西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

雨-その3

2007-06-27 09:05:11 | 音楽一般
曲名辞典で、索引を見ていたら、「黄金の雨」というのがあった。知らない曲である。作曲者は誰かと思って、本文を見ると、ワルトトイフェルとある。ワルトトイフェルは、有名な「スケートをする人々(スケーターズ・ワルツ)」の作曲家である。私は1枚だけ、彼の作品だけからなるLPを所持している。そこには「スペイン」「女学生」「美しい唇」「真夜中」それに先ほどの「スケートをする人々」などが入っている。だが、「黄金の雨」はなかったように思う。演奏は、モンテ・カルロ交響楽団だったと思う。(今手元にないので)曲も良いが、演奏も申し分なく良く、またジャケットも良かったように思う。以前も書いたが、LPは、ジャケットにそれなりの工夫が凝らされたものも多く、その印象も聞くことに影響を与えるようだ。確かに、LPは音も自然でいいです。私の音楽財産の7割はLPですが、これはいつまでも取っておきたいように思います。
ワルトトイフェルの名を見た時、私はいつも思うことがあります。この姓は明らかに、ドイツ系のものです。「ワルト」は「森」、そして「トイフェル」は「悪魔」です。普通「悪魔」などという言葉は人名にありえないだろうと思うのですが。(つなげると、「森の精」になるようです。)今辞典で初めて知りましたが、彼はアルザス人とあります。「パリに出て舞踏音楽の作曲家として成功。ナポレオン3世のユジェニー皇后付の音楽家。」とも。しかし上にあげた曲はいずれも、1870年以降の作曲のようです。ということは、ナポレオン3世が9月2日のセダンでの降伏で没落、翌年のパリ・コミューンの混乱のさなかに「アルザス・ロレーヌ」はドイツに割譲された後の作曲ということになります。結局「ユジェニー皇后付の音楽家」である元「アルザス人」のフランスの作曲家は、アルザスがプロイセン領になってから後世に残る傑作のワルツを書いたということになるのでしょうか。