今日は、ロシアのピアニスト、スヴャストラフ・リヒテルの生誕日です(1915年)。
彼の名前を見ると、いつもこの人はドイツからロシアへ行った人の子孫なんだろうなと思います。それはともあれ、私はリヒテルの演奏でその曲の良さを知ることがたびたびありました。もっとはっきりいえば、彼は間違いなく20世紀最高の演奏家の1人だと思っています。リヒテルの演奏するベートーベンの「熱情ソナタ」がその出会いの最初でしょうか。ライブ録音だったと思いますが、この演奏は、作曲者がこのような演奏を望んでいた、と思わせるようなものに私には思えました。私が最初に出会ったベートーベンのピアノ・ソナタは実は彼の演奏のこの曲だったのです。これは大変ラッキーなことだったと思っています。リヒテルは、なぜベートーベンのソナタを全曲残してくれなかったのだろうといつも残念に思っています。バッハのあの素晴らしい「平均律」の録音は全曲一気にしたのにと。特に、32番のソナタは正式に録音したのがあるのだろうか。31番は実演を放送したのをテープに録音した覚えがあります(今どこにそれがあるのやら、今度見つけたらCDに録音し直そうと思っています)が、ベートーベンのピアノ・ソナタの締めくくりとも言うべき、最高の作品32番はどうなのか、もし残っていないなら(どこかで見たようにも思いますが)とても残念なことです。またベートーベンのピアノ協奏曲もぜひ全曲録音して欲しかったですね。
代わりといってはなんですが、リヒテルはシューベルトの作品を、他の演奏家が録音してレコードを出す以前から多く取り上げて、出していたように思います。前にも述べましたが、シューベルトのピアノ・ソナタの絶品とも言うべき21番、これを残してくれたことには大きな感謝の気持ちを持っています。19番もあります。だけどその間の20番は、同様に傑作なのになぜ録音しなかったのか、いまもって私にはわかりません。中期の作品もリヒテルは割りと多く録音を残しています。他の演奏家では聞けない作品に対する透徹度が感じられる名演奏群と思っています。
しかしリヒテルの録音で、どうしても触れないわけには行かない名演奏があります。それはベートーベンの「三重協奏曲」です。これは20世紀の産んだ名盤といってよいでしょう。カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で、独奏者は他に、オイストラフとロストロポービチです。何という奇蹟の組み合わせなのだろうといつも思ってしまいます。「英雄交響曲」と「熱情ソナタ」に挟まれた作品番号56を持っていて、その両端の曲に作曲者の力の多くは注がれたのかなという感じがしないでもないですが、ベートーベンがこの作品を残してくれたのは、20世紀にこの偉大な演奏家4人を巡り合わせるためだったのかとさえ思ってしまいます。ベートーベンはピアノには素人の演奏家を想定してこの曲を作ったらしく技巧はそれほどのものを求めてはいませんが、ここでのリヒテルの演奏は、いかにもリヒテルらしい何度聴いても納得しうる名演を聴かせてくれます。最近の演奏を優れた録音で聴くのも良いですが、20世紀の名盤とも言うべきこの演奏はぜひ知って欲しいと思います。
彼の名前を見ると、いつもこの人はドイツからロシアへ行った人の子孫なんだろうなと思います。それはともあれ、私はリヒテルの演奏でその曲の良さを知ることがたびたびありました。もっとはっきりいえば、彼は間違いなく20世紀最高の演奏家の1人だと思っています。リヒテルの演奏するベートーベンの「熱情ソナタ」がその出会いの最初でしょうか。ライブ録音だったと思いますが、この演奏は、作曲者がこのような演奏を望んでいた、と思わせるようなものに私には思えました。私が最初に出会ったベートーベンのピアノ・ソナタは実は彼の演奏のこの曲だったのです。これは大変ラッキーなことだったと思っています。リヒテルは、なぜベートーベンのソナタを全曲残してくれなかったのだろうといつも残念に思っています。バッハのあの素晴らしい「平均律」の録音は全曲一気にしたのにと。特に、32番のソナタは正式に録音したのがあるのだろうか。31番は実演を放送したのをテープに録音した覚えがあります(今どこにそれがあるのやら、今度見つけたらCDに録音し直そうと思っています)が、ベートーベンのピアノ・ソナタの締めくくりとも言うべき、最高の作品32番はどうなのか、もし残っていないなら(どこかで見たようにも思いますが)とても残念なことです。またベートーベンのピアノ協奏曲もぜひ全曲録音して欲しかったですね。
代わりといってはなんですが、リヒテルはシューベルトの作品を、他の演奏家が録音してレコードを出す以前から多く取り上げて、出していたように思います。前にも述べましたが、シューベルトのピアノ・ソナタの絶品とも言うべき21番、これを残してくれたことには大きな感謝の気持ちを持っています。19番もあります。だけどその間の20番は、同様に傑作なのになぜ録音しなかったのか、いまもって私にはわかりません。中期の作品もリヒテルは割りと多く録音を残しています。他の演奏家では聞けない作品に対する透徹度が感じられる名演奏群と思っています。
しかしリヒテルの録音で、どうしても触れないわけには行かない名演奏があります。それはベートーベンの「三重協奏曲」です。これは20世紀の産んだ名盤といってよいでしょう。カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で、独奏者は他に、オイストラフとロストロポービチです。何という奇蹟の組み合わせなのだろうといつも思ってしまいます。「英雄交響曲」と「熱情ソナタ」に挟まれた作品番号56を持っていて、その両端の曲に作曲者の力の多くは注がれたのかなという感じがしないでもないですが、ベートーベンがこの作品を残してくれたのは、20世紀にこの偉大な演奏家4人を巡り合わせるためだったのかとさえ思ってしまいます。ベートーベンはピアノには素人の演奏家を想定してこの曲を作ったらしく技巧はそれほどのものを求めてはいませんが、ここでのリヒテルの演奏は、いかにもリヒテルらしい何度聴いても納得しうる名演を聴かせてくれます。最近の演奏を優れた録音で聴くのも良いですが、20世紀の名盤とも言うべきこの演奏はぜひ知って欲しいと思います。