第30期棋聖戦七番勝負第4局は2月22日、23日に熊本市で行なわれ、先番の山下敬吾九段(27)が羽根直樹棋聖(29)に白番で2目半勝ちし、4連勝で棋聖位を奪還した。
2人は第28期棋聖戦七番勝負でも激突、この時は羽根が4勝3敗で山下から棋聖位を奪取。山下は持ち前の勝負強さでリベンジを果たした。
その勝負強さから「逆転力の山下」とも呼ばれる。今シリーズも後半の踏ん張りが棋聖奪還を呼び込んだ。再び囲碁界の頂点に立ち、「次は世界戦で結果を出したい」と誓った。
<山下新棋聖の話> 第1局と第3局は負けの碁だった。4連勝は信じられない。悪いときでも我慢し、息長く打てたのがよかったと思う。
<羽根九段の話> 4局で終わったのは残念。不本意な結果だが、これが実力だからしようがない。勉強し直し、再び棋聖戦七番勝負の舞台に帰ってきたい。
(読売新聞より抜粋)
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山下新棋聖、4連勝でのタイトル奪還おめでとうございます。
今までの山下新棋聖のイメージは「一気呵成に相手を攻め立てる」という印象でしたが、今回は粘り強さで勝利を呼び込んだシリーズの感がします。
「腕力と持久力」が揃えば天下無敵、これから日本、いや世界の囲碁界を牽引してほしいものです。
一方の羽根前棋聖、残念でした。中部の羽根ファンもさぞ無念に思っていることと察せられます。
今回のシリーズでは迷いがあったのでしょうか。従来の落ち着いた棋風から新境地への転換期かもしれません。無冠になったとはいえ四天王。今後の巻き返しが期待されます。
今回の棋聖戦、第4局で終了するのが惜しいですね。もう少しこの熱戦を見せてほしかったと思いますが・・・
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今回の対局地は熊本市。熊本といえば熊本城ですが来年(2007年)は「築城400年祭」が行なわれるそうです。
熊本城を築いたのは「加藤清正」。豊臣家を支えた武将として有名ですが、地元・熊本でも清正の善政の功績は、今なお市民に慕われているそうです。
清正の死後20年ほどして豊臣譜代の名門も改易。その後は細川家が明治維新まで熊本を治めていくことになります。
明治10年の西南戦争では熊本城の天守閣等が焼失(原因不明)。薩軍(さつぐん)の攻撃に対し、熊本鎮台司令長官谷干城(たにたてき)は籠城を決意し、52日間に及ぶ籠城戦を守り抜き、熊本城は不落の名城を名実ともに実証したそうです。
西郷隆盛は終焉の地城山で「わしは官軍に負けたのではない清正公に負けたのだ」と独白したと、まことしやかに今も伝えられているとのこと。
もう30年近く前に熊本城に行ったことがあります。今、訪ねたら自身の歴史の見方も変わっており、その頃とは違った感慨を覚えるでしょうね。