西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

コレクション シューベルト ピアノ曲

2012-07-17 08:01:50 | 音楽一般
シューベルトの作品はほぼ年代順に並べて、編纂者の頭文字を取りD番号を付けて呼ばれる.D965までが作曲年のわかるもので、それ以降D998までは作曲年の不明のものとなっている.最近は、D936AとかD708AなどとAが付くのが出てきて、これらはD936、D708とは全く関係ない、研究の新しい成果ということだろうが、詳しい説明を読んでいない.ともあれ、シューベルトは約1000曲作曲したと言っていいだろう。そしてそのうち、およそ600曲がリートなので、「歌曲の王」などと呼ばれたりするのであるが、交響曲、室内楽曲にも数多くの名品があるのはこれまで述べたとおりである。そしてここで彼のピアノ曲にも目を向けないといけない。連弾の軍隊行進曲が有名であるが、ピアノ・ソナタも21曲を数える.だが、シューベルトには常に付き纏う「未完成」がここにも数多くある.8曲あり、断片しか残されていないものさえある.

リヒテルは割と早い頃から、シューベルトのピアノ曲を演奏し世に広めてくれた一人だろう。そしてそのいずれもが名演である。

1.ピアノ・ソナタ第19番(LP)

2.ピアノ・ソナタ第21番(LP)

それ以前にも、ここに挙げたいレコードはいくつもあるが、それらの最後に録音したこの2枚はとてつもない名演である.私はこれにより、シューベルトのピアノ曲の素晴らしさを知りました。

しかし網羅的にシューベルトのピアノ曲をとり上げるピアニストは、と思っていたところ、フランス人ピアニストがこれ以上ないものを出してくれました.

3.ミシェル・ダルベルト/シューベルト ピアノ・ソナタ全集(ピアノ作品全集)(14CD)

です。これは、ピアノ・ソナタだけでなく、上にあるようにピアノ作品全集と名乗っています.ソナタ以外の有名作品はほぼ網羅されていると言っていいでしょう.しかし、実は14枚のCDのどこを探しても第12番(D655)はありません.断片につき録音から外されたということでしょう。このような時に頼りになるのはNAXOSです.探したらありました.

4.ヴァリッシュ/シューベルト 断章を含むピアノ・ソナタ集(CD)

です.2分51秒の断片ですが、これでシューベルトのすべてのピアノ・ソナタを聴くことができました.

シューベルトのピアノ作品の分野に、ピアノ舞曲というのがあります.『感傷的なワルツ』『ヴィーンの淑女レントラー集』『高雅なワルツ』『最後のワルツ集』などとニックネームがついたものもあり、これまた数多くの作品が残されているが、これらをほとんどすべて録音してくれたピアニストがいました.

5.MICHAEL ENDRES/SCHUBERT TAENZE・DANCES(5CD)

です.

3と5があればシューベルトのピアノ曲のほぼ全貌を知ることができると言っていいでしょう.

6.ルプー/ピアノ・ソナタ第18番『幻想』(LP)

これも私にとって、シューベルトのピアノ・ソナタの素晴らしさを教えてくれた1枚です.

次回は、連弾曲について書きます.

コレクション シューベルト 室内楽曲

2012-07-16 10:35:23 | 音楽一般
シューベルトの室内楽曲でまず取り上げるべきは、弦楽四重奏曲だろう。15曲あります。このうち2曲は未完です。しかしそれらを含め全集が出されています。最初に購入したのが、

1.メロス弦楽四重奏団/シューベルト弦楽四重奏曲全集

です。メロス弦楽四重奏団は、これでレコードデビューした(?)記念碑的全集で、内容も私のお気に入りです。普通第1番からレコードを構成するところ、これは1枚目に最後の第15番が来ていてなぜなのかと思いました。

その後、CD時代になり、

2.ウィーン弦楽四重奏団/シューベルト弦楽四重奏曲全集(6CD)

を買いました。シューベルトの活躍したウィーンのものをと思ったわけです。これには、演奏者4人のサイン入りの生写真が付いていました。これは、第1番から順に収められていて、15番にはおまけ(?)として「独奏ヴァイオリンと弦楽のためのロンド イ長調」(D.438)が付いています。

