西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ヴェルディ「アッティラ」

2007-03-17 18:06:08 | オペラ
今日は、ヴェルディの9番目のオペラ「アッティラ」が初演された日です(1846年、ヴェネツィア・フェニーチェ座)。
ヴェルディは先にも記したように生涯に26のオペラを書いたが、概ね3期に分けることができる。26のうち、第15作「スティフェリオ」までが第1期、第16作「リゴレット」から第23作「ドン・カルロ」までが第2期、そして第24作「アイーダ」から最後の第26作「ファルスタッフ」までが第3期である。数を書けば、順に15作、8作、3作となる。
第1期だけを考えると、第9作目の「アッティラ」は、その次の第10作「マクベス」には遠く及ばないが、成功作と看做されて良い。それはただ時のイタリアの政情によるといえよう。第3作「ナブッコ」がそうであったように、この劇中の「全世界の人々に訴えよ、我がイタリアはまだ我々のものではないのだ」との歌は謝肉祭で賑わう町の観客たちに深い感動をもたらしたということだ。
異民族フンの王アッティラは、452年イタリアに侵攻し、ベロナ、ミラノなどを掠奪した後、ローマ教皇レオ1世の説得により撤退する。その後、史実では、アッティラは病死するのであるが、劇では暗殺されたとした。
アッティラは、ワーグナーの長大な「ニーベルンクの指輪」の原作ともいうべき「ニーベルンゲンの歌」などの伝承文学にもエッツェルの名で登場している。
ヴェルディは、このオペラの成功を思いがけぬものと考え、それを「多分みなこの曲を本当に理解していないからではないか」と疑い、また友人のこれまでで最高の作品との褒め言葉にも「私は決してそうは考えていない、それは時が明らかにするだろう」と言っている。