西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ジョージ・セル

2007-06-07 09:02:22 | 音楽一般
今日は、指揮者ジョージ・セルの生誕日です(1897年)。
ジョージ・セルは、私がやっとクラシック音楽に興味を持ち始め、しばらくした頃には、亡くなっていました。彼は大阪万博の時、初めて来日し、そのわずか2ヵ月後に急死してしまったということです。どこかに出ていた文章で、こんな話があったのを奇妙にも覚えています。東側(今では死語でしょうが、ソ連の威圧下に置かれていた東欧の国々)に、スツェルという優れた指揮者がいるそうだ。スツェルとは、セルのことです。Szell、この綴りを見れば、誰しもそのように読むでしょう。セルは、ハンガリーの人ゆえ、そのような少し変わった綴りなのでしょう。
そのセルですが、私は運良く彼の残してくれた演奏という遺産を手に入れました。彼が現役時代ならば、おそらくは出たレコードを一枚ずつ買ったのかも知れませんが、没後だったので、まとまったセット物で手に入れたからです。それは、10枚組みの3セットからなるものでした。ここには、ベートーベン、ブラームス、シューマンの交響曲の全集が揃っていて、ドボルザーク、シューベルト、その他の主要作品が過不足なく収められていたのです。だから、私はセルについてはしっかりとこれでコレクションが揃ったというわけです。もちろんこれで十分というわけではありませんでした。ブルックナーの8番、マーラーの6番なども購入しました。そしてさらにマーラーの10番も出していたのですが、これがおそらく唯一か、第1楽章のみならず第3楽章も録音されているのです。今では、復元された全5楽章を録音したものもずいぶん出ていますが、当時はせいぜい第1楽章だけを録音するのが主流でした。第3楽章もほぼ完成されているという判断だったからでしょう。ブルックナーの8番ですが、私はまだ十分に聴きこなしたとは言えないですが、この演奏は、ブルックナーの8番の演奏史上、特筆すべきものではないかと思っています。