西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

エドヴァルド・グリーグ

2007-06-15 11:32:46 | 国民楽派
今日は、ノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーグの生誕日です(1843年)。
なくなったのが、1907年ですから、今年はちょうど没後100年の記念年になります。同じ北欧フィンランドの作曲家シベリウスは1957年に亡くなっていますから、同じく今年は没後ちょうど50年で、北欧の2大作曲家の、今年は記念の年となります。
グリーグの名を知らしめる最高の作品は、やはり「ピアノ協奏曲 イ短調」ではないでしょうか。フランス的でも、ドイツ的でもない、まさに北欧の白夜の国を思わせるような旋律を私はここに見出すことが出来るように思います。私は、前にも述べましたが、このようなその国民の持つ自然な民族感情から湧き出る調べを聴くのがとても好きです。西洋の各国の古典音楽には、その国民の最高の調べがあるように思います。時には、これが自国を守る、他国の侵入を許そうとしない国民の意識をまとめる役割を担うことがあるでしょう。今の「グロ-バル」を優先するような考えは歴史の浅い国の、また人工的に作られた国家の長続きしない思想でしょう。「ピアノ協奏曲 イ短調」と共に、もちろんグリーグといえば、「ペール=ギュント」をあげないわけにはいきません。「第1組曲」の第1曲「朝」は、これぞまさしく北欧が生んだ調べでしょう。
グリーグは、非常に多くのピアノ作品を書いています。その中心は、10集からなる「抒情小曲集」です。グリーグの真髄は、このような短編ともいうべきピアノ曲にあるのではないかと思います。
室内楽曲では、特にバイオリン・ソナタの3番を割とよく聴きます。室内楽にも忘れてはならない佳品があるように思います。以上の作品のほとんどすべてを聴けることは嬉しいことです。1993年の生誕150年記念の年に、クナルダールによる「ピアノ曲全集」(CD10枚)、それと「室内楽曲全集」(CD3枚)(これはロシアの演奏家によるものですが、北欧の作曲家グリーグへの共感溢れた名演と思います)が出たのです。私は、これが当分グリーグの決定版的演奏ではないかと思っています。