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何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

妙法寺-(2) (鎌倉)

2025年03月26日 | 寺社巡り-神奈川

【神奈川・鎌倉市】日叡上人の父・護良親王は後醍醐天皇(第96代)の第1皇子で、6歳頃に仏門に入って天台座主となったが、後醍醐天皇が企てた鎌倉幕府倒幕のため還俗して護良と改め参戦した。 建武新政府では征夷大将軍となったが、足利尊氏と反目、鎌倉に幽閉、中先代の乱で殺害されるなど28歳で波乱万丈の人生の幕をおろし、日叡上人によって妙法寺に弔われた。 仁王門から釈迦堂跡に続く石段が苔に覆われているので、「苔の寺」と呼ばれる。

◆境内参道を仁王門に向かって少し進むと、右手に日蓮宗を信仰した武将加藤清正像を祀る簡素な造りの大覚殿がある。 清正像は熊本城天守閣に祀られていたそうだ。 参道先の苔生した石段の上に鮮やかな朱塗りの仁王門が建つが、大きな箱棟を乗せていて珍しい。 箱棟の側面に、真ん中に「井桁に橘」の紋とその左右に卍紋を配している。 仁王門は八脚門で、左右の金剛柵の中にいずれも経巻を持つ仁王像が鎮座し、睨みを利かして仏敵の侵入を防いでいる。

△惣門近くの参道から眺めた大覚殿(右)奥の石段の上の仁王門

△入母屋造桟瓦葺の大覚殿....釈尊を中心に左右に細川家寄進の日蓮宗を信仰した武将・加藤清正像(熊本城天守閣に祀られていた)と妙法稲荷大明神を祀る

△大覚殿は三間四方で、軒廻りは一軒繁垂木、組物・中備無し....周囲に切目縁を巡らす

△正面は中央間に両折両開の桟唐戸、両脇間に花頭窓....側面の白壁にも花頭窓がある

△仁王門側参道から眺めや大覚殿(左)と総門

△大覚殿前の参道から眺めた石段の上に建つ仁王門(平成十九年(2007)頃、茅葺から銅板葺に)

△箱棟を乗せた寄棟造銅板葺で朱塗りの仁王門....箱棟の中央に「井桁に橘」紋、その左右に卍紋を配す

△軒廻りは二軒繁垂木、組物は出三ツ斗で中備は中央に本蟇股で左右に撥束

△仁王門左右の金剛柵の中に睨みを利かした仁王像が鎮座

△左手に経巻を持って仏敵の侵入を防いでいる阿形・吽形の仁王像

△拝は蕪懸魚で、妻飾は笈形付きの虹梁大瓶束式

△仁王門の脇に建つ舞扇を供養する扇塚、薩摩屋敷事件戦没者の墓碑そして名越家供養塔/薩摩屋敷事件戦没者とは幕末の慶応三年(1867)に起きた三田の薩摩藩邸焼討事件の戦没者

◆仁王像に見守られながら戸口に置かれた柵の前から有名な「苔の石段」を眺める。 まるで額に収まった絵のようだ。 扇塚・供養塔・墓碑がひっそりと佇む仁王門の左脇から「苔の石段」に。 石段を見上げると木立の中に緑一色の美しい景色が広がり、途中に立つ苔生した石燈籠と苔に覆われた石段はしみじみとした味わいがある。 右上に露盤宝珠を乗せた法華堂の屋根が見える。 石燈籠が立つ平地まで石段を上り、左手の少し奥にある岩崖に掘られた化生窟に....経巻を持つ日蓮聖人坐像石仏が鎮座している。 合掌。 石燈籠から釈迦堂跡への石段は苔保護のため通行止めなので、脇の狭い石段を上って法華堂に。 法華堂は江戸時代後期に水戸徳川家から寄進されたもので、古色蒼然たる佇まいの御堂は、向拝の精緻な彫刻群や組物は見ごたえがある。 特に水引虹梁に配された龍像の顔が正面を向いていて珍しい。

△仁王門の戸口を通して眺めた苔の石段

△仁王門から釈迦堂跡に続く苔の石段....途中の左右に石燈籠、そして右上に法華堂が建つ

△苔の石段の途中の平地に建つ石灯籠は文政十年(1827)の造立

△通行止になっている苔の石段の前の平地に建つ句碑....石燈籠の左奥に化生窟がある

△岩崖に掘られたやぐらのような化生窟

△化粧窟内に鎮座する石造り日蓮聖人坐像....聖人像の周りに石仏や狐像などがある

△法華堂境内から見下ろした狭い石段と仁王門

△露盤宝珠を乗せた宝形造銅板葺の法華堂....水戸徳川家の寄進で、江戸後期の文化年間(1804~1818)の建立

△三間四方の法華堂には本尊は日叡作(中興開山)の厄除祖師を安置

△向拝軒下に配された彫刻群....水引虹梁上に龍像、木鼻は獅子・獏(と思う)、水引虹梁の持送は牡丹....向拝柱は面取り角柱

△水引虹梁上の龍の彫刻は3本爪で、真正面を向いているのは珍しい

△正面の桟唐戸の上に「法華堂」の扁額....額の周りに登り龍と下り龍の彫刻が施されている

△正面三間は中央間に両折両開き桟唐戸、両脇間は横格子戸の引き違い戸....周囲の長押の上の小壁は縦羽目板

△軒廻りは一軒繁垂木、組物は二手目と三手目が尾垂木の三手先で中備は鳥などの彫刻を配した蟇股(と思う)

△手挟がなく、向拝屋根を支えるため向拝柱頂部から内側に腕を延ばし、その上に方斗を置いている

△側面三間はいずれも引き違いの横格子戸....周囲に擬宝珠高欄付き切目縁を巡らす










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