西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

今年の話題

2010-12-30 18:36:22 | 音楽一般
私にとって、クラシック音楽界の今年の第一の話題は、日本人のベルリン・フィルハーモニーのコンサート・マスター就任です。この分野に詳しい人ならご存知と思いますが、樫本大進氏です。同じく前任者である日本人のコン・マスが退団したのを受けての応募・就任ということのようです。私は、樫本氏がロン・ティボー・コンクールで優勝した時から、すごい日本人バイオリニストが現れたと思っていました。もちろん私だけがそう思ったのではないでしょうが、一度だけ、リハーサルですが、彼の実演を聞いたことがあります。シベリウスのコンチェルトで、小沢征爾氏の指揮です。すごいバイオリニストだなと確認しました。作曲者の意図に忠実な演奏という感想を持ちました。リサイタルの情報などを見て、行きたいと思ったことは何度かありましたが、聞いたのはその一度だけです。

樫本氏のコンマスに応募した時の言葉、また正式就任の時にもかもしれないが、の中に「ブルックナーやマーラーを弾いてみたい」のような言葉がありました。私は彼のこの言葉が強く印象に残りました。独奏者は、メンデルスゾーンやブラームスやベートーベン、チャイコフスキー、それにシベリウス、もちろんまだまだありますが、彼らの曲を独奏することが多くあり、優れた世に名を残す、バイオリニストはそれらの名盤を多く残していることでしょう。しかしそのような人たちはブルックナーやマーラーを弾かず仕舞いなのか?などと思ってしまいます。音楽を愛する人ならば、もちろんベートーベンやモーツァルトのシンフォニーもでしょうが、先に挙げた2人の作曲家を弾いてみたいと思うのは当然だと思います。カラヤン時代にベルリン・フィルはブルックナーの全集をリリースし、それは私にとっては一つの大切なコレクションとなっていますが、(この時のコンマスはシュバルベ氏(?)、もちろんブルックナーのシンフォニーは独奏個所はなかったように思いますが、マーラーはありますが)樫本氏がコンマスを勤める時の演奏もぜひいつか聞いてみたいと楽しみにしているところです。

仮契約時のバレンボイム指揮のブラームスの1番、それとワルトビューネ・コンサートはテレビで見ました。(前者は一部だけでしたが)後者では、インの位置でした。2年間の試用期間ということでしたが、私は正式就任することを確信していました。彼のこれからの活躍を期待したいと思います。

さらに言うならば、私は樫本氏が、トマス・ブランディス氏同様にベルリン・フィルのメンバーとカルテットを組み、ベートーベンやシューベルトの全集にも取り組んでほしいと思っています。

安永氏に続いてのベルリン・フィルの日本人コンマスの誕生、私はこのような優れた日本人演奏家がいることをとてもうれしく思っています。