西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

コレクション シューベルト 珍盤(その2)

2013-04-17 16:08:16 | 音楽一般
シューベルトに「序奏と「しおれた花」による変奏曲 ホ短調」(D802) というのがあります。フルートとピアノのための曲です。この組み合わせは、1000曲を超える作曲数を誇るシューベルトといえども、ただこの1曲だけです。そこでフルーティストは、この曲をリリースする時どうするか。他の作曲家の作品を持って来てもいいのですが、シューベルトの作品を自分でアレンジしては、ということでだされたCDが、

1.JAMES GALWAY plays SCHUBERT

です。内容は、1. フルートとピアノのためソナタ イ短調(D821)[アルペジオーネ] 2. 序奏と「美しき水車屋の娘」の主題による変奏曲」(D802)  3. セレナード(D957) の3曲です。1と3はゴールウェー自身の編曲によります。3のセレナードは、歌曲集「白鳥の歌」の第4曲です。そして1は通称「アルペジオーネ・ソナタ」と言われる、アルペジオーネとピアノのために書かれたソナタです。アルペジオーネは、「弓で弾くギター」と呼ばれることがある楽器です。一度この楽器で出されたレコードを見た覚えがありますが、そしてその時理由は覚えていないですが、購入しませんでした。(今となっては買っておけばよかったか。)他の作曲家でこの楽器のために作曲した人はいるのか?これまで見たり聞いたりした覚えはありません。
この「アルペジオーネ・ソナタ」ですが、本来のアルペジオーネがすでに廃れた楽器ということで、現在では様々な楽器で演奏されています。作曲後50年近くたって出版された時、代用しうるチェロ・パートを付けられていたということで、多くのチェリストが、演奏しています。確か1つ2つ所持していると思います。他にビオラで演奏する人もいて、CDが出ていると思います。同じ弦楽器ということでこれらはわかるのですが、曲の素晴らしさから、管楽器での演奏も出ていて、その一つがこのゴールウェーによるフルートのための編曲です。ずいぶん前になりますが、ラジオでクラリネット版を聴いたことがあります。録音したはずですが、今は行方不明です。

シューベルトに弦楽四重奏曲「死と乙女」がありますが、これをマーラーが弦楽合奏に編曲したものがあります。これはやはり珍盤というべきでしょう。

2.シューベルト 2つの”死と乙女”/テイト イギリス室内管弦楽団 アン・マレイ(メゾ・ソプラノ)

がそれです。原曲というべき歌曲「死と乙女」(D531)とマーラーの編曲版を収めています。マーラーはシューマンの交響曲全4曲など割と多くの編曲作品を残していますが、その一つです。弦楽四重奏曲の編曲としては、他にベートーベンの作品95 ヘ短調「セリオーソ」がありますが、残念ながらこれは出版されているのを見たことはありません。ぜひとも聴いてみたいものです。

シューベルトの珍盤としてあげないわけにはいかないのが、

3.≪グラン・デュオ≫ハ長調 D812

だろう。私が手元に所持しているのは、アバドがヨーロッパ室内管を指揮する全集の中に収められたものだが、他にももう1種あった? これはもともとは4手用(連弾)のピアノ・ソナタで、楽譜を見たシューマンが、オーケストラ作品の編曲ではと考え、それを知ったヨ-ゼフ・ヨアヒムがオーケストレーションをしたということだ。

以上で、コレクション シューベルト編は終わりになります。