西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

グラナドス

2007-03-24 15:54:07 | 音楽一般
今日は、スペインの作曲家エンリケ・グラナドスの亡くなった日です(1916年)。グラナドスは、アルベニスとほぼ同時代のピアニスト兼作曲家です。この年の2年前、欧州では第1次世界大戦が始まりました。14年6月28日オーストリア皇太子夫妻を狙った数発の銃弾と共に。その後瞬く間に欧州の大部分が戦場となった。当然海上でも戦闘行為は行われ、イギリスにとって最大の脅威は、ドイツ潜水艦だった。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場における歌劇「ゴイェスカス」の初演を終え、イギリス客船で帰路についたグラナドスは、このドイツ潜水艦により沈められたのであった。スペインの民族色が濃いピアノ作品などに彼の特色が表れている。グラナドスは、戦争の犠牲者だったのである。
実は、第2次世界大戦でも、戦争の犠牲者となった作曲家がいた。それがなお悲劇的なのは、戦争が終っていたからである。新ウィーン学派の1人アントン・ウェーベルンは、大の喫煙家だった。闇で入手したタバコに火をつけたところを駐留米兵により誤って射殺された。欧州における大戦は、2度までも音楽史に名を残す作曲家の悲劇を生んだのであった。