西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ロストロポービチ

2007-03-27 14:50:41 | 音楽一般
今日は、ロシアの生んだ世界的チェリストのムスティスラフ・ロストロポービチの生誕日です(1927年)。ということは今年、80歳です。しかし、依然として衰えも見せず活躍していることは嬉しいことです。
私は、チェリストとしてはもちろんですが、人間としてロストロポービチ氏を偉大な人物と考えています。なぜこのような偉大な者がいて、あのような自由を抑圧する体制が出来、また70年も続いたのか。長年の謎です。彼が反体制作家のソルジェニーツィン氏擁護の先頭に立ち活動していたことは知られたことだが、私には上のような疑問が起こらざるを得ない。ロストロポービチ自身が闇に葬られることがなかったのは、すべてその才能のお陰だった。権力側が手を出せなかったということである。
ロストロポービチがリヒテルと組んでベートーベンのチェロ・ソナタ全曲を残してくれたことは大いに喜びとするところである。他の多くのチェリストもチェロの新約聖書ともいうべきベートーベンのチェロ・ソナタ全曲を出しているが、どうあっても彼ら2人を越えることはあるまいと考えている。その旧約聖書たるバッハの無伴奏チェロ組曲6曲をもう今となっては何年も前になるが、録音し残してくれた。これはフランスの名もないような教会を使って映像と共に残してくれた。いつ全曲を録音するだろうかと、待ち焦がれていたものだった。予想通りこれも群を抜いて素晴らしいものだった。しかし、録音場所が気になって、あまり高い評価をされていないのではないか、などと思っている。素晴らしい内容なのに。(私の目に止まってないだけかな。)
ロストロポービチは、大曲だけでなく、チェロの小品集も出しているが、フォーレの「夢のあとに」など彼の演奏に勝るものがあるだろうかと思う。