弦楽五重奏曲はわずか1曲のみ書いています。生涯の最後の年に書き上げました。非常な傑作だと思います。

3.タネーエフ弦楽四重奏団、ロストロポービチ/シューベルト弦楽五重奏曲(LP)

4.メロス弦楽四重奏団、ロストロポービチ/シューベルト弦楽五重奏曲(LP)

5.アルバン・ベルク弦楽四重奏団、シフ/シューベルト弦楽五重奏曲(CD)

の3種とも名演奏だと思います。最初に、この曲のことを知らずに3を買いました。ロストロポービチが加わっているものならということで。この四重奏団の素晴らしさも知り、それ以上にこの曲の演奏でこれ以上のものがあるだろうかというふうにも思いました。この曲を聴くならこれに限るとも。しかし弦楽四重奏曲全集を完成させたメロス弦楽四重奏団がロストロポービチと組んだものならと4を買い、さらに5も名演と思い買いました。

シューベルトの室内楽作品は、弦楽四重奏曲・弦楽五重奏曲だけではありません。それこそ多種多様あります。それらを何とすべて網羅した全集がカメラータから出たのです。シューベルト作品をすべて聴こうと思っている私にはこれ以上ないものです。3巻に分かれていて、第1巻が弦楽四重奏曲全集、第2巻がピアノを伴う室内楽、第3巻が、(主に)ピアノを伴わない室内楽です。第1巻は2と全く同じ内容でしたので、第2・3巻を買い求めました。

6.シューベルト室内楽全集Ⅱ(5CD)

7.シューベルト室内楽全集Ⅲ(5CD)

Ⅱには、ピアノ三重奏曲全2曲が入ってますが、これについては以前

8.ルビンシュテイン、シェリング、フルニエ/シューベルトピアノ三重奏曲全集(2LP)

を持っていて、愛聴していました。これも間違いなく名盤と思います。この3人はブラームスでも名演を残してくれました。

とにかく、2と6と7があれば、シューベルトの本場ウィーンの演奏家による、室内楽全作品が聴かれるということです。カメラータのこの試みには感謝です。しかしなぜか、アインシュタインの作品表のうちの「D998 ヘ長調?フラグメント(四重奏曲の第一楽章?)(1812頃)」とある作品はどこにも入っていません。残念です。

コレクション シューベルト

2012-07-13 21:59:11 | 音楽一般
ベートーベン、ブルックナーに次いで音楽家でだれが好きか、ワーグナーを挙げたい気もするし、チャイコフスキーを、あるいはまた別の作曲家、バッハ、モーツァルトなどいくらでも出そうである。しかし迷った挙句私はシューベルトになる。

シューベルトというと、31歳の若さで亡くなったが、もし50、60、いやせめて40歳代まででも生きていればさらにすばらしい音楽遺産を残してくれたのではと思うこと頻りだが、私はそんなときいつも幕末を生きた志士の言葉「三十は自ら三十の四時あり」を思い出す。そう、シューベルトは、その生涯で春夏秋冬の時期を過ごしたのだと。私はその晩年(この言葉もシューベルトには似合わない?)の作品、弦楽五重奏曲、最後の第21番のピアノ・ソナタなどを聴く時にいつもそう感じてしまうのだ。

シューベルトについてはその伝記を手軽に入手することができるが、「シューベルト アインシュタイン著・浅井真男訳(白水社)」がぜひとも持っていたい一冊ではないかと思う。(アインシュタインは、有名な物理学者の親戚にあたる)私は、1978年発行のを購入したが、今もこの本は出ているのだろうか?詳しい伝記本に全楽曲を載せた索引や人名索引が巻末にあり、とても重宝する。私は、あと何がないかをこの巻末で知り、CD店で探すことにしている。(ふつう手にする伝記本にある作品表は、あまりにその数が多いため、全部載っていないことがある。)

交響曲全集では、私は第一に、

1.カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

を挙げたい。カラヤンは、「未完成」「グレート」についてはそれまで何回か録音したが、その他はこの全集で初めてだろう。しかし、シューベルトは、カラヤンがその録音遺産として残したく思い、一気呵成に録音したものだと思う。

