西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ベートーベン「プロメテウスの創造物」

2007-03-28 09:57:30 | 音楽一般
1801年の今日、ウィーンでベートーベンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」が初演されました。(手元の別の本を見ると、3月21日初演とも出ていますが。)
プロメテウスとはギリシア神話に出てくる神の名で、その創造物とは、実は人間のことをさしています。このバレエ音楽は序曲と16曲からなっていて、その序曲のみがよく取り上げられ演奏されますが、最後の第16曲、これも有名な旋律です。というのは、この旋律が第3交響曲の終楽章にも使われているからです。ベートーベンはこの旋律をよほど気に入ったらしく、後に「エロイカの主題による15の変奏曲とフーガ」というピアノ独奏用の曲も作曲しました。
ところで、ベートーベンは、このころ創造主であるプロメテウスおよび「プロメテウスの創造物」の1人である自分の存在を、何回となく呪うということを手紙に書いています。耳の病気のためです。いろいろ医者の手当てを受けたが、このころひどく弱くなってきたということだ。しかし、魅力的なジュリエッタ・グイッチャルディにピアノを教えているうちに、一時的であれ幸福な時を感じるようになったのもこの時期であった。このバレエ音楽が初演された時は、世紀の変わり目であると共にベートーベンの中でも大きな転換点であったように思う。