怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

大沢在昌「熱風団地」「砂の狩人」

2024-03-26 08:29:20 | 
外国人向け観光ツアーガイドを生業にする佐抜。
架空の国べサール語を始めとして中国語、ビルマ語などを話すことが出来る。
そこを見込まれてだろう外務省の関係団体NPО法人「南十字星」の職員からベサール国の元王様の第2夫人の息子が行方不明なので探す仕事を依頼される。
ベサールでは軍人によるクーデターが起き、日本人だった第2夫人と息子(王子となる)は日本へ来ているのだが、その息子はやんちゃで家出して行方不明とか。
相棒にはベサール人の元女子プロレスラーレッドパンサーことヒナ。母親がベハール人で幼い頃ハベハールで育っている。
それで大丈夫なのかと言う凸凹コンビなのだが伝手を頼って王子を探して行く。
どうやら王子は千葉県の居住者が外国人ばかりの団地にいるみたい。

う~ん、愛知県で言えば九番団地とか保見団地?外国人の方が多くてコミュニティが出来ている団地と言うのは首都圏でもそこそこあるのだろう。
舞台は日本人はほとんどいなくて団地の自治会が見回って生活全般を牛耳っている。よく言えば住民自治なのだが、役員は中国人が主体でここにも中国の影がある。
べハールは資源があり、現政権と元国王とは緊張関係にあり、例によって中国が接近してきている。
元国王は死期が迫り王子の動向はべハールの政治の行方に大きな影響を与えると言うことで中国は身柄を確保しようとし、日本政府も表立っては動けないので南十字星を使って佐抜とヒナに王子の確保を依頼したという訳。
一昔前ならソ連のKGBとアメリカのCIAとのドンパチの狭間で日本政府がオロオロしながら表に出ずにCIAに協力すると言う構図になるのだが、今は中国の国家保安部が相手。CIAも表に出ずに、日本も及び腰で目立たぬように政府とは別の団体が動く。
その及び腰の目立ってはいけないと言う対応に腹を立てながら佐抜とヒナはディープな団地の中で王子を確保すべく奮闘する。
べルーナのように南シナ海かどこかの島国で政情は定まっておらず、中国が触手を伸ばしていると言うような国はありそうな設定で、国際政治の狭間で各国の思惑が錯綜しているのもさもありなん。
主人公の二人、元女子プロレスのヒナが強いのはともかく佐抜も最初は頼りなかったのが知恵と勇気で難局を切り開いていくと言うのは調子がよすぎですけど、脇役もいい味を出していて楽しく読み進めることが出来ました。
ついでに「狩人シリーズ」の「砂の狩人」も読んでいます。
これは大藪春彦の本かと言うようなバイオレンス満載で、暴力と銃撃の連続。この小説の中でいったい何人が殺されるのか。数える気はないけれど50人は確実だと思います。新宿で急速に力を伸ばしてきた中国人とそれに対抗する日本のヤクザ。暴力団組長の子どもの連続殺人事件をきっかけに抗争は勃発。そこに飛び込んでいくのは犯人を射殺して警察をやめた元刑事の西野。そんな危険な仕事に引っ張り込んだのはキャリア警察官の時岡。西野は自分の体を標的に抗争の真っただ中に飛び込んでいくのだが、その相棒となるのがこのシリーズおなじみの新宿署刑事の佐江。
新書版で2段組上下で700ページほど。読みだすと途中でやめられませんけど、あまりの暴力シーンの連続にちょっと食傷気味でした。
でもこのシリーズまだあるので読んでみようか。

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