2.ケルテス指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

これが最初に手にした全集です。このレコード全集を見ると、ケルテスが若く不慮の死を遂げたことが惜しまれます。

3.マリナー指揮/アカデミー室内管弦楽団

これは誰もを驚かせる全集でしょう。というのは、「未完成」が完成されている、第7番もある、他に交響曲の断片が録音されているからです。そのような意味で、必携の全集です。それでも、紛失と言われる『グムンデン・ガシュタイン』交響曲、これは無理ですね、しかしD997「ニ長調」が入ってないのは残念です。「完成した導入部と数小節のアレグロ」を持つだけだからしょうがないか。

その他に、シューベルトの交響曲全集はたくさん出ています。コレクションは感覚的なもので選んでいますが、上の3つが所持するLP、CDから選んだものです。

次回は、室内楽作品について書きます。

コレクション ブルックナー 「珍盤」

2012-07-12 13:05:31 | 音楽一般
ブルックナーと言えば、交響曲と宗教曲となります。伝記の付録に作品表がありますが、それを見ると、室内楽曲、ピアノ曲、合唱曲などがあることがわかります。ブルックナー・ファンの私はぜひとも聴いてみたいと探しました。

1.L'Archibudelli/Anton Bruckner String Quintet・Intermezzo・Rond・String Quartet

と題するCDを見つけました。
弦楽五重奏曲と弦楽四重奏曲を収めたものです。後者は習作と言われるもので、あまり重要作品ではないかもしれませんが、前者は傑作です。それもそのはず、第5と第6の2つの交響曲の間に作られたのですから。Intermezzoは弦楽五重奏曲のスケルツォ(第2楽章)の代作です。Rondは弦楽四重奏曲の第4楽章の代作です。最近ブルックナーの作品はWAB番号が付けられますが、このロンドはこの番号が付けられていません。私がブルックナーの作品表を見て不思議に思うことの一つです。室内楽曲には、他にバイオリンとピアノのための「夕べの音楽」がありますが、これはまだCDを見つけていません。

2.ブルックナー弦楽四重奏団/弦楽四重奏曲

ブルックナーの名を冠した弦楽四重奏団なので購入しました。カメラータから出たものです。これには代作のロンドは付いていません。モーツァルトの21番「プロシア王第1番」がフィルアップされています。

ここまでは珍盤ではないかもしれません。

3.Brunner & Schopper/Anton Bruckner Piano Works

これを見つけた時は「珍盤」発見と思いました。ブルックナーの全ピアノ作品が収められています。作品的にはあまり重要ではないかもしれませんが、ブルックナーの一面を見られた気がしました。やはりWAB番号のないものが1つあり、これもWAB番号の不思議の一つです。
この中には、4手用の作品も2つあります。4手用作品を除いた一人だけでピアノ作品を収めた

4.anton bruckner piano works / fumiko shiraga

を見つけた時は、またびっくりしました。そしてこれには、もう一つのびっくり、第7交響曲の第2楽章のピアノ編曲版が付いているのです。もちろん作曲家自身の編曲ではありません。これは間違いなく珍盤でしょう。

5.CHORUS VIENNENSIS / Musik, du himmlisches Gebilde! Anton Bruckner - Hugo Wolf

これも珍盤です。ブルックナーは男声合唱団の指揮者をしていたことがあります。そのため宗教音楽でない世俗の男声合唱作品を数多く書いています。しかしブルックナーを語る上であまり大切なものではないということでほとんど録音されてないでしょう。その中で、CD店でこれを見つけた時はこれまた本当にびっくり。タイトルにあるようにHugo Wolfの作品とほぼ半々で収められてあり、8曲だけとなります。ちなみに、Wolfと言えば、リート作品が主と思っていた私にとって、Wolfの合唱曲も初めて知りました。

ブルックナーの作品表を見ると、第3交響曲がマーラーによって、ピアノ4手用に編曲されたとあります。いくらなんでもこれは出ていないだろうと思っていたら、もうずいぶん前になりますが、見つけました。珍盤発見です。

6.Anton Bruckner Symphony No. 3 / Trenkner & Speidel

がそれです。第3は一番多く改訂されたことで知られていますが、1878年の出版ということで、第2稿によるものです。

7.ANTON BRUCKNER Symphony No. 8 in C minor Transcribed for organ and performed by LIONELROGG

