西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

マーラー「交響曲第9番」

2007-06-26 10:24:51 | ロマン派
今日は、マーラーの「交響曲第9番」が初演された日です(1912年)。
マーラーの作品は、大きく交響曲と歌曲に2大別されると言っていいでしょう。
交響曲は、第1番「巨人」から第8番「一千人の交響曲」の後の「大地の歌」、それと9番の後の未完成に終わった10番を合わせ11曲となります。歌曲は、数え方にもよりますが、全部で44曲あります。歌曲の中には交響曲に流用されたものもあり、マーラーの場合、交響曲と歌曲は緊密に結びついていると言っていいでしょう。そしてこれらの頂点に立つ曲が、この「交響曲第9番」と言っていいでしょう。その前の第8番「一千人の交響曲」が名前から分かるように大規模な演奏者陣を要するのに対し、この作品は声楽を含まず室内楽的な要素を持ち、この点でその後の新ウィーン楽派の傾向につながるものがあると言われたりしています。それはともかく、この曲は、死の直前の作品であることから色濃く作曲者の思想を反映したもののように思われます。それを厭世観と名付ける人もいます。1909年夏から作曲を始め、10年に完成しました。その翌年5月マーラーは亡くなり、初演は死後に行われました。ブルックナー同様、この第9番に作曲者の人生の総決算が描き出されているように思います。私は、彼ら2人の「交響曲第9番」から、ベートーベンの全作品から受けたのと同様の大きなことを教えられたように思います。ただ、これらが分かったなどというつもりはなく、ゆっくりその真価を知りたいと思っています。