西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ラヴェル「ダフニスとクロエ」

2007-06-08 09:24:06 | 20世紀音楽
今日は、ラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」が初演された日です(1912年)。
この曲は、もしかしたらラヴェルの最高傑作ではないかと思っています。今この曲の後半を聴いてみました。最後の「全員の踊り」は迫力のある音楽で、舞台で実際にこれを見たらどんなふうだろうと思いました。この「全員の踊り」が第3曲として入る「第2組曲」だけが演奏会ではよく取り上げられるようです。カラヤンも、「ダフニスとクロエ」のうちのこの「第2組曲」だけを録音して残しています。
私は、この「ダフニスとクロエ」という作品ですが、この作品名はラヴェルのこの曲によるよりも以前に、三島由紀夫の20代後半の作品「潮騒」の原本ということで知りました。「潮騒」は三重にある離島を舞台にした少年少女の恋を描いた青春小説ですが、それはギリシアのロンゴス原作のこの作品を模したものだったのです。ロンゴス原作のこの書は、文学史ではどのような評価を得ているのでしょうか。それはともかく、この本が、20世紀西洋ではラヴェルのこの曲を、また東洋では三島由紀夫の「潮騒」を、生んだということであれば、それだけで文学史上素晴らしい作品と言ってよいのでは。