これを見つけた時も驚きました。交響曲のオルガン・バージョンと言うわけです。ブルックナーの作品はオルガン的と言われることがあります。それでこの録音が出されたのでしょう。先ほどの第7も私などオルガン版が出ればと思ってますが、出るだろうか?最近CD店をじっくり見ていないのであるいは出ていたりして。

ブルックナーには、オルガン曲もその名手だけあり、ありますが、数は11曲ほどです。この中の一つ通称「ペルク前奏曲」と呼ばれる「前奏曲 ハ短調」(WAB129)も所持するLD(レーザーディスク)中に入っていました。しかし、他では彼のオルガン曲は見ていないです。ぜひとも全曲ほしいところです。

ブルックナーの作品がほぼすべて全集の形で出ることはこれからもないでしょう。今あるLP、CDをしっかり聴いていきたいと思います。聴いてみたいときに聴く彼の作品は本当に私にとって心の慰藉となるものです。


次回から、3番目に好きと公言しているシューベルトのコレクションを書きたいと思います。

コレクション ブルックナー 宗教音楽

2012-07-11 20:48:56 | 音楽一般
ブルックナーは交響曲作曲家として知られていますが、同時に多くの人にとって彼が宗教音楽も数多く作曲する作曲家であることは周知のことでしょう。その代表作は3曲のミサ曲です。これら3曲の短調のミサ曲は、交響曲第2番以前に作曲されました。ミサ曲の作曲を集中し終えてから彼は交響曲に取りかかったという印象を持ちます。

1.ヨッフム/ブルックナー宗教音楽集(LP5枚組)

これは、最初にブルックナーの宗教音楽を世に広めることに貢献したものと言っていいでしょう。3曲のミサ曲はもちろん、他にモテットなど数曲が収められています。その後ミサ曲全曲を録音する指揮者は出ませんでしたが、

2.マシュー・ベスト/コリドン・シンガーズ(CD3枚組)

が、それをしてくれました。宗教音楽をいう場合に欠くことのできない「テ・デウム」と「詩編第150篇」も収められています。

このコンビで、さらに

3.レクイエム(CD)

4.モテット集(CD)

があります。4にはモテット11曲が入ってます。これら5枚のCDで1のヨッフムを数量的に超えると言っていいでしょう。

「レクイエム」には一つの思い出があります。30年以上前にヨーロッパに初めてツアーで行った時、ドイツのレコードショップで、ブルックナーのレコードを探しました。ブルックナーが好きになり始めた頃です。その時店員が持って来てくれたのが、レクイエムだったのです。何が欲しいと言ったのかよく覚えていません。ブルックナーの曲で何か他にありませんか、くらいなことを聞いたのではないかと思います。レクイエムは、当時日本では出てなかったでしょう。それを割れないようにトランクに入れ、持ち帰りました。この「レクイエム ニ短調」は3曲のミサ曲よりもずっと以前、作曲者25歳ごろのものです。

ブルックナーのモテットを多く聴きたいと思って、その後もCDを探しました。

5.フレーミヒ/ドレスデン聖十字架合唱団(CD)

6.ジョーンズ/セントブライド教会合唱団(CD)

7.ラーデマン/ハンブルク合唱団(CD)

を購入しました。順に、14・15・17曲収録されています。7には、モテット以外も含まれています。

8.ポリャンスキー/ロシア交響楽団(CD)

は、モテットは含まれていませんが、メインの「ミサ曲第2番」以外に、通称「ヴィントハーク・ミサ曲」(これは7にも収められています)、コラール「最後の夜に」、「おお、愛しき幼子イエスよ」(偽作説もある)などという他では得られない曲が含まてているので、迷わず買い求めました。

その後、しばらくCD店には行くことがありませんでしたが、ネットを見ると他にいくつかモテットを収めたCDが出ているようです。しかしこれまでに購入したモテット以外を含むものはほとんどないと思われ、買っていません。

自分で、ブルックナーの作品表を作成しましたが、宗教音楽は、67曲(この中には、紛失して作品番号のみのものや断片しか残されてないものなどもあります)中28曲収集しました。断片もすべて所持したいと思うのですが、これが精いっぱいでは、と思っています。これらをしっかり聴いていきたいと思います。

次回は、「珍盤」を書きたいと思います。