
【神奈川・横須賀市】大明寺第11世の日遵が室町中期の武将・太田道灌の子という縁から、大明寺は相模国守護の扇谷上杉家を筆頭重臣として補佐した太田氏との関係が深かく、近世に入っても太田道灌の一族との関係が続いていた。 なお、大妙寺が江戸幕府から16石を与えられた際に、朱印状に大明寺と書き誤られて大明寺になったと伝える。
◆本堂に向かって左隣に高床の渡廊下で本堂と繋がった釈迦堂が建つが、屋根に大きな千鳥破風を乗せ小さな軒唐破風を設けた趣のある御堂だ。 大きな千鳥破風の二重虹梁風の妻飾を見ると、本堂と同じように大虹梁に鎮座する力神が上の虹梁を支えている。 しかし、本堂の力神と違って、右手で梁を支え、左手にはヘビが巻きついた太い杖か剣を持っているようみえる。
向拝前の左右に三つ葉葵紋を配した天水桶があり、軒先から鎖樋が下がる。 「常在殿」の額が掛かる中央間の桟唐戸の上部に大きな牡丹の花があしらわれているが、戸板にも彫刻の跡があるように見える....が、確認を失念。 少し開いた腰高明障子から堂内を覗くと、内陣に二重円光を背負う釈迦如来立像が鎮座している。 向拝の各部に様々な彫刻が施されているが、中でも唐破風の兎毛通に配された笛を吹く飛天像がいい。

△本堂に向かって左側(北側)の建つ釈迦堂

△本堂と釈迦堂を繋ぐ高床の渡廊下

△屋根に大きな千鳥破風を乗せた釈迦堂....本尊・釈迦如来像を祀る

△入母屋造銅板葺の釈迦堂(常在殿)....昭和六年(1931)の再建

△向拝の唐破風と千鳥破風に法輪を配した鳥衾付き鬼板を乗せている

△千鳥破風の拝は蕪懸魚、千鳥破風の妻飾は二重虹梁風で、大虹梁に鎮座して上の梁を支える力神....左手にヘビが巻きついた杖を持っているようみえる

△向拝の軒先から鎖樋が下がり、三つ葉葵紋を配した天水桶が置かれている....御堂の前と左右に擬宝珠高欄付切目縁

△水引虹梁の上に龍の彫刻、その両側に組物を置き、2本の梁の上に斗を連ねて向拝桁を支えている

△中央間に掛けられた「常在殿」の額、桟唐戸に大きな一輪のボタンのような彫刻を施している....戸板にも?...少し開いた明障子の間から、内陣に鎮座する釈迦如来立像が見える

△釈迦堂の内陣に鎮座する二重円光を背負う釈迦如来立像

△唐破風の兎毛通は笛を吹く飛天,妻面に2羽の鶴、太陽模様がある水引虹梁の上に霊獣の彫刻

△持送と水引虹梁に一体化した松の彫刻を配す

△向拝柱の木鼻は獅子と龍の彫刻

△向拝の水虹梁の上の組物から垂木に沿って配された4つの動植物彫刻の手挟

△身舎と水引虹梁を繋ぐ虹虹梁と持送に施された彫刻群

△軒廻りは二軒繁垂木、組物は出組....正面五間で中央間は桟唐戸、脇間は舞良戸
◆釈迦堂に向かって左手に寺務所とみられる建物があり、釈迦堂との間に手水舎や数体の石仏がいずれも本堂を向いて鎮座している。 手水舎には大きな八角形の手水鉢が置かれ、中央に合掌する浄行菩薩が鎮座し、身を清める参詣者を見守っている。 水口は清水の中から這い出てきたような姿の龍で、3本爪だ。

△釈迦堂に向かって左手に大客殿兼寺務所の建物が建つ....堂宇境内側に手水舎や数体の石仏が鎮座

△近代的な造りの大客殿(大明寺斎場)....釈迦堂側に手水舎が建つ

△宝形造銅板葺の手水舎....浄行菩薩が鎮座する八角形の手水鉢が置かれている


△手水鉢の真ん中に鎮座する合掌する浄行菩薩/這い上がってきたような姿の3本爪の龍の水口


△手水舎の右側に蓮華座に鎮座する2体の仏像....左の頂部が平らな宝髻は観音菩薩か?/化仏を配した宝冠を被った観音菩薩....左手に未開蓮を持ち、右手は与願印(普通は左手だが)
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