西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

リヒテル

2015-10-30 20:43:48 | 音楽一般


私は、ピアニストではなぜかリヒテルの演奏に魅かれる。ベートーベンの「熱情」ソナタはこれ以上ない、激しい熱演と思った。もう何十年も前のことだ。そのリヒテルのデッカ、フィリップス、ドイツグラモフォンでのComplete Recordingsが出るというので躊躇せず購入した。何と51枚組である。今20枚聴いたところ。実は、それ以前にBRILLIANTよりCD5枚組のセットが出て、これも購入していた。どうしても欲しいと思ったベートーベンの最後のピアノ・ソナタ3曲が入っていたからだ。

リヒテルは、あまり個人の全集を完成させるという考えは持たないピアニストのようだ。そんな印象を持っている。この2つのセットを見ると、ベートーベンについては32のソナタのうち第3・4・9・10・11・12・17・18・19・20・22・23・27・28・30・31・32の17曲、シューベルトは21のソナタのうちD566・575・840・894・960の5曲しかない。2種の録音があるものもある。ということで、多くの歴史に名を成すピアニストは、特にベートーベンにおいては全集を残しているが、まあ残された録音をしっかり聴くことでそれを補いたいように思う。

リヒテルは、ビクターでも多くの録音を残している。それらを合わせれば、この2人の作曲家のソナタはもう少し増えるかもしれない。そして、私にとっては、ビクターでのリヒテルのバッハの「平均律クラヴィーア曲集」全2巻はこの上ない宝物である。その後、CDでも出たかもしれないが、LP時代各巻ごとに堅固なボックスに入った3枚組のものは、その装丁がリヒテルの最高の演奏にマッチしていると思わせる、そのような印象を与える作りなのだ。

ベートーベンの協奏曲はいくつ録音されているのだろうか。3番が51枚組の全集にはあるが、それ以外は見た記憶がない。1番があったか?でもぜひとも録音を残してほしかった5番はこれまで見ていないように思う。あるのだろうか。そのような中、1番2番を完成させる前の「ピアノと管弦楽のためのロンド 変ロ長調」(WoO6)は録音している。どのようなことからなのだろうか。