西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

「涙の日」-ヴェルディ「レクイエム」

2016-09-30 21:24:04 | 音楽一般
レクイエムはなにもヴェルディだけではなく、モーツァルトもブルックナーもその他にも数多くの作曲家が作品を残していますが(ベートーベンは作曲していませんが)、私にとってはヴェルディの作品が、聞いた回数が多いからか印象に残っています。その中でもこの「涙の日」はとても印象的で、いつも頭の中で鳴り響いています。(まあ、年がら年中ではないですが)それでいつかは言葉の分析をしたいと思っていました。

Lacrimosa dies illa,
ラクリモーサ ディエース イッラ,
qua resurget ex favilla
クワー レスルゲト エクス ファウィッラー
judicandus homo reus:
ユーディカンドゥス ホモー レウス:
Huic ergo parce Deus.
フイーク エルゴー パルケ デウス.
pie Jesu Domine,
ピエ イエースー ドミネ,
Dona eis requiem. Amen.
ドーナー エイース レクイエム. アーメン.

lacrimosa lacrimosus(形)涙ぐんだ・涙にかきくれた、の女性単数主格
dies 日、の意で単数主格だが、普通男性名詞だがここでは女性名詞として用いられている
illa (指示代名詞)illeの女性単数主格、この1行は女性名詞diesに合わせてある
qua (関係代名詞)quiの女性単数奪格、女性は先行詞diesに合わせてあり、奪格はqua以下の関係文の中での働きによる、「時の奪格」の用法である。
resurget resurgo(3)再び起き上がる・再び現れる、の能動相直説法未来単数3人称
ex (前)~から、奪格支配
favilla (1)辞書に’glowing ashes(白熱する灰)’とある。死体を焼いたあとの灰、ということである。
judicandus judico(1)判断をする・裁く、の動形容詞(未来受動分詞ということもあるが正しくは動形容詞)。「~されるべき」の意味で、「裁かれるべき」となる。
homo (c(通性))人、単数主格
reus (2)辞書にdefendant,prisoner,criminal,culpritとある。「被告・囚人・犯人・罪人」
huic (指示代名詞)hicこれ・この、の単数与格で男女中性同形
ergo (副)それ故に
parce parco(3)赦す、の能動相命令法現在単数2人称
Deus deus(2)神、第二変化名詞だが、不規則形を持ち、Deusは呼格で「神よ」の意
pie pius,a,um(形)敬虔な・誠実な、の男性単数呼格
Jesu Iesuと表記されることもある。Iesus(主格)(イエスス)は特殊な変化をする。対格Iesum(イエスム)、であとは全てIesu(イエースー)。ここは呼格。
Domine dominus(2)主、の単数呼格
dona dono(1)贈る・与える、の能動相命令法現在単数2人称
eis (指示代名詞)isそれ・その、の複数与格、男女中性同形
requiem requies(女)休息、の単数対格
Amen 「アーメン」(ヘブライ語で、まことに・確かに、の意)

(筆者訳)
その日は涙あふるる日、
その日には罪を犯した人間が
裁かれる者として灰から再び起き上がることだろう:
神よ それ故 この人をお赦しください。
慈悲深き主イエススよ、
彼らに安息をお与えください。アーメン。


「レクイエム」全曲分析してみたいところですが、ゆっくり少しずつチャレンジしてみようと思います。

「テ デウム」もやはりしてみたいですね。ブルックナーの名曲が頭に鳴り響いてきました。