西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ベートーベン「喜劇は終わった」

2007-03-26 09:21:14 | 古典派
今日は、ドイツの楽聖ベートーベンの亡くなった日です(1827年)。
この日の午後5時45分ごろのことと言う。臨終の家となったシュヴァルツシュパニエルハウスの庭には雪が積もり、5時頃には激しい雷鳴を伴って稲妻が光ったと言う。その時、ベートーベンは昏睡から覚めて目を開き、右手を上げ、握りこぶしを作り上を見つめていた。その右手をベッドに落とした時、目も閉じられそれから亡くなったという。いかにもベートーベンらしい最後と思う。
「喜劇は終わった」の言葉は、その死に先立つ3日前に発せられた言葉だ。この言葉についていろいろ解釈されているが、周囲にいた医師たちがラテン語で協議をした後部屋を去ろうとした時に、ベートーベンが「諸君、喝采し給え」と言う言葉のあとに続けて言った言葉である。諧謔的な精神の持ち主であるベートーベンが放った言葉で、それほど大きな意味合いを持たせることはないように思うがどうだろうか。全生涯を振り返って言ったものだと捉える仕方も行われているが。
葬儀は、3日後の29日に執り行われ、ウィーン市中から集まった2万人もの人たちがベートーベンとの最後の別れを惜しんだ。その中には、シューベルトもいた。寺院での葬儀の後、ヴェーリング墓地での埋葬の前に、友人で劇作家のグリルパルツァ-の長文の心のこもった弔辞が読み上げられた。
1845年、故郷のボンに記念像が建設された。この時、除幕式では、次のような演説が読み上げられた。
「彼の墓前で泣く妻もなければ、息子も娘もない。だが世界が泣いた。」と。