頂部に逆蓮を乗せた高欄付切目縁があり、最上部の架木は蕨手

△四方を金属製(か?)柵で囲まれた五重塔と正面に建つ門と常香炉

△医薬門形式の門で、両側に唐破風を設けた平唐門....扉は菱格子を配した桟唐戸

△門と塔の間に2基の金属製(金銅製?)八角燈籠が建つ

△北側奥の築地塀越しに眺めた五重塔と平唐門

△露盤宝珠を乗せた聖徳太子殿....昭和六十一年(1986)の建立....聖徳太子ゆかりの古刹「六角堂」を模した建物か?

△正面は板戸で左右に連子窓がある

△軒廻りは二軒繁垂木、組み物は平三ツ斗で中備なし

△五重塔近くに建つ寄棟造桟瓦葺の東司